寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

私立高等学校 入学志願動向

日本私立学校振興・共済事業団から、気になるデータが発表されました。

 

平成28(2 0 1 6)年度 私立高等学校 入学志願動向 日本私立学校振興・共済事業団

 

同事業団が実施している「学校法人等基礎調査」から、私立高等学校の入学者等に関する項目のデータを集計したもの、との説明がなされています。

私立高校の経営環境を知るには有用な資料だと感じましたので、概要を押さえておくことにしましょう。

 

まずは「私立高等学校の概況」について。

(1)学校数

集計学校数: 1,289 校(集計率 97.6%/前年度比 4 校増)

(2)入学定員

入学定員: 411,310 人(前年度比 1,249 人(0.3%)増)

(3)入学者等

前年度比で志願者 0.9%増、受験者 0.9%増、合格者 0.6%増、入学者 1.3%増

(4)入学定員充足率

入学定員充足率: 85.09%(前年度比 0.88 ポイント増)

入学定員充足率が 100%未満の学校数: 1,289 校中 902 校(70.0%/1.4ポイント減)

50%未満の学校数: 149 校(11.6%/前年度同率)

※平成 14 年度と比較すると、集計学校数は 15 校増加したが、入学定員充足率が 50%未満の学校数は 146 校から 149 校と微増であった。

(5)学校別入学定員充足率

前年度に入学定員を充足していた学校のうち、平成 28 年度に入学定員充足率が上昇した学校は 75 校、下降した学校は157 校。

前年度に入学定員が未充足の学校では、平成 28 年度に入学定員充足率が上昇した学校は 323 校、下降した学校は 234 校。

前年度に入学定員を充足していたが平成 28 年度に未充足となった学校は 85 校。

前年度に入学定員が未充足であったが平成 28 年度に入学定員を充足した学校は 102校。

まずはここまで。

(3)を見ると、全国的に見た場合には、私学への志願者・入学者ともに増えているとの結果のように見えますが、そもそも本調査の集計対象の学校数が増えていますので、必ずしもそうとも言えない、という可能性が残ります。

ただ、各数値を校数で除して平均値を求めてみると、入学者数については確実に増えているようです。

ところが、入学定員を満たしていない学校の数は全体の7割に上っています。

7割とは大変な高率です。

これでも前年より減っているとの結果ですので、状況は深刻です。 

 

上記の結果をジャンル別に細かく見てみると、こんなふうになります。

(6)都道府県別の動向

○平成 28 年度の動向
・志願倍率が最も高いのは群馬県で、以下、岡山県茨城県大分県
・入学定員充足率が最も高いのは岡山県で、以下、埼玉県、新潟県

○5 ヵ年の推移:平成 24 年度と 28 年度の志願倍率、入学定員充足率の比較
・志願倍率と入学定員充足率がともに上昇しているのは、22 都府県。
・志願倍率が特に上昇しているのは、大分県岡山県・神奈川県で、いずれも 0.6 ポイント以上上昇。一方、群馬県は約 1.3 ポイント下降。
・入学定員充足率が特に上昇しているのは、高知県沖縄県・石川県・長野県で、いずれも 7 ポイント以上上昇している。一方、大阪府は約 7 ポイント下降。

(7)男子校・女子校・共学校別の動向

○平成 28 年度の動向
・志願倍率が最も高いのは、共学校で、以下、男子校、女子校。
・合格率が最も高いのは、女子校で、以下、共学校、男子校。
入学定員充足率が最も高いのは、共学校で、以下、男子校、女子校。
・上記 3 つ(志願倍率、合格率、入学定員充足率)について、男子校・女子校・共学校別の順番は、平成 14 年度以降変化がみられない。
・歩留率が最も高いのは、男子校で、以下、女子校、共学校。この順番は、平成 26 年度に男子校と女子校が入れ替わって以降変わっていない。

