寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

変形労働時間制をどう考えるか

先月末ごろに流れたニュースです。

公立校の教員にとって、確かに影響の大きな動きと言えるかもしれません。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

教員の働き方改革として勤務時間を年単位で管理する「変形労働時間制」の導入を文部科学省が目指していることを受け、高校教員らが(10月)28日、導入見送りを求めて約3万3千人分の署名を同省に提出した。

 

1年単位の変形労働時間制は、私学ではすでに導入されている学校も

数多くあると思われます。

私の知る限りでも、いくつもの学校が導入を済ませていたり、

あるいは導入の検討が進んでいたりしています。

 

今回採り上げたニュースでも流れていましたが、

教員の懸念は

「変形労働時間制にすると、無制限の労働を余儀なくされる」

という点です。

1年単位の変形労働時間制になれば、

繁忙期の定時が現在よりもずっと長くなることが想定されますので、

これをもって「無制限」という表現がなされても致し方ない、

という見方もあるでしょう。

 

ただ一方で、現在の定時が機能しているかと言えば、

おそらく有名無実化しているのが現実でしょう。

さらに、夏休み等の長期休暇中も、以前であればいざ知らず、

近年は部活動をはじめ通常勤務程度の労働時間が発生してしまっている、

というケースも少なからずあるように感じます。

 

要するに、どんな枠組やしくみがあったとしても、

長時間労働が常態化している」

ことが、学校現場の最大の問題と言えるのではないでしょうか。

 

これを解決する方法は、変形労働時間制ではないでしょう。

長時間労働をできる限り抑止するためには、

業務量を一定水準にとどめること、

そして業務効率を一定水準以上に高めることこそが必要な施策となります。

 

学校教員の業務は近年、自然増の傾向にあると考えられますので、

この傾向に歯止めをかけ、さらには適切な業務量にまで減少させることが

求められます。

この点、以前に出された「学校における働き方改革」の具体例が

参考になるでしょう。

 

と同時に、ICTの活用をはじめ、業務効率を高めることもまた

必要な施策となるように思います。

学校ではまだまだ以前のやり方にこだわる先生方も多いと思われますが、 

その良さは認めつつ、よりよい業務遂行、教授法などについても

研究と実践を進めていくことが肝要です。

 

教育には時間がかかるもの。

だからこそ、限りある時間を子どもたちになるべく効果的に配分せねばなりません。

業務効率化は子どもたちのためにこそなされるべきだと、私は考えます。

 

一方で、変形労働時間制というしくみは私学経営上、

活用の余地のある制度であると考えられます。

上記のような業務そのものへのアプローチとの両輪でこの制度を捉え、

理性と誠実さをもって運用していくことが求められると思うのですが

いかがでしょうか。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp