寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

自己診断チェックリスト

素晴らしい!と思わず声を挙げてしまいました。

日本私立学校振興・共済事業団が公表した、この資料です。

 

自己診断チェックリスト(高等学校編)平成29年度版

 

大学編もあります。

 

自己診断チェックリスト(大学・短期大学編)平成29年度版

 

こういうチェックリストは以前からあったのでしょうか。

私は全く知りませんでした。。。

弊社で作成した財務分析はかなり詳細(分析項目は約100個)に実施しており、

5段階評点を付けたり、それをレーダーチャートで表現したり、

なるべく分かりやすいものを…と努めてきたところですが、

このチェックリストは弊社のものと比較しても(僭越ですが)

とてもよくできていると感じました(偉そうな物言いですみません)。

 

以下、その一部を画像でご紹介します。

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いいな、と感じた1つ目の理由は、レーダーチャート。

細かな指標をひとつずつ見ていくのは骨が折れますが、

レーダーチャートなら一目瞭然。

財務分析は学校法人にとっての「健康診断」とも言えますが、

自校の健康状態を知るには手軽で分かりやすいと感じました。

 

2つめに、決算書情報のみならず、

学生生徒数や教職員数にも着眼されている点が挙げられます。

決算書は学校にとっての「通信簿」ですが、

そこにすべての経営情報が掲載されるわけではありません。

特に生産性や経営効率を計測するために必要な

「人数」の情報が不足しているのが決算書の負の特徴です。

ご紹介した資料ではこれらの情報が補完されていて、

より正確な評価がなされるようになっています。

 

3つめに、「目標値」を設定させている、という点。

これまでの経営分析は、あくまでも一般論としての評価、

すなわち「業界平均値」を比較対象としたものであったと感じていますが、

今回の資料を拝見しますと、目標値を設定し、

その目標との比較で評価される項目がいくつかあります。

これはとても大切な着眼点であり、

単なる業界平均との比較ではなく、

自校の理想像との比較を行うことで評価する、

という評価の原点とも言えることが実現されています。

ただ、正確さを期すとどうしても単純さは失われてしまいますので、

あえて申し上げるなら、この点は本資料をやや複雑にしている、

とも言えるかもしれません。

 

コンサル会社が他社のコンサルツールを大絶賛してよいのか、

気持ちは複雑ですが(苦笑)、それでも「良いものは良い」ので、

ぜひとも各校でご活用いただければと思います。

 

(文責:吉田)

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「国家公務員になろうとした理由は何ですか。」人事院の新規採用職員に対するアンケート調査結果について

人事院は、国家公務員採用総合職試験等に合格して採用された新人職員に対して、

志望動機等を把握し今後の人材確保施策へ反映させる観点から、

第52回国家公務員合同初任研修(平成30年4月4日~6日)を受講した

職員749人を対象にアンケート調査を実施しました(有効回答は746人(回収率99.6%))。

 

調査結果のポイントを引用します。

 ○志望動機は「公共のために仕事ができる」 が7割 

志望動機は「公共のために仕事ができる」が7割、「仕事にやりがいがある」が6割、「スケールの大きい仕事ができる」が4割 [問1]

○定年まで公務員を続けたい者は約5割 

定年まで公務員を続けたい者は約5割(前年度比1割減)。いつかは転職を考えたい者は全体で3割 [問3]

○「事務次官級に昇進したい」 が2割 

将来どこまで昇進したいと思うかについて、事務次官級まで昇進したいと回答した者が2割。本府省の局次長・審議官級以上は約6割 [問4]

○上司に求められるのは「コミュニケーション力」 

どのようなタイプの上司の下で仕事がしたいかについては、「部下と積極的にコミュニケーションを取る」が5割。「指示が明確である」「言動に一貫性がある(芯がぶれない)」も4割。一方、「厳しく育ててくれる」は約1割[問6]

となっています。

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「総合職試験等からの新規採用職員に対するアンケート調査の結果」より

アンケート調査からは、今の若者は「安定した生活」よりも「公共のため」や「やりがい」を重要視していることが分かります。

また、経年比較すると、ここ1,2年においては民間企業の内定が増えているのかよく分かります。有効求人倍率が示す通りの結果となっているのではないでしょうか。

 

