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共学化論争、判断難しく

この記事は埼玉県内の「県立高校」を採り上げたものなんです。

他地域の方にとっては少々驚きかもしれませんね。私も驚きました。

少々古い記事になりますがお許しください。日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

埼玉県内で県立高校の共学化を巡る論争が続いている。県の苦情処理委員から男女別学の12校の共学化を求める勧告が出たことを受け、県教育局が対応を模索。中高生と保護者を対象にしたアンケート調査などを基に今夏にも最終方針を決めるが、県内で賛否が分かれる上、「男女平等」「公教育のあり方」など論点も多岐にわたり、難しい判断を迫られている。

 

男女別学の公立校、というのは地域が限られていて、

今回の記事にある埼玉県と、その周辺の群馬県、栃木県などに限られる、

と書かれています。なるほど。

中でも埼玉県は、県立高137校のうち12校が別学、

トップ進学校に限れば2校が別学、1校が共学となっています。

 

「共学化論争」のきっかけは、県の男女共同参画苦情処理委員が

2023年8月に県教育委員会に出した勧告です。

「(県立の男子高が)女子であることを理由に入学を拒むことは、

 女子差別撤廃条約に違反している」などとする苦情があったため、

調査の上で勧告に至った、とのこと。

このような勧告は2002年にもあったそうですが、

今回は同窓会や市民団体による意見表明があるなど、

話がかなり盛り上がっているようです。

 

男子校の浦和高校の同窓会は23年12月と24年7月、知事と教育長に別学の維持を求める意見書を提出。共学・別学の判断について、ジェンダー平等や男女共同参画の観点ではなく「総合的な高校教育のあり方から議論すべきだ」と訴えた。「別学においてもジェンダー平等の視点からカリキュラムが改善され、実践されている」とする。

一方、市民団体の「共学ネット・さいたま」は3月、共学化を求める意見書を教育長らに提出した。その理由として「教育分野の男女格差が政治、経済の男女格差につながっている」など8の項目を提示した。社会での女性活躍が課題となるなか、同団体は女子のリーダーシップ育成は男子も交えて行うべきだと主張する。

 

ちなみに、本件の方針を定める参考にと実施されたアンケートでは、

高校生では「維持(=共学化しない)」が57.2%、

「どちらでもよい」(33.2%)、「共学化」(7.8%)となった一方、

中学生では「どちらでもよい」(56.2%)、

「維持」(19.3%)、「共学化」(18.7%)と結果がかなり異なります。

保護者は中学、高校とも「維持」が最多だったそうです。

(上記アンケートは埼玉県教育局が今春実施したもので、

 中学生24,343人、高校生7,286人、

 中学生の保護者15,790人、高校生の保護者17,410人の記名回答が得られ、

 結果が7月上旬に公表されました)

 

そしてその後、日経新聞の全国版でこんな記事が出ました。

www.nikkei.com

(会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

埼玉県教育局は(8月)22日、男女別学の県立高校の共学化を巡り「県教育委員会として、主体的に共学化を推進していく」との方針を盛り込んだ報告書を公表した。報告書では共学化の時期や対象となる具体的な学校名や判断は示しておらず、今後も中高生や有識者を交えた長期的な議論を続ける。

というわけで、明確な結論とまではいきませんが、

共学化が方向性になったようですね。

 

昨今、少子化の影響もあり、入学者数や生徒数が少なくなったことを

大きな要因として別学から共学へと変化する私学が多くなっています。

私学の場合、女子校、男子校として続けてきた学校を共学化するにあたり

建学の精神と照らしてどうか、という点にきちんと着眼すべきですが、

公立校の場合はそれが難しいところもあるのかもしれません。

 

共学、別学のそれぞれに良さがあるのも事実です。

埼玉県の例が最終的にどう決着するかという点にも注目ですが、

貴校園が共学、別学の道を歩んでおられること自体の意義を

改めて考えてみてもいいかもしれませんね。

そこに将来に向けてのあるべき姿が見えるかもしれません。

 

(文責:吉田)

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