すでにご承知のことと思いますが、大きなニュースですので採り上げておきましょう。
「小中一貫校」を制度化、改正学校教育法が成立 : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
小中一貫校は現在、特例でしか認められていませんが、これを「義務教育学校」として制度化する内容の法改正が先日成立しました。
詳細はこちらでご覧いただけます。
改めて新制度の概要を見ておきましょう。
○趣旨・位置付け
学校教育制度の多様化及び弾力化を推進するため、現行の小・中学校に加え、小学校から中学校までの義務教育を一貫して行う「義務教育学校」を新たな学校の種類として規定(学校教育法第1条関係)
○設置者・設置義務
・国公私いずれも設置が可能(学校教育法第2条関係)
・市区町村には、公立小・中学校の設置義務があるが、義務教育学校の設置をもって設置義務の履行(学校教育法第38条関係)○義務教育学校の目的
心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育について、基礎的なものから一貫して施すこと(学校教育法第49条の2関係)
○修業年限
9年(小学校・中学校の学習指導要領を準用するため、前期6年と後期3年の課程に区分)(学校教育法第49条の4及び第49条の5関係)
○教職員関係
・市区町村立の義務教育学校の教職員給与は、国庫負担の対象(義務教育費国庫負担法第2条関係)
・小学校と中学校の免許状の併有を原則(当分の間は例外あり)(教育職員免許法第3条及び附則第20項関係)○施設整備
・施設費国庫負担・補助の対象(小・中学校と同様に、義務教育学校の新築又は増築に要する経費の1/2を負担等)(義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律第3条及び第12条関係)
○施行
2016年4月から
この新制度により、義務教育9年間を「6年・3年」にとらわれず、「4・3・2」制や「5・4」制などに変更することができるようになります。いわゆる中1ギャップの解消が期待されることになりますね。
また、校長が1名とされていますので、小中それぞれに配置されるケースよりも管理対象は広がる一方で、人件費の面では圧縮も可能になりそうです。
そして、公立校の枠組が柔軟になることは、私学にとってはこれまでの優位性を失いかねないという問題も孕みます。
昨今、公設の中高一貫校が私立中高一貫校の存在を脅かしているのと同様に、公立小中一貫校が私立小学校あるいは市立中学校に少なからず影響を与えることは十分に考えられます。
公私間の差異を「金額」にだけ求める時代は終わり、これからは学校ごとにどんな教育(内容、環境…)を提供するのか、が選択の基準になっていくのかもしれません。
いや、むしろそうなるべき、とも言えるでしょう。
どんな学校でありたいか。
その解を、御校でもぜひ導き出していただきたいと思います。