公務員の世界でも定年延長が現実のものになってきたようです。
私学の制度設計にも一定程度影響を与える可能性がありますよね。
そこで今日は概要を押さえておきましょう。
日経新聞より。
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国家公務員の定年を60歳から65歳に延長するための関連法案の概要が判明した。60歳以上の給与水準を60歳前の7割程度とする。60歳未満の公務員の賃金カーブも抑制する方針を盛り込む。希望すれば65歳まで働ける再任用制度は原則廃止する。総人件費を抑えながら人手不足を和らげる。政府は民間企業の定年延長の促進や給与水準の底上げにつなげる考えだ。
まず、なぜ「7割程度」なのか。
その根拠は民間企業の給与水準、とのことです。
ただ、民間の水準をどのように捉えているのかは
ちょっと分かりにくいところもあります。
記事にはこんなふうに書かれています。
労働政策研究・研修機構の15年の調査(約6200社)によると、60歳直前(定年前)の賃金を100とした場合の61歳時点の賃金は、1000人以上の大企業で「6割未満」が25.8%を占めた。
日本経済新聞社の昨年12月の「社長100人アンケート」でも雇用延長した場合の賃金水準について「定年前の7割」と「同5割」がいずれも18.6%で最多だった。
さらに興味深いのは以下の内容。
賃金カーブの見直しでは、60歳以上の給与のみを7割に抑制するのは「当分の間の措置」と位置づけ、60歳未満と一体で抑制する規定を設ける。50代から60代の給与水準がなだらかになるようにする。今後、具体的な引き下げ幅や時期を調整する。50代から徐々に給与水準を抑制する形になるとみられる。
給与制度全体が変わっていきそうですね。
実は弊社がお手伝いする賃金設計においては、
時間をかけながらではありますが、
上記内容を実現するような賃金カーブをおすすめしています。
退職金をはじめ、他の制度とも強く関連するため、
一気の変更は難しいですが、組織の永続のためには
このような考え方を取らざるを得ないように思います。
今回の記事には上記以外にも、このようなことが書かれています。
・60歳以上の職員が短時間勤務を選べる制度もあわせて導入
・定年の段階的な引き上げ期間中は再任用制度を存続させるが、
65歳への延長が完了した時点で廃止する方針
・60歳に達すると原則として管理職から外す
「管理監督職勤務上限年齢(仮称)」の制度をつくる。
ただし専門性が高く後任を見つけにくいポストなどに限って
留任を認める例外規定も設け、該当者は60歳に達しても
給与を7割に減らす対象には含めない
・定年引き上げの開始時期やペースは、21年度の61歳から
2年に1歳ずつ引き上げる案を軸に検討
多くの組織で支出の際大項目となっている人件費。
私学でもその傾向は変わらない、いやむしろその特徴が顕著です。
賃金制度についてのご検討は早めが肝心です。
(文責:吉田)