寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

学校における働き方改革に関する総合的な方策(3)

先日訪れた某市役所では、毎週水曜日が定時退庁日だとおっしゃっていました。

今日は水曜日。

貴校園では早めの下校、できていますでしょうか。

 

さて今週は下記答申について連載させていただいております。

 

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今日は第4章。

「学校及び教師が担う業務の明確化・適正化」というタイトルが付いています。

いつものように、概要から。

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これは以前にも提言がなされていましたね。

本来は子どもたちに関わるいくつかの機関が、

勝手に?お互いを補いながら活動するのがベストではないか、

と思うのですが、近年は家庭や社会が担ってきた役割をも学校が担う、

というケースが多くなってきていますので、

このような分担の明確化というのもやむを得ないのかもしれません。

 

大雑把なまとめにはなりますが、

答申に書かれている改善策を大別してみました。

 

・業務そのものの削減

・業務遂行の効率化

・業務の標準化、しくみづくり

・体制の整備

・外部機関によるフォロー

・世間の啓発

 

目の前で改善できることもあれば、

長期を見据えた施策もありそうです。

上記着眼点に沿って、少しずつでも改善が進むことを願っています。

 

ただ注意すべき点として、

私学の場合にはここでいう文科省教育委員会の役割も、

学校法人自身が負わねばならないケースもある、という点が挙げられます。

保護者や地域の理解を得ながら、

学校全体として適切な役割分担を進めたいですね。


(文責:吉田)

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学校における働き方改革に関する総合的な方策(2)

今週は、先般公表された中教審の答申をお届けしております。

 

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今日は2日目。昨日は第1章と第2章をご紹介しました。

 

昨日触れておくべきだったのですが、今回の答申において、

中教審は以下の視点から検討を行っています。

①勤務時間管理の徹底と勤務時間・健康管理を意識した働き方の促進
②学校及び教師が担う業務の明確化・適正化
③学校の組織運営体制の在り方
④教師の勤務の在り方を踏まえた勤務時間制度の改革
⑤学校における働き方改革の実現に向けた環境整備

これが第3章以下の章立てにつながっています。

 

というわけで、本日は第3章を見ていきましょう。

ここから答申の本体が始まる、といったところでしょうか。

まずは概要です。

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答申本文では、勤務時間についての法令等の定めを概観するところから

始まっています。

すでにご承知かとは思いますが、

・私学では労働基準法が全面適用される

労働基準法では週40時間、1日8時間が労働時間の原則的な上限

・1日の勤務時間が6時間超なら45分、8時間超なら1時間の休憩時間が必要

・時間外勤務には時間外手当が必要(だが公立校では給特法が存在)

といったことをしっかり押さえておく必要があります。

 

これらを前提にすると、何より重要なのが

「勤務時間を測定し、把握する」

ということです。

一般企業では当然なされていることなのですが、

学校はこの時点で一苦労、というケースも多いようです。

貴校園はいかがでしょうか。

 

そして、労働安全衛生管理についても上記概要の点が指摘されていますが、

職場環境の整備、という観点から、本文では

「職員室のレイアウト変更」といったことにも言及がなされています。

先ほどのこともそうですが、こういった点は他校での取組よりも、

一般企業での取組例が参考になることも多いように感じます。

 

さらには最も大切な「意識改革」について。

ここはとても重要だと思うのですが、

本文ではたった2ページの記述しかありません。

意識を変える具体的な方法となるとあまり思いつかないものなのかもしれません。

 

私が思うに、まずは管理職が腑に落とすことが何より重要です。

残業を是とする上司のもとでは、部下は必ず長時間労働になります。

逆に、残業を否とする上司が管理すると、業務内容や量は変化せずとも

労働時間は短縮される傾向にあります(内閣府の調査結果が出ています)。

管理職が長時間労働を避けるべきとの認識をしっかり持つよう、

各校においてマネジメントを進めていただきたいと願っております。

 

明日は次章をご紹介します。

 

(文責:吉田)

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学校における働き方改革に関する総合的な方策(1)

中教審から、とっても長い題名の答申が発表になりました。

内容もかなりボリュームがありますので、

今週1週間かけて中身を読み込んでいきたいと思います。

文科省HPより。

 

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まず初日の本日は、 働き方改革の目的と方向性についてです。

概要は以下の通り。

 

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答申本文を読むと、これまでの教員の努力によって、

本の学校教育は大きな成果を生んできたことが強調されています。

そのうえで、それを「持続可能」なものにするためには、

個々の教員の頑張りによって支えられる構図は避けねばならない、

という趣旨が述べられています。私も同感です。

以下、答申から一部引用させていただきます。

教育は人なりと言われるように,我が国の将来を担う子供たちの教育は教師にかかっており,教師とは崇高な使命を持った仕事である。学校における働き方改革の実現により,教師は‘魅力ある仕事’であることが再認識され,これから教師を目指そうとする者が増加し,教師自身も士気を高め,誇りを持って働くことができることは,子供たちの教育の充実に不可欠であり,次代の我が国を創造することにほかならない。

ちょっといかつい文章なのでひるんでしまいそうですが(苦笑)、

教師という素晴らしい職業を目指し、

そこで存分に力を発揮する教師が増えるように、

働き方改革を進めることは重要であることは間違いないでしょう。

 

また、改革の方向性として、上記概要に書かれていること以外に、

現状認識として以下のような点が指摘されています。

  • 本来であれば家庭や地域でなすべきことが,学校に委ねられてきている
  • 授業の教材や指導案等の共有化が進みにくく,経験の蓄積が広がりにくい
  • 学校が組織としての力を発揮するために必要な管理職のマネジメントが十分に働いていない
  • 一人の教師が多くの役割を担う状況になっているなど,学校内の組織体制が整理されていない
  • 学校運営への多様な専門人材の参画や地域との連携が十分にできておらず,「チームとしての学校」運営が十分にできていない
  • 使用者たる管理職は勤務時間を適切に把握・管理する責務がありながら、給特法の存在も相まってその意識が希薄(登下校時間をはじめ活動時間の設定も教職員の所定の勤務時間を意識したものになっていない)

さて、貴校園でのご認識はいかがでしょうか。

私は上記現状は私学であってもあてはまるケースが非常に多いと感じています。

まずはこれらのことを押さえて、改善の方向を定めたいですね。

 

明日は国による働き方改革のしくみについてお届けいたします。

 

(文責:吉田)

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デジタル教科書で健康配慮

いつまでファミコンやってんの!

と親に言われながら育った私の世代。

デジタルものが健康に与える影響は確かに気になります。 

 

というわけで、 日経新聞のこの記事をご紹介します。

www.nikkei.com

 

文部科学省は4日までに、タブレット端末などで利用する「デジタル教科書」の活用指針を公表した。2019年度から小中高校で導入できるようになるが、目の疲れなど健康面に配慮し、使用は各教科の授業時間数の2分の1未満とした。

 

デジタル教科書は新年度から紙の教科書と併用できるようになります。

音声や動画といったコンテンツも使えて、

より分かりやすい授業が展開されそうです。

ただ、教科や内容、指導教員によっては

ずっと画面を見続けることになる可能性もあります。

一定の制約は必要なのかもしれませんね。

 

私の知る限り、私学では学習面でのICT活用にかなり差が出ているような気がします。

活用が進んでいる学校では、ハード面の整備はもちろん、

教職員の意識の差を特に感じます。

デジタル教科書もそのひとつ、ということになるかもしれませんが、

新たなツールを使ってみよう、という気持ちがまずは必要なのでしょうね。

 

より良い学びのために何ができるのか。

学校に関わる大人たちにとっての大きな課題です。

 

(文責:吉田)

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「仕事に満足」その理由は?

仕事に満足する理由は何か?

当然「仕事内容」かと思いきや…

そうではない理由が上位に挙がっているみたいです。

 

日経新聞より。

www.nikkei.com

(会員限定記事となっております。ご了承ください) 


仕事への満足度は男女ともに7割前後と、

性別を問わずある程度高い数値になっているようです。

一方で、その理由は男女差がある、との調査結果が出ています。

 

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「仕事に満足しているか」(5862人が対象)には全体の70%が「はい」と回答。男女別でも男性は69.8%、女性は70.4%とほぼ並ぶ。これらの人に複数回答で理由を聞くと、女性は「勤務時間」が42.1%でトップで「自分のやりたい仕事」が38.9%で続く。男性は「勤務地」(33.4%)が最多で「職場の雰囲気」(29.9%)が2位。

 

