今日ご紹介したいニュースは、実は2つあります。
1つは文科省から昨夕配信されたメールマガジンに掲載されていたこの項目。
文科省HPにアクセスすると、この記事がアップされたのは今年の1月29日。実に4か月前ですね。
それがなぜ今頃のメルマガに…?と、少々不思議には思っているのですが、以前このブログでも採り上げた
「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」を含め、今年度の改正事項をまとめて見ておくのも有用かな、
と思い引用させていただきました。
上記贈与以外の事項として目立っているのは、「認定こども園に絡む所得税と消費税の措置」。
保育所には待機児童が存在し、幼稚園は定員割れが続く。
そんな状況を打破することができるしくみになり得るのでは…との期待が寄せられている認定こども園。
ところが、その設置はなかなか進んでいないようです。
となると気になるのは待機児童のこと。
というわけで、本日採り上げるもうひとつのニュースはこの待機児童、あるいは保育所をめぐる記事です。
学校法人、という切り口からすれば、保育所を持つ学校法人は少数派ですので、
このブログの主旨から少し外れるかもしれませんが…ご容赦いただければ幸いです。
実は先日来、この待機児童に関するニュースを頻繁に採り上げておられます。
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特に日経新聞さんの記事が多くなっていますね。また、うち3本が横浜市のことについて触れています。
1本目の記事では
「保育所の整備が進んでも待機児童数が減らないのは、 もともと保育所の未整備によって子供を保育所に預けられず、
やむを得ず仕事をやめたり、育児休業を延ばしたりした親が、
『新たな保育所ができたのなら、ひょっとしたら子どもを預けられるかもしれない』と、
改めて入所申請をするという数字のからくりがあるから」と解説。
2本目の記事は、株式会社の参入を促した横浜市で待機児童がゼロになったという情報を提供しつつ、
他の自治体では撤退リスクを懸念して企業の活用がなかなか進んでいない、という実態を紹介しています。
3本目は横浜市の方法論を具体的に紹介。単に株式会社の参入を促進した、ということにとどまらず、
・未利用の公有地や鉄道の高架下などを活用して保育所の用地を確保
・希望者の通勤経路や住所地などを把握し、定員に空きのある近場の保育所などを紹介する保育コンシェルジュ制度を設置
・希望通りの認可保育所に入れなかった児童には、
主に0~2歳児を対象にした横浜保育室や、NPOなどに委託する家庭的保育を紹介して対応
といった具体策が並んでいます。
4本目は朝日新聞さんの記事。同じく横浜市のこれまでの取組を紹介した上で今後のことにも触れ、
・今年度も124億円をかけ認可保育所を23カ所新設、定員を約1500人増やす方針
・保育士不足が深刻なため、働いていない有資格者を集めるための無料講座や就職説明会を開催予定
と書かれています。
そして、着眼点は違いますが、保育所経営という観点からの記事もあります。
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この記事にあるJPホールディングスさんは民間保育所経営で最大手とのこと。
インタビュー記事には刺激的ではあるものの気付きの得られるコメントがいくつか載っています。
独断と偏見で、ごく一部のみ引用します。
(成長スピードについて)
・年率20%前後の持続的な安定成長を目指しており、急速にスピードが上がることはない。
・保育士の獲得、教育なども必要で、保育の質を維持するためには年間どう頑張っても保育所の新設は30カ所程度が限度。
・とはいえのんびりした取り組みでは社会の要請に応えられない。
・将来的にはM&Aによる成長スピードの加速も考えられる。
(事業展開上のリスクについて)
・保育士が不足していること。
・すでに働いてくれている社員が辞めないよう、社長自ら誕生日カードを書いたり食事会を開いたりもしている。
・給料を上げれば人が集まるというものでもなく、働く環境の向上など地道な活動の積み重ね。
(今後の具体的な事業計画について)
・大阪進出を考えている。橋下徹氏が大阪市長に就任して大きく保育所運営方針は変わっている。
先ほどもお伝えしたように、保育所運営が学校法人に直接的な関連を持つことは少ないかもしれません。
が、業態としてはよく似たものと言ってよいと思います。
そして、現時点では園児が列をなして待ってくれているとはいえ、それはそれで社会問題を引き起こしています。
加えて今後は少子化が進み、経営体として安泰とは言えない状況がやってくることでしょう。
保育所をめぐる自治体や事業者の取組は、きっと学校経営にも参考になると思い、この記事を採り上げてみました。
少々ブログが長くなってしまいました。
ご容赦いただければ幸いです。
(文責:吉田)