本日は文科省からの情報提供を採り上げます。
平成25年度学校法人の財務情報等の公開状況に関する調査結果について
学校法人は、財産目録・貸借対照表・収支計算書・事業報告書・監事監査報告書を関係者への閲覧に供することが私立学校法で義務付けられています。
このことに加え、文部科学省管轄の法人に関しては、これらの情報を学校法人のホームページ等を活用して情報提供するように、とされています。
そして今回の調査はこの取組がどのくらい進んでいるか、を確認するものとして実施されているものと思われます。
概要はこちらをご覧ください↓
平成25年度学校法人の財務情報等の公開状況に関する調査結果について
結果から見ると、多くの学校法人さんがホームページを活用した情報開示を行っていることが分かります。そしてその割合もここ数年で大きく伸びてきて、100%に近い数字になっています。
が、その一方で、開示する情報の内容については、法人によって結構差があるのも事実です。
まずは今回の調査結果の中から、【一般公開の内容】の結果を引用してみましょう。
ここでの数字は「ホームページでの開示」に限ったものとなっていますのでご注意ください。
財産目録又はその概要…96.5%
貸借対照表又はその概要…97.9%
収支計算書又はその概要…98.9%
事業報告書又はその概要…95.2%
こうやって見てみると、いずれも100%近い数値ですので、「開示内容にも差がないのでは」と思われる方も多いかもしれません。
が、この調査では「財産目録」と「その概要」が同じ選択肢に入っているため、財産目録そのものを掲載している学校と、概要のみを開示している学校の差が判明しません。
推測の域を出ませんが、おそらく情報を相当程度まとめた、まさに概要、といった資料がその多くを占めるのではないでしょうか。
また、調査の中で【一般公開にあたっての工夫等】というものもあるのですが、例えば
・財務状況を全般的に説明する資料を作成している…79.6%
・経年推移の状況が分かる資料を作成している…82.9%
・グラフや図表を活用した資料を作成している…70.7%
などとなっており、数字はやはり少し下がります。
が、個人的には、ずいぶん頑張っておられるな、という印象です。
単に財務諸表を開示するのではなく、分かりやすく加工して開示しておられることはとても有り難いことだと感じます。
おそらく、これから学校選びをする生徒さん・保護者さん側にも、有益な情報が提供されているものと思います(現段階でどのくらいこの情報が活用されているかは疑問ですが)。
文科省管轄ではないものの、大阪府下の学校法人さんもホームページでの情報開示がほぼ義務付けられている状態なので、私もよくこのホームページ情報を活用させていただくのですが、やはり開示レベルはまちまちです。
そして、その情報がどこに掲載されているのか、という「アクセスの良さ」についても、かなり差があるように感じます。
今回の調査では、このアクセスの良さについても結果報告がされており、「トップページから財務情報のページに容易に到達できるようにしている」という法人は全体の96.2%に上っています。
が、大阪府管轄の学校法人さんについては、これほどの高率にはならないだろうと思います。
あまり情報を見せたくない、という意識が働くのはある意味当然でしょうから、提供する側と活用する側の妥協点を探る以外にないのかもしれません。
財務の情報をはじめ、経営情報を外部に開示することへの抵抗感はやむを得ないものとしても、やはり経営状況がどうであるか、活動内容がどうであるかということは伝えていかなければならないものでしょう。
でなければ自校を選んでもらう機会もその分減ってしまいます。
「よりよい情報開示」について、私自身は「内容の充実」と「情報提供のタイムリーさ」が2つの軸になるのではないか、と感じています。
各校のお取組を私も研究していきたいと思います。
(文責:吉田)