修学支援の効果および影響がどれくらいあるのか、私立学校にとっては気になるところではないでしょうか。
文部科学省では高校生等への修学支援の効果及び影響等に関する調査研究を行い、その報告書をまとめています。
<調査概要>
調査方法:エクセルファイルによる多肢選択アンケート
調査対象:全日制・定時制・通信制といった課程区分それぞれの学校
調査時期:2017年10月30日~2017年11月24日
分析対象:『学校基本調査』に基づく2016年度の高校数5,632校。(回答数3,387校、回収率61.0%)
私、勉強不足でしたので「就学支援金」と「奨学給付金」の違いが今一つ分かっていなかったのですが、この調査を通じてやっと理解することができました。
「就学支援金」…授業料に充てるための支援金
「奨学給付金」…授業料以外の教育費負担軽減のための支援
奨学給付金の対象となる教育費とは、教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費等になります。
奨学給付金の支給対象が非課税世帯ということもあり、私立学校ではなかなか利用される機会が少ないのかもしれないですね。
アンケート結果においても奨学給付金の受給者およびその支給対象者の把握状況について、私立高校は国公立高校と比較し、補足率が圧倒的に悪い状況です。
「高校生等への修学支援の効果および影響等に関する調査研究報告書」より
奨学給付金を受給するためには、大阪府の場合、平成30年7月31日までの在学校が定める日までに申請書類を事務室に提出しなければならないようです。
就学支援金の効果については以下の通りです。
「高校生等への修学支援の効果および影響等に関する調査研究報告書」より
募集に効果を感じられている私立高校が41.8%となっており、募集のためには欠かせないものとなっていることが分かります。
また、低所得者世帯の生徒の学校選択幅の充実にも寄与していることがこのアンケートからは読み取れます。
この制度の問題点としては、申請書類を出さなかった生徒への督促など事務の負担感があげられています。
「高校生等への修学支援の効果および影響等に関する調査研究報告書」より
この制度がいつまで維持されるかわかりませんが、 事務負担感の軽減が近々の課題であることが分かります。
全生徒対象の支援としてしまうと莫大な予算が必要となりますが、制度の簡素化はお願いしたいところですね。
私立学校においては申請書類を督促していない所が約10%あります。事務は手間かもしれませんが、そのひと手間で生徒や保護者の信頼はとても厚いものになるのではないでしょうか。
御校での取り扱いについても是非ご検討ください。
(文責:長森)