寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

学校経営情報2017年2月号発行のお知らせ

本日より2月が始まりました。

早いもので今年も残り11か月となりましたね・・・

 

と、世間の多くのおじさん達(私を含む)がこの時期よく口にするフレーズがついつい出てしまうほど、1月はあっという間に過ぎ去っていったような気がします。

でも、忙しい毎日を過ごすことができるのは大変ありがたいことです。 今月も少しでも皆様のお力になれるよう精一杯頑張ってまいります。

 

さて、弊社の学校経営情報2017年2月号を発行いたしましたので、是非ご一読いただければと思います。

データはホームページよりダウンロードできるようになっております。

 

www.ysmc.co.jp

 

◆概要

①School Manegement Review

      中学校の部活動に関する調査結果

②《連載》事業計画を作ろう!

      第11回 収支計画をつくる

③学校経営トピックス

      12月掲載ブログ記事より

④会議のコツをひとつまみ

      会議ルールを決めよう

 

今年度の連載企画「事業計画を作ろう」もいよいよ大詰めです。2月号は収支計画を作る際のポイントがテーマとなっていますので、御校の経営の一助になれば幸いです。

 

では、2月も素敵なひと月になりますように。

 

(文責:木村)

 

www.ysmc.co.jp

生活発表会に思うこと

新年が明けて早ひと月が経ちます。

あちこちの幼稚園、保育園では生活発表会が行われていますね。

調べてみたものの、生活発表会の正式な定義は見当たらなかったので、Wikipediaにお世話になります。

 

生活発表会(せいかつはっぴょうかい)とは、就学前教育の幼稚園や保育園などで行われている行事の一つ。主に12月や3月の学期末に実施されており、園児は歌や演劇、またはダンスなどで施設での教育成果を披露することが狙い。

 

なるほど、その名の通り、生活発表会というのは「園での生活に関する成果発表」なんですね。

 

さて、あちこちの園ではどんな発表会がなされているのでしょうか。

私が関わっている幼稚園や保育園では、まさにその名に相応しく、園で学んだことが発揮されるイベントにしようと、先生達が身を粉にしてその行事を取り仕切っておられます。

おそらく、どの園でも同じように、園挙げて生活発表会の目的を達するために力を注がれていることでしょう。

 

ところが昨今、生活発表会をはじめとするいろいろな行事において、園が目的とするところと保護者のそれとが一致しなかったり、あるいは目的は一致していても手段が異なっていたり…ということが起こっているようです。

正直なところ、園が実施する内容はその道のプロとしての内容ですから、そこに親御さんがとやかく言うのは筋違いだろう、という想いが私にはあります。

ただ一方で、そのことに胡座をかいてしまうと、なぜその行事を行うのか、その行事で何を狙っているのか、といった根本が、園の教職員さんにも共有されぬまま行事が実施され、数年が経つ頃にはまるで惰性のように行事が行われる…なんてことにもなりかねません。

生活発表会は本来どうあるべきか。

その他の行事は、何を目的に実施されているのか。

その行事を行うこと自体が目的化していないだろうか。

そのことを、貴園なり(あるいは御校なり)に考えてみることはとても大切なことのように思います。

 

もうひとつ、行事に関して特に私が強く感じているのは「撮影」という事象についてです。

ある園の生活発表会で、保護者さんからクレームとも言えそうな、こんな意見が寄せられていることを耳にしました。

「園は保護者の撮影する権利を分かっていない」

聞けば、生活発表会で我が子の撮影をするためのスペースが限定されていることに腹を立てた親御さんが、こんな意見を寄せられたそうです。

撮影不可というわけではなく、その場所を限定しただけでこのような意見が寄せられるとは…私は驚きを通り越してしまいました。

映像を保存しておくこと、大人になったときにDVDで見られることがそこまで重要なことだという認識が、子供を持っていない私には十分理解できていないようです。

 

