初任給を上げる動きは民間企業や公務員のみならず、
私学でも多くなっているのではないでしょうか。
ここで一度、おさらいをしておきましょうか。
日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
初任給、それは長い社会人人生の「稼ぎ」の最初の一歩。人手不足を背景に大幅アップのニュースも相次ぐが、物価高のおり「実質初任給」では別風景も広がる。終身雇用を前提とした右肩上がりの賃金カーブも過去のものだ。いくらもらい、何に使うのか。今どき初任給事情を探る。

というわけで、この記事は
「初任給は大きく上がっているけれど、
当の本人たちは裕福さを実感できてはいない」
というニュアンスで書かれています。
実際の統計値を確認しますと、大学卒業者の平均初任給は
1990代以降「およそ20万円」時代が長く続いた後、
ここ数年で「25万円」へと水準訂正がなされつつあります。
背景には新卒人口の減少や産業構造の変化があり、
大企業を中心として大きな初任給アップの動きが加速しました。
ただし額面と実感は別だ。30年前の親世代と比べ、給与から天引きされる税・社会保険料の負担が響く。会社と折半の厚生年金保険の料率は実質的に5ポイント以上重くなった。
額面から天引き分を除いた可処分所得の使い道も狭まっている。電気代などの必要経費増に加え、米をはじめとする食品の値上がりも痛い。スマートフォン絡みの出費など親世代が無縁だった費用も欠かせない。
お金の使い方も変化してきている中で、
現状の初任給の上げ幅では不十分という見方があるのは理解できます。
一方で、私学の初任給を考える際には
「これまでの水準」が果たして適正であったのか、
という点には十分注意する必要があるでしょう。
私学においては、その規模が一般企業で言うところの
「中小」企業にあたる水準にありながら、
「大」企業顔負けの給与水準を続けていたケースも
わりあい多くみられるところです。
これまでよりも上げる、という観点は忘れてなりませんが、
生活を維持するという観点、
そして教職員の業務負担や責任を換価するという観点も
ぜひ重視していただき、
現代においてあるべき賃金水準がどれほどなのか、
それは初任給に限らず定年やその後に至るまでの
生涯賃金の水準として検討、実現いただくことが大切なのではないか、
と思います。
日本独特の「後払い賃金」も曲がり角にある。賃金カーブは年功序列から、能力・生産性に応じた傾斜へと変わりつつある。初任給には上昇圧力がかかりやすい一方「逆転」された先輩世代の士気に影響を及ぼす。特に初任給で冷遇された就職氷河期世代が退職金など後払い賃金でも割を食わないよう配慮が必要だ。
(文責:吉田)