高等教育無償化の議論が国会でも始まりましたね。
先日の日経新聞に、こんな記事が掲載されました。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
この記事では、これまでの高等教育無償化の議論の経過を
まとめた内容が掲載されています。
そのまとめをさらに簡潔に箇条書きで記します。
・近年、大半の政党が国政選挙のたびに給付型奨学金の創設を公約に掲げてきたが
一向に実現の気配はなく、選挙が終わると忘れ去られた
・2016年3月、首相が「給付型の支援」を表明し、
高等教育の無償化が文教政策の重要課題に浮上
・2017年度に公的給付型奨学金制度創設
・2017年5月、首相が「憲法改正案に高等教育の無償化を盛り込む」と宣言、
10月の総選挙後に給付型奨学金の大幅拡充を提唱
・同年12月に「新しい経済政策パッケージ」の一環として、
消費税率10%への引き上げを条件に、年額約8千億円とされる
・2018年6月、文部科学省の専門家会議が制度の骨格を提示
・2019年2月12日に「高等教育無償化法案」が閣議決定
・法案が成立すれば2020年度から実施
こうやって進んできた無償化制度ですが、その大きな課題として、
記事にはこんなことが書かれています。
高等教育の無償化を巡っては、多くの課題・論点がある。最たるものは世論の支持が低いことだ。各種調査で、高等教育の無償化に総論は賛成でも、税の投入や増税には抵抗が強いことが明らかになっている。安倍首相は憲法改正に無償化を盛り込むと提起したが、たとえそうした改正案が国会を通過したとしても、国民投票で支持されるとは限らない。
教育の公的負担は教育に対する社会の厚い信頼が前提となるが、信頼は必ずしも高いとは言い難く、世論の支持が集まらない一因でもある。「大学教育は役にたつのか」という素朴な疑問を無視するわけにはいかない。
教育に対する社会の信頼を獲得するには。
とても重いテーマですが、各私学も当然、
教育機関の一翼を担う存在として、この問いに向き合わねばなりません。
学校の永続は最重要経営課題ですが、中身はどうでもいいから箱だけ残す、
ということが許されるはずもありません。
信頼獲得のために必要なこと、それは紛れもなく、教育の質でしょう。
今回の記事に付された記者のコメントを引用して、
今日のブログを閉じたいと思います。
大学の学費負担は軽いものではない。親に頼らずに本人が社会に出てから返済すべきだという議論もあるが、大学を出たからといって安定的な収入が保証される時代でもない。数百万円の借金を抱えて社会人生活を始めることに不安は残る。
一方、学ぶ意欲もないまま進学するモラトリアム大学生も少なくはなく、頭数がそろえば、"教育の質などお構いなし"の大学が皆無ともいえない。
こうした甘えの構造がある限り、世論が"完全な無償化"に抵抗するのは当然でもある。大学教育の質の保証が問われている。
(文責:吉田)