日経新聞の記事をご紹介することが多いこのブログですが、
社説をご紹介することはほとんどなかったかもしれません。
今日は社説のご紹介です。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
社説はこのたびの公立校への変形労働時間制導入を採り上げています。
繁忙期の勤務時間を延長する代わりに、
夏休み等でまとめて休暇や短縮勤務を実現させる変形労働時間制について、
多くの教員が懐疑的、と社説は語ります。
「過労死が問題になっているのに
労働時間の規制緩和策を導入するのは理解しがたい」
などの声が寄せられている、と。
法案には、時間外勤務の上限を月45時間とする指針が盛り込まれた。現状では、小学校で平均月59時間、中学校で81時間の残業を強いられている。指針達成のハードルは高い。時短への道筋が不透明なのになぜ、勤務時間を延ばす制度を導入するのか。現場の懸念は、この点に集約される。
政府は国会審議で、変形労働時間制導入の前提条件などの説明を尽くし、不安の払拭に努めてほしい。残業上限を達成できない自治体には導入を認めないことを明確にすべきだ。問題は、それを担保する仕組みをどう整えるかだ。
もっともな指摘だと感じます。
そして、新たなしくみとして、社説は以下のような手段を提案してくれています。
・月ごとの残業時間のデータ公表
・夏休みに約2週間の「学校閉庁日」を設ける
・残業減の指針実現に向けた工程表を示す
私学ではすでにこの制度が導入されているケースもありますが、
その運用に留意すべき点があることは公立同様です。
課題があれば常に制度運用の改善や工夫を図ることが肝要でしょう。
今回の社説はこう締められています。
変形労働時間制は、あくまでも指針を達成した自治体が、繁忙期の教員の働きに報いるための選択肢のひとつだ。繁忙期の残業も極力短時間に抑え、計8時間に達したら1日の夏期休暇に充てるなど、健康に配慮した運用に限定すべきである。
教職員による、質の高い業務遂行のために。
変形労働時間制が良い意味で効果を発揮してくれることを願ってやみません。
(文責:吉田)