個人的に興味を引かれた質問が「問3 国家公務員としていつまで働きたいと思いますか。」です。

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「総合職試験等からの新規採用職員に対するアンケート調査の結果」より

 

 約半数の46.2%の職員が定年まで働きたいと回答しているものの、現時点で転職を考えている職員が3割もいることに驚きました。

(働き始めてすぐのアンケートですが、素直に答えているんですね。)

これまでも散々言われてきたことではありますが、「終身雇用」や「年功序列」といった価値観は持ち合わせていない世代であることが見て取れます。

 

学校経営においても人材確保は難しい問題です。長期の安定よりもやりがいを求める若者をどのようにして取り込むか、生徒・保護者に対するPRと同様、先生向けのPRが重要となってくるのではないでしょうか。

 

(文責:長森)

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セミナーをふりかえって

先週金曜日、弊社主催セミナーを開催いたしました。

 

弊社が主催するセミナーとしては初の神戸開催。

対象は幼稚園・認定こども園の皆様で、セミナータイトルは

「残業ゼロ!の幼稚園・こども園~現場の「働き方改革」実践例とそのポイント~」。

 

告知後、早々に満席となってしまい、

お越しいただけなかった方々にはご迷惑をおかけしましたこと、

改めましてお詫び申し上げます。

 

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(当日の風景です)

 

今回のセミナーの最大の特徴は、

講師が実際に園の運営に携わっておられることです。

そして、ご登壇いただいた船瀬副園長には、

普段のお仕事内容を包み隠さずお話しいただき、

ご参加いただいた方々は皆熱心にご受講されていました。

 

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(身振りを交えながら熱心に説明される、当日の船瀬講師です)

 

自園の以前の状況をふりかえりながら、

残業が前提となっている働き方をなんとかせねばと決意し、

その後どのようにしくみを整えていったのかを細かく説明。

現在園で運用されている業務管理シートも披露する大盤振る舞いで、

受講者の皆様はその内容に興味津々のご様子でした。

このブログで詳細に触れることはできませんが、

終了後のアンケートを拝見しても、満足度の高さがうかがえます。

 

非常に印象的だったのは、終了後の質疑応答です。

約1時間半の講義が終わり、その後に質疑応答の時間を30分確保していたのですが、

予定時間を経過しても質問は全く終わる気配がなく、

いったん中締めをさせていただいた後、さらに30分、

講師席の周辺に数多くの受講生が詰めかけられて

講師を質問攻めにしておられました。

 

幼稚園や認定こども園においては、

残業や業務時間管理が大きな経営課題になっていることが多くあります。

しかし、今回ご講演いただいた船瀬副園長の園をはじめ、

上手な時間管理を実現しておられる園も存在しているのは事実です。

今回の研修が、各園のマネジメントに活用いただけることを心から願っております。

 

(文責:吉田)

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地方留学の推進に関する研究調査

日本財団は2018年6月20日、地域の高校に入学する「地方留学」の

全国調査実態調査の結果を発表しました。

以下、調査対象を抜粋いたします。 

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「地方留学の推進に関する調査研究(概要版)」より

 

今回の調査により明らかになったこととして以下のことが挙げられています。

  1. 地方留学を経験した生徒の4人に3人が、地方留学による成長を実感している
  2. 都市部在住生徒の約4割、保護者の約5割が地方留学に関心を有している
  3. 地方留学が将来的な地域の“関係人口”創出に寄与する可能性

地方留学に対するニーズが高まっていることがわかり、正直驚きました。

 

日本財団によりますと、

 2018年6月15日に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生基本方針2018」では、地方への新しい人の流れをつくるための施策として、「地方の高等学校等への地域外就学等の促進」を掲げています。また、同日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」(通称、「骨太の方針」)においても、「地域振興の核としての高等学校の機能強化を進める」ことが明記されるなど、地方創生に対する高等学校への期待が高まっています。

とまとめられています。

 

 

実際に地方留学を選択した生徒へのアンケートでは、

中学時代に肯定的な認識をもっているものが多数を占めているものの、

勉強についていけなかった、勉強が楽しくなかったという者も3割以上おり、

さまざまな背景を持った生徒に選択されています。

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「地方留学の推進に関する調査研究(概要版)」より

 