○平成 14 年度からの 15 年間の推移
・志願倍率は、いずれの種別も下降傾向が続いている。
・合格率は、女子校は 95%前後、共学校は 90%前後、男子校は 85%前後で推移している。
・歩留率は、男子校は上昇傾向にあり、共学校は 30%前後で 15 年間ほぼ変わらない。
・集計学校数は、男子校が 57 校、女子校が 93 校減少したのに対し、共学校は 165 校増加している。

私学の存在感は、各自治体によって大きく異なるものと思われます。

本資料p.12~13には都道府県別の集計結果が出ていますが、 志願倍率や歩留率にはかなり開きがあります。

ちなみに、定員充足率は埼玉県が107.51%であるのに対し、教育先進県と言われる秋田県で48.02%となっています。

御校の所在する自治体についてはいかがでしょうか。

 

また、男女別というカテゴリでは女子校が苦戦模様になっているようです。

ここ15年程度で、男子校あるいは女子校から共学校へと変化するケースもかなり多く見られ、男子校も女子校も学校数は大幅に減ってきているにもかかわらず、定員充足率はそれほど変わっていないわけですから、志願者数の減り方のすさまじさが分かります(事実、15年で半減しています)。

一方で、歩留率は男子校が高くなっており、その魅力の高さを示しているようにも思えます。

 

そして、今後の学校規模を考えるうえで参考になりそうなのがこちらです。

(8)規模別の動向

○平成 28 年度の動向
・志願倍率が最も高いのは、入学定員が 800 人以上 1,000 人未満の区分で、以下、400人以上 500 人未満、600 人以上 800 人未満、1,000 人以上となっている。
・入学定員充足率が最も高いのは、300 人以上 400 人未満の学校で、以下、200 人以上 300人未満、400 人以上 500 人未満の区分となっている。
・志願倍率は入学定員規模が大きくなると高くなる傾向にあるが、入学定員充足率は入学定員 300 人以上 400 人未満が最も高い。このように志願倍率の高い入学定員規模別区分と、入学定員充足率の高い入学定員規模別区分とは必ずしも一致していない。

 「定員」が教育上、さらには経営上も適正規模を示すとすれば、そこからの乖離は極力避けねばなりません。

現状、定員充足率が85%を超えているのは入学定員200~500人の範囲となっています。学校規模を想定する際のひとつの目安になるのではないでしょうか。

 

なお、この資料の末尾付近(p.37~44)には各都道府県別の「15歳人口の推移と入学者動向」を示した表とグラフが掲載されています。傾向が一目でつかめますので是非ご覧になってください。

 

そしてさらに気になるデータがp.45に。

都道府県別の15歳人口の過去~未来にかけての推移実績・予測です。

全国的には、ここからたった3年で15歳人口は5%減ります。

ちなみに、平成28年度までの間、5%減少するのにかかった時間は11年です(平成17年度が平成28年度の5%増しだったということ)。

急速な年少人口の減少がやってくる中で、各校の規模設定はより厳格さが求められることになります。

 

(文責:吉田)

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中学受験をする理由

受験シーズンも終わり、新たな年度が始まろうとしています。

我が家の長女も第一志望の公立高校に無事合格し、ひと安心しております。

 

ただ、少子化の影響により、私学にとっては目標の入学者数を確保できるかが学校経営を大きく左右することは言うまでもありません。

特に、多くの子どもたちが公立中学へ進学する中で、中学校を持つ学校法人にとって生徒を安定的に確保することは非常に難しい課題なのではないでしょうか。

 

では、そもそも私立中学へ進学する生徒もしくは保護者はどのような理由で受験をするのでしょうか。

 

chukou.passnavi.com

 

「中学受験 高校受験 パスナビ」からの引用ですが、これによると5つの理由が挙げられています。

 

理由その1 大学進学に有利

■ 難関私立大学、人気私立大学へ推薦入試で進学できる

保護者の方がお子さんに中学受験をさせる理由として最も多く挙げるのがこれでしょう。
私立中学の場合であれば、高校、大学と併設されている学校も多く、将来、これらの学校へ推薦入学制度で進学することができます。
これらの高校は付属中学も備えているので、将来、これらの私立大学へ進学を考えているのなら、中学から入学しておくほうが有利といえるでしょう。

