「Society5.0」といわれる新しい社会へと変化していく時代が、
すぐ目の前、いやすでに私たちの足元に広がっています。
そのような時代に活躍する人材をどう育てるのか。
学校の本業とも言える大きな課題ですが、
日経新聞に東大学長のインタビュー記事が掲載されていました。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
記事の中で、
「知識集約型の社会では、教育はどう変わるべきか」
との問いに、五神学長はこう答えられています。
超スマート社会へ向けた「ゲームチェンジ」が必要だ。まずは大人が知識集約型社会に向けて新たなことに挑戦し、変化を楽しんでいる姿を子供に見せるべきだ。
一つの仕掛けとして東京大は2019年中に、学術情報ネットワーク「SINET」を使ったビジネスプランコンテストを試行する。SINETは知識集約型社会における価値創造の基盤インフラだ。様々な情報やデータを利活用してビジネスにつなげるアイデアを集めて競わせる。
SINETが既に備わっている日本は、知識集約型の社会で圧倒的な優位性をもつ。全都道府県にハブ(拠点)となる国立大があり、情報やデータ、それらを扱う専門家がそろっているのも貴重だ。SINETは教育のあり方も変える。
学術情報ネットワーク、SINET。
ご存知でしょうか。
専門知識がいつ、どこにいても手に入り、
それらの知識を活用し、新たな知識を生み出していく、
あるいは社会や産業に活用していく、といった
発展が期待できるインフラが国内にすでに整っているんですね。
「SINETは小学校や中学校、高校の教育にどう活用できるか」
との問いにはこのようにお答えになっています。
文科省がSINETを学校にも開放すれば、実現に役立つはずだ。
高度な情報教育にも活用できる。全国の学校が大学と連携して実際のデータを使って統計の演習をしたり、大学の教員がオンラインの講義を配信したりといった取り組みが考えられる。最近の大学は市民向けの講座を開くなどアウトリーチ活動に熱心で、コンテンツは豊富にある。
例えば社会科の授業でも、各地の学校をつないでそれぞれの地域の問題についてリアルタイムで話し合えば、地域の個性が実感できる。何千人という子供が集めたデータを集約し、分析するような授業も考えられる。
なるほど、学校現場での活用ができれば
より一層の広がりが期待できるわけですね。
一方で、五神学長のお話に対して、
記者はこんなふうに課題を提示されています。
SINETに小中高校がつながり、全国の大学や研究所の人材、教育コンテンツを使えるようになれば、こうした教育への移行を後押しする可能性があるだろう。
ただ、この貴重なインフラを学校教育でうまく活用できるかは、国や大学がいかに魅力的なアイデアを出すかだけではなく、学校現場が共感するかどうかにかかっている。
日本の学校は全国的に授業の水準が高く、国際的にも学力が高い。教員の働き方改革は喫緊の課題で、学校のICT(情報通信技術)環境は地域差が大きい。SINETの全国網を生かして国内全体の学校教育を変えていくには「さらに教育水準を上げる」ではなく、「技術を活用して新しい教育に変える」という方向性の共有がカギだ。
変わることが苦手な学校現場。
子どもたちの学習環境をより快適にし、
その成果を高めるための施策が現場にどのように受け入れられていくのか、
今後の動きに注目したいと思います。
(文責:吉田)