寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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平成26年度 全国学力・学習状況調査 追加分析報告書

本日は文部科学省からの情報です。

 

平成26年度 全国学力・学習状況調査 追加分析報告書:文部科学省

 

その実施に懐疑的な意見も多数寄せられているこの全国学力調査ですが、せっかく実施したのであればそこから少しでも学ぶべきですよね。

というわけで、このページではいくつかの分析報告が掲載されています。

 

以下、まずは調査主体と表題のみ列挙します。

PISAOECD生徒の学習到達度調査)における上位国・地域の教育制度に関する調査研究
②諸外国における学力調査の結果公表の手法に関する調査研究
(以上、三菱総合研究所

教育委員会や学校における調査結果の分析・活用手法に関する調査研究(静岡大学

④効果的な指導方法に資する調査研究(お茶の水女子大学) 

現時点ではそれぞれの報告書の詳細までは確認できていませんが、それぞれの報告が目的としている事柄を見てみると、私学経営においても参考になる内容が含まれているように思います。

 

まずは上記①について。

この報告書の「調査研究の概要」中、「背景・目的」にはこう書かれています。

(前略)我が国における今後の教育施策等のあり方について示唆を得ることを目的に、PISA2012 の成績上位国・地域を対象として、教育制度や教育施策を調査し、PISA の結果に影響を与えている要因を分析(後略)

制度や施策に関しての調査であれば私学には関係ない、と思ってしまいがちですが、各校で取り組むことのできる内容も含まれており、参考になることも多くあるのではないかと思わされました。

 

次に上記③について。

本報告書の前文、「調査結果の報告にあたって」ではこのような記述があります。

(前略)平成 25 年度に小学校国語 A において静岡県が危機的状況となったことをきっかけに、調査結果に県内の注目が集まり、市町教育委員会や学校も全国学力・学習状況調査に基づいた教育改革に取り組むようになった。しかし、全国学力・学習状況調査の結果をどのように活用すれば学力向上につながるのか。この答を求めて本調査に臨んだ。
調査結果に顕著な改善が見られる都道府県を選び、教育委員会と小学校へ訪問調査をさせていただいた。(後略)

要するに、「どうやって学力の改善を図ったか」という実践例について調査した結果が掲載されており、教育の成果向上のための具体策を知ることができます。

ただ、具体例ではあるものの、その内容を詳らかに知ることができるほどの記載はありませんので、過度の期待は禁物です。

 

さらに上記④について。

この報告書にも「序章 研究計画と調査の概要」中、「はじめに」として以下の通り、分析課題が明示されています。

(前略)具体的な分析課題は、次の三点である。第一は、学力向上に効果的な学校内での指導方法を明らかにすることである。第二は、学力格差の緩和に貢献する指導方法について明らかにすることである。そして第三は、それらの指導方法を可能にするための条件(行政的サポート、学校管理運営、異校種間連携、教員研修、地域社会の支援等)を明らかにすることである。

この報告書については目次が内容の参考になりそうなので、そちらも転載させていただきます。

序章 研究計画と調査の概要
第 1 章 保護者の社会経済的な背景が学力に与える影響
第 2 章 家族構成による学力格差
第 3 章 家庭と地域における社会関係資本と学力の関係
第 4 章 「教育効果の高い学校」と「教育効果の低い学校」の比較分析
第 5 章 クラスサイズの効果に関する分析
第 6 章 地域の社会経済的背景を考慮に入れた高い学力と関連のある学校の取り組み
第 7 章 地域 SES の相対的な高低が学力に及ぼす影響
第 8 章 高い成果を上げている学校の抽出
第 9 章 高い成果を上げている学校 事例研究(2)
第 10 章 高い成果を上げている学校、教育委員会の訪問レポート

いかがでしょうか。

第4章、第5章あたりは私学経営においても非常に興味深い内容になっていると感じるのですが。

 

どれもなかなかボリュームのある報告書ですので、興味のある個所だけでも目を通されるといいのではないでしょうか。