■ 難関国公立大学への入試対策も万全

一方、国公立大学や系列大学以外への進学に関しても、私立校や公立中高一貫校が有利です。私立校の最大の特長は、自由なカリキュラムを学校が独自に組めることです。教科の授業時間数が公立校に比べて多いので授業を速く進めることができます。
また、6年間をトータルで考えた指導ができるので、進学校では高2か高3の初めまでに高校の教科書を終わらせ、あとは本格的な大学受験対策の授業へと進むところが大多数です。
中高一貫校では、このような学習環境にあるので、同じレベルの学力の子たちが一緒になって学び、競い合うことが可能です。その結果、大学受験でも難関大に多くの合格者を送り出しています。

 

理由その2 一貫した教育方針の下での指導が受けられる

私立中学校や公立中高一貫校では、学校ごとに「こういう人間を育てたい」という建学の精神に基づいた教育方針があります。
たとえば、私立校であれば「自主自律の精神を育む」、「他者のために尽くす」、公立中高一貫校であれば「国際社会で活躍できる」、「リーダーとしての資質を持つ」人材の育成などが方針として掲げられています。授業はもちろん、行事・クラブ活動、生活態度や普段の行動などもこの方針の下に指導されます。

 

理由その3 人間教育を重視した指導が受けられる

私立中学では宗教教育を行っている学校も多く、キリスト教系では豊かな人間性、奉仕の精神に基づいた全人教育が、仏教系の学校では建学の仏教精神を土壌とした人間教育が行われています。
また、授業においては、女子は礼法・作法、華道・茶道を、男子は柔道・剣道などの武道を取り入れている学校も見られます。行事やクラブ活動を大事にしている学校も多く、行事はクラスの団結力を高めることを、クラブ活動は友情や自主性を育むことを目的としています。

 

理由その4 時代にマッチした授業が受けられる

多くの私立中学では、将来、国際社会で活躍できるよう英語力を高める授業や、また英語以外の語学教育にも力を入れています。たとえば、海外の大学への進学を目指した国際学級を設置しているところもあります。
授業にパソコンを活用したり、大学進学後や社会に出てからも活躍できるようにプレゼン能力、ディスカッション能力を高めるための授業を行うところも増えています。他にもキャリア教育、体験学習など、子どもの未来を考えた教育が行われています。

 

理由その5 最新の設備・施設と豊富な学校行事

施設の充実には、各学校とも力を入れています。全教室冷暖房完備、全天候型グラウンド、LL教室、メディアセンターなどを備えた学校も多数あります。最近では、新校舎の建設や旧校舎の改築など安全で快適な施設づくりが盛んです。
学校行事はユニークなものが多く、創立当初から続く歴史的イベントや宗教行事、スポーツイベントなど、その内容もバラエティー豊かです。
スポーツ以外にも、茶道、礼法など、将来役に立つ技術を身につけられる学校もたくさんあります。

 

2017年度入試の結果を見ても、一部の超難関中学、難関中学と呼ばれる私立中学の競争率がどこも高かったことから見ても、「理由その1」がやはり最も大きいと言えそうですね。

 

では、私立中学受験は一部の成績上位層のためだけに行われているのかといえば、もちろんそんなことはないはずです。

 

理由その2「一貫した教育方針の下での指導が受けられる」であったり、理由その4「時代にマッチした授業が受けられる」こそが私立中高一貫校にとっての最も大きな武器になるのではないかと個人的には感じます(その副産物として進学実績が伸びればなお印象は良いのでしょうが)。

 

上記の5つの理由こそが私立中学を受験する生徒や保護者の私立中学に対するニーズであり、2017年度や過年度の入試で目標の入学者数に達しなかった学校は、それらのニーズの何らかを満たすことができていなかった、もしくは十分なアピールができていなかったということが言えるのではないでしょうか。

 

