寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

新規学卒就職者の離職状況

学校は言うまでもなく、その後の社会での活躍を願って、

いろいろな勉強や経験を積む場所、ですよね。

というわけで、私が個人的に気にしているのは「卒業後の進路」。

小中高においてはとかく「進学」という物差しをあてがちですが、

それよりももっと広く、社会に向かう進路を捉えるのが

本来の学校における進路指導ではないか、と思っています。

 

さて、その意味において大切な情報が開示されました。

厚生労働省HPより。

 

www.mhlw.go.jp

 

上記ページを開くと、最初にこんなことが書かれています。

 

今回の取りまとめにより、新規高卒就職者の40%以上新規大卒就職者の30%以上が、就職後3年以内に離職していることが分かりました。 

 

離職した新卒者はかなりの高率にのぼる、と言えそうですね。

具体的に見ていきましょう。

まずは学歴別の就職後3年以内離職率です。 ( )内は前年比増減です。

・ 大学  32.2%  (+0.3 P )
・ 短大等 41.3%  (▲0.4 P )
・ 高校  40.8%  (▲0.1 P )
・ 中学  67.7%  (+4.0 P ) 

3年間の推移でみると、やはり1年目の離職が多くなっているのですが、

中学卒では特にその傾向が強くなっており、

3年目の離職率は大卒者よりも低くなっています。

 

続いて、事業所規模別の就職後3年以内離職率です。

大学・高校の順に数値を掲載します。 ( )内は前年比増減です。

1,000 人以上:24.3 %(+0.7P) 25.3 %(+0.6P)
500 ~999人:29.8 %(+0.6P) 32.9 %(+1.4P)
100 ~499人:31.9 %(±0.0P) 37.9 %(±0.0P)
30 ~ 99人:38.8 %(+0.2P) 47.1 %(▲0.6P)
5~ 29人:50.2 %(+0.3P) 56.4 %(▲0.8P)
5人未満 :59.1 %(+0.1P) 64.0 %(▲4.0P)

規模別にみると、企業規模が大きいほど離職率が下がる、

という傾向のようですね。

ただ、前年と比べると、企業規模が小さいほうが離職率が減少している、

あるいはその増加幅が小さくなっていることも分かります。

 

最後に、産業別の割合。しかも、ここに採り上げられているのは

「3年以内離職率の高い上位5産業」、つまりワースト5です。

先ほど同様、大学・高校の順に数値を掲載します。 ( )内は前年比増減です。

宿泊業・飲食サービス業:50.2 %(▲0.3P) 64.4 %(▲1.7P)
生活関連サービス業・娯楽業:46.3 %(▲1.6P) 59.4 %(▲1.1P)
教育・学習支援業:45.4 %(▲1.9P) 56.0 %(▲3.4P)
小売業:38.6 %(+1.1P) 50.4 %(▲1.0P)
医療、福祉:37.6 %(▲0.8P) 47.7 %(▲0.6P)

教育・学習支援業がワースト3なんですね…

個人的な実感としては、学校はともかく、

学習塾に就職した新卒者が転職するケースは多いように感じています。

転職自体が悪であるとは思わないのですが、それでも

3年で半数が辞めてしまう業界、というだけで魅力も半減、

という印象すら生まれてしまわないかと心配になります。 

 

学生時代と社会人になってからでは、

職業や仕事に対する印象が変化することは当然でしょう。

ただ、そのギャップがあまりに大きいと、

離職につながりやすいのもまた事実です。

現在の学校における進路指導はどうしても「進学」偏重で、

それは生徒本人や保護者のニーズを受けてのものではありながら、

やはり社会人になった後のイメージが不十分なまま

学生時代の卒業を迎えることが多いのでは、と思います。

 

私自身も何度か転職していますし、新卒後3年以内どころか、

1年以内に離職した経験者でもあります。

私の当時はやや非常識な職場環境であったと言えるかもしれませんが、

それでも社会人としての自分がどんなふうなのか、

そのイメージが不十分なまま就職してしまったことは否めません。

学校における進路指導が、本当の意味での「進路」に関して

行われるようになればいいなあ、と自らをふりかえっても思う次第です。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp