カレンダーでは休日表示になっている本日。
しっかり平日の月曜日ですね。お目覚めいかがでしょうか。
本日は、先日実施されました全国学力テストに関する記事がありましたので、
ご紹介いたします。日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
この記事は福岡教育大学・川口俊明准教授によるものです。
まずは、ハッとする指摘から。
2021年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果が公表された。昨年度の全国一斉休校への関心から、休校期間と学力の間に関連が見られないという報道が多かったようだ。
こうした報道を見て、休校はそれほど学力に影響を与えないと思った人もいるかもしれないが、それは早合点である。仮に、もともとの学力は休校期間の長い学校の方が高かったとしたらどうだろう。休校の結果、全体の学力水準がならされ、休校期間と学力に関連が見られないという現象が生じてしまう。
休校の影響を把握するには休校前後の学力を比べ、上がった/下がったという議論をしなければならないのだ。
休校が学力に影響を与えるか、という問いに対する答えとしては、
確かにその通りですね。
ただ一方で、現在の全国学力テストでは、
「学力の変化」を知ることができません。
通常、各校で実施されているテストも同様かと思いますが、
このテストは正答率を計算するテストであり、
仮に正答率や点数が上がっても、
それはテストが易しくなっただけ、かもしれず、
変化を知るには不十分な情報になってしまいます。
異なる内容のテストを比べて学力の変化を知るには、各回のテストに共通のテスト項目を含め、その項目に対する受験者の反応を手がかりに得点を調整する作業が必要になる。この実装には項目反応理論(IRT)というテスト理論の理解が必要だ。
ではIRTを採用すればよいかというと、話はそう簡単ではない。手がかりとなる共通のテスト項目は秘匿されていることが条件だ。これが公開されるとテスト対策が行われ、調整は失敗する。
テスト対策、というものの存在がテストの意義を下げている、
というのは皮肉なものですね。
そして筆者は、障壁は日本の学校のテスト文化だ、とおっしゃいます。
おそらく大学入試が典型例だが、日本ではテストを実施した後に内容をすべて公表することが一般的だ。この慣習は「今後の学習や指導に生かすために重要だ」という理由で正当化され、同時にIRTの採用も退けられてきた。
10年以上全国学力テストを実施しているにもかかわらず、日本は自国の学力の変化すらほとんど把握できていない。経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)や、国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)といったIRTが実装されている国際調査の結果を見た方が、よほど日本の学力の変化を理解できる。
さて今回採り上げているのは全国学力テストですが、
貴校園で実施されているテストはいかがでしょうか。
本来、テストは学習履歴を確認するものなのではないかと私は思うのですが、
各校園ではそこに何らかの目的、意義が存在することでしょう。
その目的、意義そのものが適切かどうかを検証し、
さらにはテストがその目的、意義を果たすものになっているかどうか、
改めて確認することが重要ではないでしょうか。
小テストや各種テストの実施で先生方が疲弊している、
という言葉すら聞かれることがある教育現場。
今一度、テストのあり方を考えてみたいですね。
(文責:吉田)