園はその意図をこう説明しています。

「せっかくのお子様の晴れ姿を、レンズを通してだけではなく、ご自身の目にも焼き付けていただきたいのです」

「他のご家族にも発表会を楽しんでいただくため、最低限のルールとして決めさせていただきました」

生活発表会では子供の権利こそ尊重されるべきで、保護者のそれはあくまで公共の福祉とのバランスを取るべきでしょう。

その意味で、このような発信ができる園は素敵だなあと思います。

 

このような悩みをお持ちの園はここだけではないはずです。

自園の教育・保育内容に「根拠」と「自負」の両方を持つこと。

そしてそのことを保護者の皆さんに丁寧かつ伝わるように伝えること。

これからの幼稚園や保育園には、そんなことが求められるのではないかな、と感じた一件でした。

 

(文責:吉田)

 

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出前授業でいじめ撲滅

学校は多くの子ども達が集まる場所ですので、学校種や学年を問わず多少のトラブルは必ず起こると思いますが、残念ながらいじめの発生は後を絶たず、認知件数は増加傾向にあるようです。その結果、自ら命を絶ってしまう痛ましい事件も数多く起こっています。

 

このような状況を受けて、文部科学省はいじめ防止策として弁護士による出前授業を一部の自治体で開始しました。

 

www.nikkei.com

(会員限定記事のため一部しか閲覧できません。ご了承下さい。)

 

このような取り組みを開始した背景は以下のとおりです。

大学教授ら有識者でつくる文科省の「いじめ防止対策協議会」は昨年11月、弁護士などによる法教育の推進を提言。文科省は、道徳教育の充実に加えて法律による抑止力に着目した教育手法の導入が必要と判断した。

 

また、具体的な授業内容は以下のとおりです。

たたいたり蹴ったりする行為が刑法の暴行や傷害、SNSで実名を挙げて悪口を書くことは名誉棄損や侮辱、金をせびる行為は恐喝、につながる可能性があることなどを実例と共に教える。

 

外部の専門家を活用し、これまでの学校教育とは違った側面から生徒に教えることは、生徒達の視野や考え方に良い影響を与える可能性が大きいと思われますし、社会のことや専門的な知識に触れることができるといった点においても、非常に良いことだと個人的には思います。

授業後、生徒からは「軽い気持ちでやっていることが犯罪になることが分かった。」などの感想が上がったそうです。また、先生からは「専門家の話は説得力があり生徒は真剣に話を聞いていた。今後も実施したい」と話しており、評判は上々のようです。

 

このような授業の効果を正確に測定することは難しいかもしれませんが、生徒達にとっては決して無駄ではないでしょうから、いじめを撲滅するためにできることは何でもやる、といった強い意志を持って全国的に展開していただければと感じます。

 

(文責:木村)

 

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ネットの危険から子どもを守るためには?

スマートフォンの普及に伴い、インターネットは非常に身近なものとなり、日常生活における利便性は飛躍的に向上しました。

 

青少年のスマートフォン利用も今や当たり前の光景となっており、内閣府の調査によると、平成27年度のスマートフォン利用率は中学生が46%、高校生が94%とのことです。

 

何かと便利になった反面、インターネットの利用に起因する様々なトラブルも生じています。SNS上でのいじめや有害サイトへのアクセス、ゲームアプリでの課金等、学校の先生方はもちろん、保護者でも気付かないケースが非常に多くなっているようです。

 

そこで、内閣府は1月17日に保護者向けの普及啓発リーフレット「ネットの危険からお子様を守るために、保護者ができること」を公開しました。

 

広報・啓発 | 青少年インターネット環境の整備等 - 内閣府

 

 リーフレットには保護者ができる3つのポイントとして以下が挙げられています。

 

  1. 被害者にも加害者にもしないため、適切なインターネットの利用を促しましょう。
  2. 家庭のルールをお子様と一緒に作りましょう。
  3. 不適切な情報や危険な出会い等を防ぐため、フィルタリングを賢く利用しましょう。

 

どれも当たり前と言えば当たり前のことですが、日々様々なトラブルが生じているということは、それらができていない家庭が少なからずあるというのが現実でしょうか。

 

