明日から弊社も夏休みをいただきます。
夏期休暇前、最後の記事となります本日は、私立大学の入学者に関するデータをご紹介いたします。
日本私立学校振興・共済事業団がこんな統計資料を発表されています。
ボリュームは多いのですが、直近年度と前年度の比較も充実しており、ぜひ一度ご覧いただきたい内容です。
中にサマリーの掲載がありましたので、そちらのみ引用させていただきます。
≪今年度の特徴≫
1 大学の概況
○入学定員・志願者・受験者・合格者・入学者はいずれも増加した。入学者は9,431人増加して487,061人となった。
○入学定員充足率は1.26ポイント上昇して、105.04%となった。
○入学定員充足率が100%未満の大学は15校減少して250校となり、大学全体に占める未充足校の割合は2.6ポイント下降して、43.2%となった。2 区分ごとの動向
○規模別の動向
1校当たりの入学定員が500人以上600人未満を除く全ての区分で入学定員充足率が上昇した。
○地域別の動向
大学の所在地が宮城・北陸・四国を除く全ての地域で入学定員充足率が上昇した。
○学部系統別の動向
「理・工学系」「農学系」「体育学」の入学定員充足率が高い傾向にある。
「社会科学系」の入学定員充足率が大幅に増加(3.09ポイント上昇)し、「薬学」は大幅に減少(4.26ポイント下降)した。
大学の入学時点である18歳人口は今後減少に転じる(2018年問題)予定ですので、現時点では入学者数をはじめとする統計値は、学校サイドにとってそれほど悪い数字はないとみていいでしょう。
ただその中で、私が気になったのは「歩留率」。
上記サマリーには登場しておらず、本編を読むと出てきます。
合格者のうち、実際に入学した学生数を示すこの値は、平成元年には57%近くあったものが、今回の調査では約39%まで下がってきています(大学の場合)。
つまり、受験はしたし、合格もしたけれど入学はしない、という学生が6割以上いるということになります。
やや使い古された事業経営のツールに、「AIDMAの法則」というものがあります。
これは、消費者がある商品を知って購入に至るまでに存在する段階を示したもので、
Attention(注意)→Interest(興味)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)
という順序でその段階が上がっていきます。
そして、それぞれの段階に応じて消費者側への働きかけを行うことで、効果的な購買行動につなげることができる、というわけです。
これは私学とて同じこと。
まずはその存在に気付いてもらうこと、そして興味を持ってもらうこと、さらに受験してもらうこと、最後には入学してもらうこと。
それぞれのステージにおいて、その魅力を伝え、そのことによって学生さんやご家庭から支持を受けてはじめて、「入学」という段階にたどり着くのでしょう。
今後マーケットが縮小する中で、歩留率を向上させることが私学経営にとって重要な位置づけになると私は考えます。
そのための施策を、各私学ともにしっかり考える必要があるでしょう。