各校におかれましては、2017年度の入試結果も出揃い、総括をされること思いますが、上記の5つの理由を中心に現状把握(=原因の特定)をしっかりと行った上で、次年度の生徒募集に向けた計画の策定を行っていただければと思います。

 

(文責:木村)

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卒業予定者の就職内定状況

毎年この時期になるとご紹介しているような気がする、就職内定状況。

進路、というとどうしても「進学先」をイメージしてしまいがちですが、本来の進路は社会に出ることを意味しますよね。

その意味において、学校を卒業した子供たちの就職状況はぜひとも押さえておきたい指標のひとつではないでしょうか。

 

まずは大卒者の就職内定状況について。

厚生労働省HPより。

平成28年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(2月1日現在)について |報道発表資料|厚生労働省

 

上記ページのタイトルすぐ下に、こんな副題が付いています。

~大学生の就職内定率は90.6%と前年同期比2.8ポイント上昇し、調査開始以降同時期で過去最高~

 

内定率の概要は以下の通りです。

・大学(学部):90.6%(前年同期比2.8ポイント増)

・短期大学:88.5%(同2.5ポイント増)

・大学等(大学、短期大学、高等専門学校)全体:90.9%(同2.7ポイント増)

専修学校(専門課程):90.2%(同2.3ポイント増)。

 

もう少し詳しく見ると…

○ 大学のうち国公立大学の就職内定率:90.9%(同1.3ポイント増)/私立大学:90.5%(同3.2ポイント増)。

○ 男女別では、男子大学生の就職内定率:88.8%(同2.3ポイント増)/女子:92.8%(同3.5ポイント増)。国公立大学では男子が高く、私立大では女子が高くなっています。

○ 文系・理系別では、文系の就職内定率:90.3%(同3.0ポイント増)、理系:92.1%(同1.9ポイント増)。

○ 地域別では、関東地区及び近畿地区の就職内定率が最も高い(91.9%)。

就職の状況はかなり良好な水準になっているようですね。

 

では中高卒の子どもたちはどうでしょうか。

同じく厚労省HPより。 

平成28年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・内定状況」取りまとめ |報道発表資料|厚生労働省

 

こちらもこんな副題が付いていました。

~高校生の就職内定率は94.0%と前年同期比0.4ポイント上昇。平成5年3月卒以来24年ぶりの水準。平成29年1月末現在~

 

概要はこうなっています。 

【高校新卒者】
○ 就職内定率:94.0%(前年同期比0.4ポイント増) 
○ 就職内定者数:約16万5千人(同0.6%増)
○ 求人数: 約38万4千人(同9.8%増)
○ 求職者数:約17万6千人(同0.3%増)
求人倍率:2.19倍(同0.19ポイント増)

【中学新卒者】
○ 就職内定率:12.9%(前年同期比21.3ポイント減) 
○ 就職内定者数:122人(同59.5%減)
○ 求人数:1,612人(同4.1%増)
○ 求職者数:945人(同7.4%増)

求人倍率:1.71倍(同0.05ポイント減)

高卒と中卒では明暗が分かれた格好です。

中卒者に関しては、求人数も求職者数も前年を上回っていながら、内定数や内定率は大幅に下がっています。 

一方、高卒者は大卒同様、歴史的に見ても高い内定率となったようです。

 

先日訪れたある学校においても、進路指導について話題になっていました。

社会で活躍できる人材を育てるために、学校はどうあるべきか、と。

簡単に答えが見つかるとは思えませんが、このような問いに愚直に向き合える学校さんは素晴らしいな、と感じました。

御校でもぜひ、子どもたちの末永い進路について考えてみませんか。

 

(文責:吉田)

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「新入社員に対する社会人の意識調査」と弊社セミナーのお知らせ

いよいよ4月が近づいてきました。

夢と希望に満ち溢れた新入教職員を迎え入れる学校や幼稚園も多いのではないでしょうか。

新入教職員といえども、入職した瞬間から一人の社会人として扱われますので、社会人としてのマナーや常識を少しでも早く身に付けてもらわなければいけませんね。

ただ、学生気分が抜けきらなかったり、ビジネスマナーを知らないがために、様々な悲劇が起こっているようです・・・

 

news.mynavi.jp

 