保護者に対する啓蒙活動として内閣府がこのようなリーフレットを作成し公表するのは非常に良いことなのですが、各家庭に配布されるわけではありませんし、日常的に内閣府のホームページを閲覧している保護者はいないでしょうから、おそらく大多数の保護者はこのリーフレットの存在を知らないでしょう。

 また、学校においては、校則で校内へのスマートフォンの持ち込みや使用を禁止したり、ネットリテラシーに関する啓蒙を行っているところも多いかと思いますが、利用状況の実態について把握することは難しいでしょう。

 

校内でのスマートフォンの利用を制限したところで、学校の外では多くの生徒が日常的にインターネットを利用していますので、そこで生じた生徒同士のトラブルが学校に持ち込まれたり、生徒が無用なトラブルに巻き込まれることが十分に考えられます。また、それらが顕在化した事件も数多く発生しています。

様々なトラブルに発展することを未然に防ぐためにも、生徒に対する啓蒙や指導を行うことはもちろんですが、一義的な責任はやはり家庭にあると思いますので、状況に応じては保護者に対する注意喚起を行うことも必要ではないでしょうか。

 

(文責:木村)

 

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給付型奨学金制度の設計について

今週初めのブログでもお伝えしましたが、昨今「子どもの貧困」が社会問題となっています。

幸いなことに、私学ではそのようなケースは公立校に比べると少ないとは思います。

ただ、子どもたちに教育を受ける権利があり、それを本当の意味で保証するためには、大人がその権利を享受できるよう環境を整えていくことが最低限求められるように思います。

 

一方、各私学においては自校の特色化をはかり、結果としてより多くの志願者に恵まれるように世間に働きかけを行う必要があります。

進路開拓、特に進学実績は各家庭が学校選びを行う際の大きな基準になっているのが現状、事実であり、それを踏まえた施策の展開も検討を余儀なくされている状況であると言えるでしょう。

その一手段として、特待生制度をはじめとする奨学金制度を導入する私学も決して少なくないように思います。

 

というわけで、本日のブログでは今後設置が予定されている奨学金制度について、その内容をご紹介します。

文部科学省HPより。

 

給付型奨学金制度の設計について<議論のまとめ>:文部科学省

 

文部科学省 給付型奨学金制度検討チーム」が2016年12月19日に公表した内容です。

以下、概要を転載させていただきます。

(太字は筆者が付しています。ご容赦ください)

 

(制度趣旨)
経済的理由により進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しする制度
○進学に向けた学生の努力を促す仕組みとなる制度

(対象学校種)
○大学、短期大学、高等専門学校、専門学校

(家計基準)
住民税非課税世帯

(学力・資質基準)
○全体を高校等からの学校推薦とし、成績基準の目安等をガイドライン(*)で示しつつ、各学校が定める基準に基づき推薦
*以下のいずれかの要件を満たす者から推薦
①十分に満足できる高い学習成績を収めている者
②教科以外の学校活動等で大変優れた成果を収め、教科の学習で概ね満足できる学習成績を収めている者
※進学の意欲・目的等に関するレポート等を評価
※高校生活全体の中で課題克服の経験などにも着目
※社会的養護を必要とする学生等への配慮

(学校推薦枠の割り振り方法)
○一人別枠方式:各学校に1人を割り振った上で、残りの枠数を各学校の非課税世帯の奨学金貸与者数を基に配分

(給付額)
○国公立自宅:2万円、国公立自宅外・私立自宅:3万円、私立自宅外:4万円
※国立大学は授業料減免制度を踏まえ、給付額を調整
○社会的養護を必要とする学生には入学金相当額を入学時に追加給付

(給付規模)
○経済的に困難な状況にある子供たちの進学を後押しするとの政策目的を実現するために十分な規模

(給付方法)
○毎年度学業の状況等を確認することを前提とした上で給付(適格認定制度により学業状況等を確認)

(給付開始時期)
平成30年度進学者から本格実施
○特に経済的に厳しい状況にある学生を対象として平成29年度から一部先行実施
※平成29年度先行実施は、私立・自宅外生(ガイドライン①該当者)、社会的養護を必要とする者(②該当者)を対象

