昨日の朝刊で驚いたニュース。
大阪ローカルですがご容赦ください。
大阪府教委、私学所管も検討 組織改編し「教育庁」構想:朝日新聞デジタル
(全文読むには会員登録が必要です。ご容赦ください)
まずは記事本文を引用します。
大阪府が、公立学校の管理指導を担う府教育委員会に、私立学校や府立大学への指導も委ねる検討をしていることがわかった。幼稚園から高校まで公立・私立を一元的に指導する「教育庁」を設ける構想で、公立大学まで含めた移管が実現すれば全国初という。2月府議会に組織改編の議案を提案する方針。
府関係者によると橋下徹・前知事や松井一郎知事は、高校入試の学区撤廃や私立高校の授業料無償化などを推進。松井知事は公立・私立学校の一体的な教育改革が必要と判断した。府教委事務局を組織改編し「教育庁」とし、幼児教育の充実や公立・私立校間の人材交流、府・市立大学の統合議論の進展などを図るという。
私立学校の運営自体は各校に任せるが、私学関係者からは「独自の建学の精神に基づいてきた私学の公立化を招く恐れがある」との懸念の声も出ている。
本件報道を受けて早速、某私学の法人事務局長さんから昨日、「どんなことが懸念されますか」とのご相談メールが飛び込んできました。
そのメールに書かせていただいた内容をこちらでも書かせてもらうことにします。
本件が報道されて真っ先に思ったこと、それは「経営の裁量」、言い換えると理事会権限がどの程度「取り上げられてしまうのか」、という点です。
私学における理事会の機能が公立における教育委員会にあたるとすれば、そこには何らかの経営の制約が発生する可能性が高いと見ています。
行政機関の設置趣旨からすると、知事所管から独立委員会への移管はむしろ政治から遠ざけようとする動きになるはずなのですが、今回記事には「教育庁」を設置する旨記載があり、しかもその母体は教育委員会ではなく教育委員会「事務局」(=知事所管部局)とされている点が気になっています。
記事本文には人事交流という形で人事に口を出そうとしているふうにも受け取れる内容が含まれていますので、十分留意が必要なのではないでしょうか。
ただ一方で、公立校に対する政治関与を強める意図を持ちつつ、その色をやや薄めるために改組を画策されているとも考えられ、本施策の本当の意味でのターゲットが私学なのか公立なのかはまだよく分かりません。
今後の動向に注視したいところです。
なお記事の末尾には、今回の大阪府の構想の類例として秋田県のケースが掲載されているのですが、秋田県教育委員会のHPを見ると、そちらのほうは名実ともに独立機関としての教育委員会が教育行政を司っており、大阪府がこの形を想定しているのか、見極めが必要です。
(詳しくはこちらをご参照ください→教育委員会のしくみ | 秋田県公式Webサイト 美の国あきたネット)
他の自治体での動きはいかがでしょうか。
そして大阪府は今後どのような形になっていくのでしょうか。
しっかり見守りたいと思います。