マクロミルが発表した「新入社員に対する社会人の意識調査」によると、入社1カ月以内の新入社員が取っていた行動に対し、「許せない」と思ったランキングは以下のとおりです。

 

1位:挨拶をしない(79.9%)

2位:遅刻をする(79.5%)

3位:何も言わずに帰る(60.9%)

4位:仕事中にプライベート携帯をいじる(59.4%)

5位:言葉遣いが丁寧ではない(56.8%)

6位:休憩が多い(54.2%)

7位:電話が鳴っても取らない(52.5%)

8位:忙しいはずなのに定時退社する(45.5%)

9位:なれなれしい態度(45.1%)

10位:本人の歓迎会に参加しない(40.4%)

 

にわかに信じられない行動ばかりが並んでいますが、実際に体験して「許せない!」と感じたものばかりですので、どこの職場においてもありえない話ではないということですね。私も過去にランキング項目のいくつかが該当する新入社員を受け入れた苦い思い出がありますが、毎日何かと疲れさせられたことを今でもはっきりと覚えています・・・

 

このような悲劇(?)を撲滅すべく、弊社では学校教職員の方々を対象としたビジネスマナー研修を4月21日(金)に実施いたします。

 

www.ysmc.co.jp

 

セミナーの概要は以下の通りです。

  1. 学校教職員としての心構え
  2. 接遇・ビジネスマナーの基本(挨拶・身だしなみ・言葉遣い・来客対応・電話対応 等)
  3. 接遇・ビジネスマナーの応用(コミュニケーションスキル)

 

会場は地下鉄東梅田駅から徒歩すぐ、研修は3時間(14時~17時)、受講料は2,000円とお気軽にご参加いただける内容となっておりますので、この春、新たに教職員を迎え入れる予定がおありの学校、幼稚園の皆様におかれましては、新入教職員の方々のご参加を是非ご検討いただければと思います。

 

なお、主に新入教職員の方々を対象としていますが、「これまでビジネスマナーなんて誰からも教わったことがない!」という中堅教職員の方々のご参加ももちろん大歓迎です。

 

(文責:木村)

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高校生の勉強と生活に関する意識調査報告書-日本・米国・中国・韓国の比較- (授業編)

国立青少年教育振興機構が3月13日、日本・アメリカ・中国・韓国の4か国を比較した「高校生の勉強と生活に関する意識調査報告書」を公開しました。

 

その中から本日は「授業について」の調査結果をご紹介いたします。

 

 

www.niye.go.jp

 

 まず、授業の進め方について、どのような形式が多いかに関する質問の回答結果です。 

 

教科書以外の本、模型、現物など、いろいろな教材や教具を使って教える授業

  • 日本:25.0%
  • 米国:46.4%
  • 中国:68.9%
  • 韓国:32.1% 

 

タブレット 、電子黒板、実物投影機・DVD・動画、プレゼンテーションソフトなどを活用する授業

  • 日本:15.3%
  • 米国:85.1%
  • 中国:87.1%
  • 韓国:67.6%

 

個人で調べたり、まとめたり、発表する授業

  • 日本:16.6%
  • 米国:62.0%
  • 中国:44.9%
  • 韓国:28.5%

 

グループで課題を決め、考えたり調べたりする授業

  • 日本:11.9%
  • 米国:28.8%
  • 中国:57.1%
  • 韓国:34.9%

  

 学校外での見学や体験をする授業

  • 日本:5.3%
  • 米国:10.5%
  • 中国:29.1%
  • 韓国:13.7%

 

なんとなんと、上記の全ての項目において、日本は最も低い数値となっておりました・・・。

特に電子教材の活用状況に関しては、他国と比較するとかなり遅れている結果になっています。日本においても電子教材の導入は進んできているようですが、活用の状況はまだまだといったところでしょうか。

また、他の項目からは、アクティブラーニング型の授業も他国と比較すると導入が進んでいないことを読み取ることができます。

昨今、教員の長時間労働が大きな問題になっていますが、学校全体として教育内容のブラッシュアップのために必要な時間を割くことができてこなかったことの結果なのではないかなと感じてしまいます。

 

 

 次に、授業中に高校生自身がどのような態度や行動をとっているかに関する質問の回答結果です。

 

授業中、きちんとノートをとる

  • 日本:79.4%
  • 米国:60.8%
  • 中国:67.7%
  • 韓国:50.8%

 

さすが日本の高校生、他国の高校生と比べノートをしっかりとっています!