(入学時納付金への対応)
日本学生支援機構の入学時特別増額貸与に加え、厚生労働省の生活福祉資金等の無利子貸付金について連携して制度の周知を図り、利用を促進

(制度の周知)
奨学金制度全体について、ファイナンシャルプランナー等と連携し、生徒・保護者・教員等に周知を図る「スカラシップアドバイザー事業(仮称)」を実施

(その他)
無利子奨学金拡充新所得連動返還型制度の導入有利子奨学金の利率下限見直しなど、奨学金制度全体の制度改善を実施
○当面は本制度設計により制度を運用し、施策効果を検証するとともに、運用状況に応じて見直し
学生の地方定着促進のために各自治体が行う返還支援制度の充実や各大学・民間団体が行う給付型奨学金の充実、卒業生のネットワーク化による寄付等社会還元の促進

 

上記記事は、公的かつ高等教育機関を対象としている奨学金制度ですので、各私学の現在の施策には適合しないかもしれません。

しかも、経済面とともに学力面の要件が存在するため、本制度に該当するケースがどれほどあるのかも不透明です。

ただ、今後の人口減、少子化は私学マーケットの縮小につながる危険性が高く、その中では経済的に決して余裕があるわけではないご家庭が私学へ進学するケースがこれまで以上に多くなるかもしれません。

冒頭で述べたように、子どもたちが教育を受ける権利を全うするためにも、学校がどのような環境整備ができるのか、あるいはすべきなのか、本制度を通じて考えてみてはいかがでしょうか。

 

(文責:吉田)

 

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よくある不祥事の話

統計を取ったわけではないので実際の発生頻度はわかりませんし、

何となく印象に残っているだけなのかも知れませんが、

 

「教員が生徒の個人情報を保存したUSBを紛失!」

 

という報道を聞くことが多いなあ・・・と以前より思っていました。

 

しかし、このような記事を目にして、やはり多いのかと認識しました。

 

toyokeizai.net

 

そもそも、なぜUSBを紛失するのかということですが、おそらく

持ち帰り仕事が多いということに尽きるのではないでしょうか。

長時間労働(持ち帰り残業)の常態化はUSBの紛失と密接な関係が

ありそうですが、そこには個人情報漏洩のリスクも常につきまとう

ということが言えそうです。

 

では、この記事のタイトルにある「学校教師のUSBメモリ紛失事故が

多いワケ」として、学校現場においては、外部アクセス制限、インス

トール制限、メール添付制限は十分に運用されているにも関わらず、

USB等外部媒体の使用制限、外部媒体への書出制限については運用が

不十分(ルールがあってないようなもの)であることが挙げられて

います。

 

情報セキュリティーに関するルールの整備と運用に問題のない場合は

いいのですが、少しでも不備に心当たりがある場合には、リスクが

顕在化する前にしっかりと体制を整備することが求められます。

 

ただし、この問題の抜本的な解消を図るためには「持ち帰り残業」を

ゼロにする以外に有効な手段はないと思います。

 

(文責:木村)

 

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日本私立学校振興・共済事業団にかかる管理積立金の管理及び運用の状況についての評価の結果

本日のブログ、題名が長くてすみません。

文部科学省HPからの情報なのですが、内容はいわゆる私学事業団の資産運用結果の報告です。

 

日本私立学校振興・共済事業団にかかる管理積立金の管理及び運用の状況についての評価の結果:文部科学省

 

自校教職員の退職金を含め、その資産の状況が気になっておられる私学関係者はきっと少なくないと思います。

一方で、上記リンク先を開いて、レポートにアクセスしたものの、中身まで読む気になれず断念?されたかたもいらっしゃるかと(とにかく読みにくいレポート、というのが私の感想です)。

そこで、私なりのまとめではありますが、皆さんにもお届けしようとブログをしたためる次第です。

 

まずは、このレポート自体のまとめをみておきましょう。

全68ページのこのレポートの57ページめに記載されています。

サマリーなら最初に付けてもらえると分かりやすいのですが…

(わざと分かりにくい場所に書いている可能性も?ひねくれものの考え方でしょうか)