なるほど、中学時代の経験がその後の進路に影響を与えているんですね。

生徒たちにとっては選択肢が広がるとてもよい政策に感じますね。

 

一方で、受け入れ側となる学校や教育委員会においては、

政策意義や教育的効果が不明確であることが障害となっています。

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「地方留学の推進に関する調査研究(概要版)」より

 

政策を実行するためには官・民の協力体制を築かなければなりませんが、

この協力体制が強固なものになれば、さらに地方留学が進むのではないかと考えられますね。

 

学校経営において募集対策は必須ですが、このようにしてみると「官」の協力があることは、私学経営に携わるものとしてとてもうらやましく思います。

資料の中にニーズの掘り起こしに関するまとめがありましたので抜粋します。

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「地方留学の推進に関する調査研究(概要版)」より

地方留学に関心があると答えた26万人と同様に潜在関心層24万人にも注意が払われていますね。

このようにしてみると、顕在化している需要と同程度の需要が潜在的に眠っていることがわかります。

 

私立の学校を選ぶ際にも潜在的な需要は間違いなく隠れているでしょう。

ニーズ拡大のカギは「適切な情報発信」と「プラットフォーム機能」とまとめられています。

保護者や生徒は受験期になるまで、「進学先の学校で何をしているか」なんてことは意外と知らないことが多いのではないでしょうか。

丁寧で効果的な情報発信をし続けることが募集の第一歩です。

御校の情報発信について一度整理されてみてはいかがでしょうか。 

 

(文責:長森)

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平成30年度版交通安全白書

内閣府が平成30年6月15日に発表した平成30年度版交通安全白書によりますと、

交通事故死者数は3,694人と現行の交通事故統計となった昭和23年以降で最小となりました。

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「平成30年度版交通安全白書」より

 

グラフからは交通事故発生件数も負傷者数も減少していることが読み取れます。

白書では、

このような状況の中,交通事故による死傷者数を減少させるためには,

事故を未然に防止し,また被害を軽減するための取組が重要であり,

そのためには,先端技術を活用した施策の推進が有用と考えられる。

「第10次交通安全基本計画」(平成28年3月決定)は,

平成32年までに24時間死者数を2,500人以下とし,世界一安全な道路交通を実現する」ためには,

これまでの施策を一層充実させることはもちろん,

先端技術を活用した安全支援システムの開発普及や情報の効果的な活用を強力に推進していくことが必要である。

とまとめています。

最近では自動車の誤発進抑制装置や自動運転技術によって交通事故が減っている事からも技術革新が更に進むことを期待したいですね。

 

交通安全白書では、道路交通安全施策の現況の中で

「児童・生徒の交通事故防止対策について」も報告されています。

児童・生徒の交通事故死者数および死傷者数は減少傾向で推移していますが、

交通事故の特徴として、歩行中の事故は小学1年生が死者・死傷者数ともに最多となっており、このうち死者数は小学6年生の8倍になっています。 

f:id:ysconsult:20180621100607p:plain「平成30年度版交通安全白書」より

 また、自転車乗用中事故では小学6年生から中学1年生で死者数が倍増、中学3年生から高校1年生で死傷者数が3倍に増加し、高校1年生が死者・死傷者数ともに最多となっています。

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「平成30年度版交通安全白書」より

 

では時間帯別ではどのようになっているのでしょうか。

小学生の歩行中事故からみていきます。

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「平成30年度版交通安全白書」より

やはりと言いますか、登下校中の時間帯に集中していますね。

中学生・高校生についてもみてみましょう。

 

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「平成30年度版交通安全白書」より

小学生よりも、登校中の時間帯に集中していますね。

 

児童・生徒の事故の多くは登下校中に起こっていることを考えると、

保護者にとって「通学の安全性」は学校選びのポイントのひとつであることは間違いないでしょう。

どのように児童・生徒の登下校中の安全を確保するか、を検討することが募集対策のひとつになるというのは言い過ぎではないと思います。

 

(文責:長森)

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国家公務員 兼業容認へ

先日の日本経済新聞に掲載されたニュースです。

 

www.nikkei.com

 