ただ、前述の授業の進め方を見ると、日本の高校の授業は必然的にノートをとらなければいけないような内容であるとも言えそうですね。

 

問題はここからです・・・

 

授業中、居眠りをする

  • 日本:15.0%
  • 米国:3.8%
  • 中国:3.3%
  • 韓国:8.4%

 

これについても、講義型の授業が中心だからなのでしょうか、はたまたクラブ活動で疲れ切っているのでしょうか、日本の高校生は断トツに居眠りをしていますね・・・

 

グループワークの時には積極的に参加する

  • 日本:25.3%
  • 米国:68.1%
  • 中国:45.4%
  • 韓国:54.2%

 

国民性でしょうか、それとも学校教育の伝統なのでしょうか、これも突出して日本は低い数値になっていますね。

ここにも、今後の教育内容を検討する上でのヒントがありそうですね。

 

教育のプロではありませんので偉そうなことは言えませんが、このような客観的なデータを踏まえた上で、学校のあり方、授業の進め方についてはまだまだ再考の余地があるのではないかと感じます。

 

 

(文責:木村)

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部活動指導員に関する省令改正

文部科学省からの情報発信を多く掲載する本ブログですが、その外局にあたるスポーツ庁の情報はほとんど採り上げたことがないような…

そこで、というわけではありませんが、本日はスポーツ庁からの情報をお届けします。

 

学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知):スポーツ庁

 

上記タイトルを読んだだけでは何のことかわからないのですが、その概要は以下の通りです。

(文章は上記ページより抜粋、太字は筆者が加工しています)

今回の改正は,中学校,義務教育学校の後期課程,高等学校,中等教育学校並びに特別支援学校の中等部及び高等部(以下「学校」という。)におけるスポーツ,文化,科学等に関する教育活動(学校の教育課程として行われるものを除く。)に係る技術的な指導に従事する部活動指導員について,その名称及び職務等を明らかにすることにより,学校における部活動の指導体制の充実が図られるようにするものです。

要するに、中・高における部活動指導員に関する省令の改正ということです。

なお、この内容は私学にも当然適用があります。

そして、施行期日は今年の4月1日となっています。つまり、あと10日足らずですね。

 

ページに記載のある「留意事項」について抜粋し、特に留意すべきところを赤文字にしてみましたのでご参考にどうぞ。

1 部活動指導員の職務

(1)部活動指導員は,学校の教育計画に基づき生徒の自主的,自発的な参加により行われるスポーツ,文化,科学等に関する教育活動(学校の教育課程として行われるものを除く。)である部活動において,校長の監督を受け,技術的な指導に従事すること。

(2)部活動指導員の職務は,部活動に係る以下のものが考えられること。なお,部活動指導員が置かれる場合であっても,これらの職務を教諭等が行うことを妨げるものではないこと。
・実技指導
・安全・障害予防に関する知識・技能の指導
・学校外での活動(大会・練習試合等)の引率
・用具・施設の点検・管理
・部活動の管理運営(会計管理等)
・保護者等への連絡
年間・月間指導計画の作成
部活動指導員が作成する場合は,学校教育の一環である部活動と教育課程との関連を図るためなど必要に応じ教諭等と連携して作成し,校長の承認を得ること。
生徒指導に係る対応
部活動指導員は,部活動中,日常的な生徒指導に係る対応を行うこと。いじめ暴力行為等の事案が発生した場合等には,速やかに教諭等に連絡し,教諭等とともに学校として組織的に対応を行うこと。
事故が発生した場合の現場対応
部活動指導員は,事故が発生した場合は,応急手当,救急車の要請,医療機関への搬送,保護者への連絡等を行い,必ず教諭等へ報告すること。特に,重大な事故が発生した場合には,学校全体で協力して対応する必要があるため,直ちに教諭等に連絡すること。