【まとめ】
年金一元化実施初年度となる27年度下半期の運用状況は、円高の進行やマイナス金利の導入といった市場環境を背景として、修正総合収益率がマイナス0.79%となり、実質的な運用利回りについても、財政計算上の前提を0.74%下回ることとなったが、長期的な観点に基づく運用計画である基本ポートフォリオが策定され、これに準拠した運用が行われていることから、現時点で制度運営上の影響を懸念する状況ではないと思料される。
なお、共済独自資産の運用においては、目的に沿った運用が行われ、プラスの収益を確保している。
また、積立金基本指針及び管理運用の方針の遵守状況については、おおむね遵守されていることを確認した。

要するに、運用上の問題はない、との結論を出していますね。

 

ただし、この中にちょっと気になる記述があります。

「修正総合収益率がマイナス」…どういう意味でしょうか。

この数字の根拠が別の箇所に記載されていますので、抜粋してみます。

2 私学事業団の管理積立金の運用状況が年金財政に与える影響

私学事業団の平成27年度下半期の管理積立金の収益率(名目運用利回り)は△0.79%、実質的な運用利回りは△0.95%である。平成26年財政検証の前提における平成27年度下半期の実質的な運用利回りは△0.30%としており、実績が財政検証の前提を0.65%下回ったが、長期の経済前提において必要とされる積立金の実質的な運用利回り(1.7%)を最低限のリスクで確保するために、長期的な観点から策定した基本ポートフォリオに準拠した運用が行われており、現時点で年金財政への影響が懸念されるものではないと思料する。

ご理解いただけますでしょうか。やっぱり分かりにくいですね。

順を追って考えてみましょう。

 

私学事業団の管理積立金の使途は「退職金」「年金」ですね。 

そして、退職金や年金は勤務時の単価=「月給」に連動して上がったり下がったりしますよね。

とすると、私学事業団のお金は、月給の上昇率と同じかそれ以上の率で運用しないと、退職金等の支払時に「原資不足」になってしまう危険性が高まります。

 

つまり、「運用利回り>賃金上昇率」という状態で運用することが求められるわけです。

上記記載で「修正総合収益率」とあるのは「運用利回り-賃金上昇率」を示しているので、このことからすると、修正総合収益率は少なくとも「ゼロ以上」でないと、減資は目減りしてしまうわけです。

 

ところが、平成27年度下半期はそれがマイナス0.95%だった、とのこと。

ちなみに目標値(「前提」と表現されていますが)はマイナス0.30%だったそうなので、それをも下回っています。

 

「0.95と0.30ならそんなに差はないから問題ないんじゃないの?」

というのが、冒頭の「まとめ」の主旨だと私は感じたのですが、実は数字を分解するともう少し怖い状況であることが分かります。

 

先ほどお伝えした通り、この「マイナス0.95%」という数字は、「運用利回り-賃金上昇率」で算出されたものです。

では運用利回りと賃金上昇率を別個で見たらどうなるか、と言いますと…

運用利回り=マイナス0.79%(目標値(前提)はプラス0.94%)

賃金上昇率=プラス0.16%(目標値(前提)はプラス1.24%)

となっています。

つまり、プラスで運用すべき資産がマイナスで運用されてしまった、しかもその差は1.73%もあります。

ただし、賃金は思ったほど伸びなかったので、マイナスになった運用利回りの一部を補ってくれた、ということです。 

 

私学事業団の財政、本当に問題ないのでしょうか…

こうやって見てくると、ちょっと不安になってしまいます。

 

退職金や年金というのは、「将来」の教職員の生活保障にあたるものです。

仮に目の前ではそれほど大きな問題はなくても、それが少しずつ顕在化し、気づいたときにはどうしようもなくなっていることもあるものです。1人当たりの金額も決して小さくはありません。

レポートの内容は難解で読みにくいですが、個人的にはこの私学事業団の財政は私学の経営に大きな影響を及ぼす危険性があるものとして注視すべきと感じています。

私学の皆様も、くれぐれもお気を付けくださいね。

 

(文責:吉田)

 

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