寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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部活動指導員に関する省令改正

文部科学省からの情報発信を多く掲載する本ブログですが、その外局にあたるスポーツ庁の情報はほとんど採り上げたことがないような…

そこで、というわけではありませんが、本日はスポーツ庁からの情報をお届けします。

 

学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知):スポーツ庁

 

上記タイトルを読んだだけでは何のことかわからないのですが、その概要は以下の通りです。

(文章は上記ページより抜粋、太字は筆者が加工しています)

今回の改正は,中学校,義務教育学校の後期課程,高等学校,中等教育学校並びに特別支援学校の中等部及び高等部(以下「学校」という。)におけるスポーツ,文化,科学等に関する教育活動(学校の教育課程として行われるものを除く。)に係る技術的な指導に従事する部活動指導員について,その名称及び職務等を明らかにすることにより,学校における部活動の指導体制の充実が図られるようにするものです。

要するに、中・高における部活動指導員に関する省令の改正ということです。

なお、この内容は私学にも当然適用があります。

そして、施行期日は今年の4月1日となっています。つまり、あと10日足らずですね。

 

ページに記載のある「留意事項」について抜粋し、特に留意すべきところを赤文字にしてみましたのでご参考にどうぞ。

1 部活動指導員の職務

(1)部活動指導員は,学校の教育計画に基づき生徒の自主的,自発的な参加により行われるスポーツ,文化,科学等に関する教育活動(学校の教育課程として行われるものを除く。)である部活動において,校長の監督を受け,技術的な指導に従事すること。

(2)部活動指導員の職務は,部活動に係る以下のものが考えられること。なお,部活動指導員が置かれる場合であっても,これらの職務を教諭等が行うことを妨げるものではないこと。
・実技指導
・安全・障害予防に関する知識・技能の指導
・学校外での活動(大会・練習試合等)の引率
・用具・施設の点検・管理
・部活動の管理運営(会計管理等)
・保護者等への連絡
年間・月間指導計画の作成
部活動指導員が作成する場合は,学校教育の一環である部活動と教育課程との関連を図るためなど必要に応じ教諭等と連携して作成し,校長の承認を得ること。
生徒指導に係る対応
部活動指導員は,部活動中,日常的な生徒指導に係る対応を行うこと。いじめ暴力行為等の事案が発生した場合等には,速やかに教諭等に連絡し,教諭等とともに学校として組織的に対応を行うこと。
事故が発生した場合の現場対応
部活動指導員は,事故が発生した場合は,応急手当,救急車の要請,医療機関への搬送,保護者への連絡等を行い,必ず教諭等へ報告すること。特に,重大な事故が発生した場合には,学校全体で協力して対応する必要があるため,直ちに教諭等に連絡すること。

(3)校長は,部活動指導員に部活動の顧問を命じることができること。また,教諭等の顧問を置かず,部活動指導員のみを顧問とする場合は,当該部活動を担当する教諭等を指定し,上記(2)にあるように年間・月間指導計画の作成,生徒指導,事故が発生した場合の対応等の必要な職務に当たらせること。

(4)部活動指導員は,当該部活動の顧問である教諭等や上記(3)の部活動を担当する教諭等と,日常的に指導内容や生徒の様子,事故が発生した場合の対応等について情報共有を行うなど,連携を十分に図ること。

2 部活動指導員に係る規則等の整備

学校の設置者は,部活動指導員に係る規則等を整備すること。当該規則等には,部活動指導員の身分,任用,職務,勤務形態,報酬や費用弁償,災害補償,服務及び解職に関する事項等必要な事項を定めること。
なお,災害補償については,地方公共団体において部活動指導員を非常勤職員として任用する場合,労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)第3条第2項により,労働者災害補償保険の適用となることに留意すること。

3 部活動指導員の任用

部活動指導員の任用に当たっては,指導するスポーツや文化活動等に係る専門的な知識・技能のみならず,学校教育に関する十分な理解を有する者とすること。

4 部活動指導員に対する研修

学校の設置者及び学校は,「運動部活動での指導のガイドライン」(平成25年5月)等を踏まえ,部活動指導員に対し,事前に研修を行うほか,その後も定期的に研修を行うこと。研修においては,部活動が学校教育の一環であること等部活動の位置付けや部活動が生徒の学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等に資するものであること等教育的意義のほか,学校全体や各部の活動の目標や方針を熟知すること,生徒の発達の段階に応じた科学的な指導を行うこと,安全の確保や事故発生後の対応を適切に行うこと,生徒の人格を傷つける言動や体罰が禁止されていること,服務(部活動指導員が校長の監督を受けることや生徒,保護者等の信頼を損なうような行為の禁止等)を遵守すること等について,十分に理解させること。

5 生徒の事故への対応(略)

6 適切な練習時間や休養日の設定

学校の設置者及び学校は,部活動指導員による指導を行う場合であっても,適切な休養を伴わない行き過ぎた活動は,生徒における様々な無理や弊害を生むことから,「平成28年度全国体力・運動能力,運動習慣等調査の結果の取扱い及び活用について」(平成29年1月6日付け28ス庁第540号)も踏まえ,練習時間や休養日を適切に設定すること。なお,文部科学省においては,平成29年度に部活動に関する総合的な実態調査等を行い,平成30年3月末を目途に,スポーツ医・科学の観点や学校生活等への影響を考慮した練習時間や休養日の設定を含む「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(仮称)」を策定することとしていること。

7 生徒,保護者及び地域に対する理解の促進

学校の設置者及び学校は,部活動に対する生徒や保護者,地域の関心が高いことから,部活動指導員の配置に当たっては,事前に情報提供を行うなど,生徒や保護者等の理解を得るよう努めること。また,学校の設置者は,部活動指導員の確保に資するため,地域の体育協会,スポーツ団体及びスポーツクラブ等との連携を積極的に図ること。

私学では部活動指導員に指導を依頼するケースが決して少なくないように思います。

そして、今後は教職員の長時間労働対策のひとつとして、役割分担を進めていく必要性も高まると感じています。

そのような中で、今回の省令改正は部活動指導員の位置づけとその職務内容を考える際のひとつの基準になるように思われます。

 

上記内容を確認するに、特に留意すべきは「規則の整備」と「組織的連携体制の整備」ではないでしょうか。

個人的な実感としては、部活動指導員のための学内規則の整備が進んでいる学校はそれほど多くないように思います。

また、部活動指導員と教員や管理職との連携についても、それが十分に図られているかどうか、一度確認が必要でしょう。

 

そしてもっと根本的な課題として、「学校として部活動の位置づけをどうするか」という点が挙げられます。

上記改正の中にも「練習時間・休養日の適切な設定」について言及があります。

限られた時間をどのように使うか。

部活動は特にその選択肢として大きな地位を占めることが多くあります。

この機会に学内でのご議論をいただき、方向性を明らかにされてはいかがでしょうか。

 

(文責:吉田)

 

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