(3)校長は,部活動指導員に部活動の顧問を命じることができること。また,教諭等の顧問を置かず,部活動指導員のみを顧問とする場合は,当該部活動を担当する教諭等を指定し,上記(2)にあるように年間・月間指導計画の作成,生徒指導,事故が発生した場合の対応等の必要な職務に当たらせること。

(4)部活動指導員は,当該部活動の顧問である教諭等や上記(3)の部活動を担当する教諭等と,日常的に指導内容や生徒の様子,事故が発生した場合の対応等について情報共有を行うなど,連携を十分に図ること。

2 部活動指導員に係る規則等の整備

学校の設置者は,部活動指導員に係る規則等を整備すること。当該規則等には,部活動指導員の身分,任用,職務,勤務形態,報酬や費用弁償,災害補償,服務及び解職に関する事項等必要な事項を定めること。
なお,災害補償については,地方公共団体において部活動指導員を非常勤職員として任用する場合,労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)第3条第2項により,労働者災害補償保険の適用となることに留意すること。

3 部活動指導員の任用

部活動指導員の任用に当たっては,指導するスポーツや文化活動等に係る専門的な知識・技能のみならず,学校教育に関する十分な理解を有する者とすること。

4 部活動指導員に対する研修

学校の設置者及び学校は,「運動部活動での指導のガイドライン」(平成25年5月)等を踏まえ,部活動指導員に対し,事前に研修を行うほか,その後も定期的に研修を行うこと。研修においては,部活動が学校教育の一環であること等部活動の位置付けや部活動が生徒の学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等に資するものであること等教育的意義のほか,学校全体や各部の活動の目標や方針を熟知すること,生徒の発達の段階に応じた科学的な指導を行うこと,安全の確保や事故発生後の対応を適切に行うこと,生徒の人格を傷つける言動や体罰が禁止されていること,服務(部活動指導員が校長の監督を受けることや生徒,保護者等の信頼を損なうような行為の禁止等)を遵守すること等について,十分に理解させること。

5 生徒の事故への対応(略)

6 適切な練習時間や休養日の設定

学校の設置者及び学校は,部活動指導員による指導を行う場合であっても,適切な休養を伴わない行き過ぎた活動は,生徒における様々な無理や弊害を生むことから,「平成28年度全国体力・運動能力,運動習慣等調査の結果の取扱い及び活用について」(平成29年1月6日付け28ス庁第540号)も踏まえ,練習時間や休養日を適切に設定すること。なお,文部科学省においては,平成29年度に部活動に関する総合的な実態調査等を行い,平成30年3月末を目途に,スポーツ医・科学の観点や学校生活等への影響を考慮した練習時間や休養日の設定を含む「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(仮称)」を策定することとしていること。

7 生徒,保護者及び地域に対する理解の促進

学校の設置者及び学校は,部活動に対する生徒や保護者,地域の関心が高いことから,部活動指導員の配置に当たっては,事前に情報提供を行うなど,生徒や保護者等の理解を得るよう努めること。また,学校の設置者は,部活動指導員の確保に資するため,地域の体育協会,スポーツ団体及びスポーツクラブ等との連携を積極的に図ること。

私学では部活動指導員に指導を依頼するケースが決して少なくないように思います。

そして、今後は教職員の長時間労働対策のひとつとして、役割分担を進めていく必要性も高まると感じています。

そのような中で、今回の省令改正は部活動指導員の位置づけとその職務内容を考える際のひとつの基準になるように思われます。

 

上記内容を確認するに、特に留意すべきは「規則の整備」と「組織的連携体制の整備」ではないでしょうか。

個人的な実感としては、部活動指導員のための学内規則の整備が進んでいる学校はそれほど多くないように思います。

また、部活動指導員と教員や管理職との連携についても、それが十分に図られているかどうか、一度確認が必要でしょう。

 

そしてもっと根本的な課題として、「学校として部活動の位置づけをどうするか」という点が挙げられます。

上記改正の中にも「練習時間・休養日の適切な設定」について言及があります。

限られた時間をどのように使うか。

部活動は特にその選択肢として大きな地位を占めることが多くあります。

この機会に学内でのご議論をいただき、方向性を明らかにされてはいかがでしょうか。

 

(文責:吉田)

 

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高校生の勉強と生活に関する意識調査報告書-日本・米国・中国・韓国の比較- (勉強編)

国立青少年教育振興機構が3月13日、日本・アメリカ・中国・韓国の4か国を比較した「高校生の勉強と生活に関する意識調査報告書」を公開しました。

 

その中から本日は「勉強について」の調査結果をご紹介いたします。

 

www.niye.go.jp

 

まずは勉強時間に関する結果です。

「平日に学校の宿題をする時間はどのくらいですか」という質問に対し、「しない」と回答した割合は以下のとおりです。

 

日本:11.2%

韓国:8.4%

米国:5.1%

中国:2.2%

 

次に、「平日に学校の授業と宿題以外に、どのくらい勉強しますか」という質問に対し、「しない」と回答した割合が以下のとおりです。

 

日本:24.2%

米国:17.7%

韓国:9.8%

中国:7.6%

 

残念なことに、どちらの質問とも日本が最も高い割合となっています。つまり、日常的に勉強をする習慣が身に付いていない高校生の割合は日本が最も高いことを表しているということになります(ここでは、私の高校時代のことは棚に上げておきます・・・)

 

さて、日常的に勉強をしない割合が4か国の中で最も高い日本の高校生たちですが、どのような勉強の仕方をしているのでしょうか。

 

勉強の仕方で以下の12項目にあてはまる項目を挙げる(複数回答可)という質問に対して、日本の高校生の回答率が最も高かったのはどれでしょうか??

 

  • 試験前にまとめて勉強する
  • できるだけ暗記しようとする
  • 自分で整理しながら勉強する
  • 問題集をたくさん練習する
  • できるだけ自分で考えようとする
  • 教えられたとおりに勉強する
  • 毎日こつこつと勉強する
  • 問題意識を持ち、聞いたり調べたりする
  • 参考書をたくさん読む
  • 勉強したものを実際に応用してみる
  • 方法や課程より結果がわかればいいと思う
  • 教わったほかの方法でもやってみる

 

何となく予想がつきそうですが、最も回答率が高かったのは「試験前にまとめて勉強する」で69.3%でした。なお、4か国中で最も高い回答率でした。

 

試験前の一夜漬けは今も昔も変わらないのか・・・と何とも切ない気持ちになってしまうような結果ですが、切ない気持ちになるような結果はまだまだ続きます。

 

上記12項目のうち、以下の項目の回答率は4か国の中で最も低い結果となっていました。

 

  • 自分で整理しながら勉強する
  • できるだけ自分で考えようとする
  • 教えられたとおりに勉強する
  • 参考書をたくさん読む
  • 勉強したものを実際に応用してみる
  • 教わったことをほかの方法でもやってみる

 

あくまで上記結果からの推測ですが、テストのために仕方なく短期的に知識を詰め込んではいるものの、それが何の役に立つのかがよくわかっておらず、その活用の仕方もわからないと感じている高校生が多いのではないでしょうか。

 

ついつい、大学受験のためであったり、就職に有利になるためと目先のことを考えがちになるのですが、まずは勉強することの目的を生徒達に日々しっかりと伝え続けていくことが大切なのではないかと感じます。

 

生徒達の興味や好奇心をかきたてるような取り組みこそが今の日本にとっていかに重要であるかを、この調査結果から読み取ることができるのではないでしょうか。

 

 

(文責:木村)

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