記事の冒頭にはこうあります。

政府は国家公務員の兼業を正式に認める調整に入った。兼業をほとんど認めてこなかった従来方針を改め、NPO法人や非政府組織(NGO)などの「公益的活動」を目的とした兼業に限り認める方針。政策・法律の知見を民間でも活用し、地域の活性化につなげる。公文書改ざんなど最近の不祥事では内輪の論理も目立つ。民間で経験を積んだ、視野の広い官僚を育てる狙いもある。

 

公務員のノウハウを民間に活かす、という観点。

そして、民間での経験を公務員自身が活かす、という観点。

どんな業界であっても、

「業界の常識は世間の非常識」

という現象が起きがちであることを考えれば、

このような動きの効果を期待したいところです。

 

一方で、兼業はなかなか難しい問題をはらんでいます。

情報漏えい、利益誘導…といった危険はないのか。

そもそも、兼業先での勤務時間をどう捻出するのか。

時間的には多少余裕があったとしても、

本業先でめいっぱいのエネルギーを使っている人たちにとっては、

兼業などできるはずがないのでは…と、私などは思ってしまいます。

 

学校で働く皆さんはいかがでしょうか。

仮に兼業ができるようになった場合、実際に兼業するためには

かなり多くの課題を解決しなくてはならないような気がします。

 

と、兼業にはやや消極的な私ですが、

今回の記事の末尾にこんな記述があり、なるほど、と感じました。

政府が国家公務員の兼業容認に本腰を入れる背景には、民間の人手不足がある。特に人材難に悩むNPOは多く、過去3年で大手転職サイトへの求人掲載数は3倍以上に急増した。専門性の高い人材の引き合いも強い

 (赤文字は筆者による加工です)

 

学校の教職員さんは高い専門性を有している、これは事実です。

人材不足の中で、それをより有意義に活用できれば、というのは

確かに重要な視点であるかもしれません。

兼業が難しくても、例えば複数の学校法人で人材の共通化を行う、

というのは可能かもしれませんよね。

ひょっとすると、この話題には人材の確保と活用に向けた

ヒントが隠れているのかも、と思わされました。

 

(文責:吉田)

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24時間いつでも利用可能、電子図書館

神戸市が楽天の「電子図書館サービス」を6月22日から試験導入することが発表されました。 

resemom.jp

 

記事によりますと、サービス開始時に貸出可能な電子図書は、

石田衣良の小説や池上彰の解説本、飛田和緒の料理本など、実用書約1,000冊。

著作権の切れた文学作品などを扱う「青空文庫」約1万冊も加わる。

約2年間の試行実施期間中、随時冊数を追加し、最終的には1万3,000冊程度を扱う予定。

 

「たった1万3,000冊しか蔵書しないの?」と思ったのですが、

公共図書館は「紙の本」であれば無料貸し出しできるものの、「電子書籍」については著作権の問題をクリアしなければならないため貸し出しができないのですね。

(余談ですが、神戸市にも提供される「OverDrive」は、

米国、カナダ、英国などを含む約50カ国で、

約5,000の出版社が提供する250万以上のタイトルを取り扱い、

3万を超える施設にサービスを提供しています。)

 

この電子図書館システムを使った導入事例は公共図書館に限ったものではないようです。

overdrivejapan.jp

 

導入事例として、近畿大学中央図書館や、工学院大学附属中学校・高等学校、清泉インターナショナルスクールなどが紹介されています。

 

この他にもさまざまな電子図書館サービスがあります。

www.jdls.co.jp

こちらのシステムは、聖徳学園中学・高等学校、中央大学附属中学校・高等学校クラーク記念国際高等学校、関西創価高等学校など、18館の学校図書館に導入されています。

 

公共図書館のみならず、学校にも導入される電子図書館のメリットは一体何なんでしょうか。

  1. いつでもどこでもアクセスが可能
  2. 一度に多人数に貸し出せる
  3. 書籍を保管する物理的なスペースが要らない
  4. 図書館の維持・管理コストを削減できる

などが挙げられるのではないでしょうか。

著作権法などクリアしなければならない課題はまだまだありますが、

電子図書館の導入は学校法人にとっても大きなメリットがあるように思います。

特に施設の老朽化や改築、建替えを考えられている学校があれば一度検討されてみてはいかがでしょう。

 

(文責:長森)

www.ysmc.co.jp