寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

大学等設置に係る寄附行為(変更)認可後の財政状況及び施設等整備状況調査結果について

本日のブログ、表題が長くてすみません。

省略しようがなかったもので。

というわけで、文科省からの情報です。

大学等設置に係る寄附行為(変更)認可後の財政状況及び施設等整備状況調査結果について(平成27年度):文部科学省

 

この記事、直接的には寄付行為を新たに定めた、あるいは変更した後の実際の運営に関する評価をしたものです。

そして、対象も大学法人となっています。

が、本資料に掲載された要改善事項は、学校経営において留意すべき普遍的な内容を含んでいると感じましたので、各校の経営のご参考になればとまとめてみました。

 

以下、対象法人すべての記載から指摘事項(是正意見・改善意見)のみを取り出して、ジャンルごとに集約しております。

まずは定員について。

今後の定員充足の在り方について検討し、定員未充足の改善に取り組むこと。 

 

次に、計算書類をベースにした指摘事項です。

近年、帰属収支差額がマイナスの状態で継続していることから、収支の均衡を前提とした中長期的な財政計画の策定・実行など、経営基盤の安定確保を図ること。

消費支出に対する教育研究経費の割合が同系統の大学等を設置する学校法人に比べ低く、また、近年この割合が低下傾向にあることから、教育研究条件の充実向上を図ること。

負債率が高いことから、負債について計画どおり償還し、負債額の減少を図ること。

学生生徒等納付金に対する経常的経費支出の割合が同系統の大学等を設置する学校法人に比べて低いことから、同納付金の学生への還元を図ること。

流動比率や消費収支差額構成比率の推移が近年悪化傾向にあることから、経営基盤の安定確保を図ること。

学校法人の財務について、理事長の責任の下、状況を把握し、経営基盤の安定確保を図ること。その際、以下の事項について取り組むこと。
・基本金組入前当年度収支差額の改善。
流動比率及び繰越収支差額構成比率の改善。
事業活動支出に対する教育研究経費の割合の改善。
・学生生徒等納付金に対する経常的経費支出の割合の改善。

申請年度から完成年度の負債償還率の平均が高いことから、負債について計画どおり償還すること。

 

続いて、理事会・評議員会に関する指摘事項。

理事会及び評議員会の委任状について、白紙委任ともとれる記載があることから、その在り方について見直すこと。

監事の出席していない理事会及び評議員会があることから、私立学校法に定める監事の職務を認識し、今後は監事出席の上で開催するよう是正すること。

評議員が欠員となっていることから、予定どおり補充すること。

学校法人内の職務の兼務により評議員が選任条項上の欠員となっていることから、速やかに補充すること。

理事会及び評議員会への監査報告が適切に行われていないことから、速やかに是正すること。

理事会及び評議員会の運営に関し、以下の事項について適切に行うこと。
事業報告を理事会にて議決し、評議員会において報告すること。

評議員会が書面での持ち回りで行われていたことから、集会の形式により行うこと。 

評議員数が理事数の2倍を超えていないことから、速やかに是正すること。

私立学校法の趣旨を踏まえ、理事長の常勤化や兼職の制限など、学校法人として機動的に意思決定できる体制を整備すること。

理事に教学関係者が少ないことから、教学側の意見が適切に反映し得る理事構成に見直すこと。

 

 

最後に、手続面での指摘事項です。

財務書類備付けが遅延して行われていたことから、今後は法令の規定に基づき、所定の期日までに行うこと。 

学年進行中に当初の設置計画が大幅に変更されていることから、速やかに文部科学省と協議するとともに、今後、緊急かつやむを得ない事由により計画の変更を行う場合は、あらかじめ文部科学省と協議すること。

寄附金について、募集要項等に任意である旨が明記されていないことから、改善すること。
資産総額変更登記が、理事会における決算の議決より前に行われていることから、適切に行うこと。

代表権の登記が遅延して行われていたことから、今後は法令の規定に基づき、所定の期日までに行うこと。

学校法人の公共性に鑑み、財務情報の一般公開(ホームページへの掲載)について積極的に対応すること。

役員及び評議員の選任方法に誤りがあることから、寄附行為の規定に基づき適切に行うこと。

独立監査人による監査報告が決算前の計算書類に基づき実施されているため、適切に行うこと。

 

いかがでしょうか。理事会・評議員会に関する瑕疵、あるいは手続きにおける瑕疵については法令で定められた方法に則るのは当然のことかもしれませんが、財務に関する指摘などは「手取り足取り」といった印象で、ずいぶん甲斐甲斐しく?面倒を見てくれるんだな、と皮肉を言いたくなる内容です。

ただ同時に、経営上当然とも思われる財政的な安定を欠くケースが少なくないことを示しているのだろうとも思います。

これらの指摘を他山の石として、各校とも健全経営をお続けいただければと思います。