寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

事務が忙しすぎる先生…ICT化に効果?

昨日は朝からバタバタしてしまい、ブログのアップができず、大変失礼いたしました。

余裕を持って仕事をすることの大切さが身に沁みます。

というわけで、本日はこんなネタを拾ってまいりました。

 

事務が忙しすぎる先生…ICT化に効果? - 産経ニュース

 

このブログでも何度も取り上げている、学校現場の負担軽減について。

今回ご紹介した記事には学校現場の現状がこのようにまとめられています。

 経済協力開発機構OECD)が26(2014)年に公表した国際教員指導環境調査(TALIS=タリス)によると、日本の教員の仕事時間は1週間に53・9時間(参加国平均38・3時間)と調査参加国で最長。

 本来業務である授業時間は17・7時間と参加国平均(19・3時間)を下回る一方、事務業務が5・5時間で平均(2・9時間)を上回る。この“逆転現象”が教員に負担感を抱かせる一因ともなっている。

そこで文部科学省はこのたび、「学校現場における業務改善のためのガイドライン」をまとめ、公表しました。

このガイドラインには、『組織改革や校務効率化などの課題ごとに、各地の教委で成果の確認された対策が紹介され、問題を抱える教委や学校が参考にできるようになっている』(上記記事より引用)とのこと。

 

詳細はこちらからご覧ください↓

「学校現場における業務改善のためのガイドライン」の公表について:文部科学省

 

このガイドライン概要に記された、「業務改善の基本的な考え方と改善の方向性」を以下に引いておくことにしましょう。

校長のリーダーシップによる学校の組織的マネジメント
■学校経営ビジョンの明確化と業務改善に向けた組織的・機動的な体制づくり(全教職員とビジョンの共有、校務分掌の編成、業務改革や職務に対する意識改革等に関する研修)
●優れた人材の確保やマネジメント能力強化のための研修の実施(校長の任用、管理職に対する学校マネジメント研修等)
●主幹教諭の配置・活用の促進(校長と教職員のパイプ役として全教職員の一体化への貢献、副校長・教頭と主幹教諭の間での業務分担)
学校評価と連動した業務改善の点検評価(業務改善の実施状況の点検評価を通じた教職員の意識の醸成、好事例の普及等)
●予算等における学校裁量権限の拡大(学校管理規則や学校財務取扱要領等の整備・見直し、学校提案による予算措置等)

教員と事務職員等の役割分担など組織としての学校づくり
●事務機能の強化(標準職務の明確化、事務の共同実施等)
■学校の校務運営体制の改善・充実(専門スタッフによる支援の充実、教職員と専門スタッフが協働できる仕組みと雰囲気づくり)

校務の効率化・情報化による仕事のしやすい環境づくり
■校務の効率化(業務改善の方針等を策定し、精選すべき業務の明確化、改善目標の設定、フォローアップを実施)
●校務の情報化(校務支援システムの導入の促進)

地域との協働の推進による学校を応援・支援する体制づくり
■学校運営・教育活動に地域人材が参画する仕組みの活用等(学校支援地域本部、コミュニティ・スクール等の取組の推進)
教育委員会による率先した学校サポートの体制づくり
教育委員会による学校サポート体制の構築(保護者等からの過度な要望等の問題解決への支援)
●調査文書等に関する業務負担の軽減(調査頻度、調査時期・期間の調整、類似調査の統廃合、調査の見直し状況に係る定期的な達成度の検証)
●人的資源管理の推進(資質向上に係る研修等の整備)

(●→教育委員会対象 ■→教育委員会・学校対象)

これもまた公立校向けの内容になっていますが、私学でも十分参考になる着眼点が多く含まれています。ぜひご参考になさってください。

 

ちなみに、産経ニュースの記事には実際の業務改善例として広島県教委と新潟市教委の事例が掲載されています。

前者では「指導要録」のICT化により、「子供と向き合う時間が増えた」と感じる教員が60%から72%に増加。

後者では、事務職員の役割を強化、学校運営に関われるよう改革を実施し、教員の事務作業量を削減した結果、放課後に子供と接する時間を週あたり5時間以上確保できる教員が26%から64%に激増。

なるほど、やってみるとこうやって、効果は生まれるものなのですね。

 

ちなみに某紙では、教員の残業が多くなっている理由の一つとして「国等からのアンケートが多すぎる」という指摘がなされていました。

上記記事においてもこんなふうに書かれています。

 文科省ではこれまでも、教員の負担軽減のため全国全ての学校に求めてきた定期調査数を、平成18年度の年間23件から今年度は8件にまで縮減。今回の文科省調査で改めて、学校現場にとって国や教委からの調査の対応が最大の負担であることが裏付けられた格好だ。

しくみを整えることの重要性とともに、業務そのものの重要性を見極め、なくせる仕事をなくしていく大胆さも必要だと感じた次第です。