ひとつめの驚きは記事のタイトルにある通り、仕事に対する満足の理由の

何とトップが「勤務時間」だという点。

女性にとって勤務時間は非常に重要な要素であることが分かります。

 

この点、学校という職場は現状、かなりビハインドがあるように感じます。

女性教職員に長期間のご勤務をいただきたいとなれば、

現状の勤務時間を打破する施策が求められる、

そんな私学は多いような気がします。

 

そしてもうひとつの驚きは、男性の満足の理由として、

「やりたい仕事」が第3位になっていることです。

1位は勤務地、2位は職場の雰囲気。

もちろん、どちらも大切なことではあるでしょうが…

仕事に対する志を大切にしてほしい、

というのはもはや時代遅れなのでしょうか。

 

このような調査結果を見る限り、仕事に対する考え方が

世代によってかなり異なっているのではないか、と推測できます。

とすれば、今後に向け、各校の人材確保を考える際には

若い世代からも知恵を借りるべきなのではないでしょうか。

組織全体で経営課題を共有し、課題解決を目指すことが求められそうです。

 

(文責:吉田)

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スマホ利用のトラブル

子どもたちのスマホトラブルが後を絶ちません。

日経新聞にこんな記事が掲載されていました。

  

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

スマートフォンスマホ)を利用する小学4~6年生の7.3%が、フィッシング詐欺架空請求、不正ログインなどのサイバー犯罪関連のトラブルに遭っていた――。情報セキュリティー会社トレンドマイクロが保護者を対象に実施した調査で、こんな結果が出た。調査には618人が回答した。

 

先日訪問したある私立小学校でも、管理職の先生方は

スマホをめぐるさまざまなトラブルを懸念されていました。

一方、保護者アンケートを実施すると、安全確保の観点から

「子どもケータイを持つ許可を出してほしい」

とのニーズも数多く聞かれます。

 

先日のその小学校の校長先生はこうおっしゃいます。

「仮に携帯を持っていても、

 親が期待する安全確保が担保される可能性は低いのではないか。

 むしろ、携帯を持つ危険性のほうが、はるかにそれを上回っている」

教育現場に長年携わられたからこその経験で、

子どもたちのリスクを先回りして考えておられる様子でした。

 

子供へのセキュリティー教育は保護者の76.7%が実施していたが、交流サイト(SNS)に投稿した写真を巡り、どんなトラブルがあるかよく知っていると答えた保護者は33.7%にとどまった。

 

保護者が学校に期待することは時代とともに変化し、

かつ増えてきているように感じます。

学校と保護者の役割を明確に線引きすることは難しくても、

双方が連携しながら、子どもたちの安全確保を図る必要がありそうです。

 

(文責:吉田)

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「転職で賃金増えた」前年割れ

転職を煽るかのようなCMも数多く流れ、

少々苦々しく思っていた私ですが、

どうやらその市場に変化の兆しがあるようです。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

 

活況を続けてきた転職市場が転機に差し掛かっている。民間調べによると転職時に前職より賃金が上がった人の割合は2018年10~12月期に1年半ぶりに前年同期を下回った。人材の争奪が続いたIT(情報技術)エンジニアら多くの職種で賃金の伸びが鈍っている。経済の先行きが不透明になり、企業が転職者の採用に慎重になり始めた可能性もある。

 

転職によって処遇が上がるとなれば、

そちらに人が動くのもやむを得ないのかもしれません。

事実、これまではその傾向が強かったようなのですが、

この記事によれば、

・2018年10~12月期に転職で賃金が10%以上増えた人は29.8%

・5四半期ぶりに30%を割り込み、前年同期の伸び率と比べると0.5ポイント低下

とのことです。

それでも「伸び率が下がった」のであって、

賃金水準が下がったわけではないようですね。

 

職種別に見た場合、人材の獲得競争が続いているITエンジニアの勢いが

鈍化したようですが、それ以外でも、接客や販売、営業職、

そして事務系専門職も賃金増の動きが鈍っている、と記事には書かれています。

 

ただ、転職は賃金水準のみで意思決定されるわけではなく、

賃金以外、例えば勤務時間や人間関係などのほうが

むしろ重要なテーマだと言われます。

職場の雰囲気を改善する、というのはやはり大切なのでしょうね。

 

学校現場はこの時期、多忙な状況が続くかと思います。

こういうときこそ、雰囲気を大切にして、

細かな声かけや気遣いを忘れないようにしたいですね。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp