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学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議 最終まとめ

ブログタイトルを名に冠した記事が文科省HPに掲載されました。

 

学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議 最終まとめ:文部科学省

 

今回開示されたまとめの報告書はボリュームが大きいので、

ぜひ押さえておきたい内容を以下に抽出いたしました。

ご参考になさってください。

 

まずは今回の会議での「検討の視点」から。

なお、下線等は筆者が勝手に付しております。ご容赦ください。

平成 32 年度から小学校より順次実施される新学習指導要領においては,情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して,問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な資質・能力である「情報活用能力」は,各教科等で身に付ける資質・能力の育成の観点から不可欠な基盤となるものとして位置付けられ,各学校においては,教科等横断的な視点に立った教育課程編成及び学習の充実等が求められることとなった。
(中略)

 

また,主体的・対話的で深い学びの実現に向けた学びの過程等においても,ICTを適切に活用した学習活動の充実が求められることとなったばかりでなく,個別学習やグループ別学習,繰り返し学習,学習内容の習熟の程度に応じた学習,児童の興味・関心等に応じた課題学習,補完的な学習や発展的な学習などの学習活動や,指導方法や指導体制の工夫改善による個に応じた指導の充実などを,児童生徒や学校の実態に応じて取り入れる際にもICTを活用することとされた。さらに,各教科等においても「ICTを活用した学習が効果的に行われるようにすること」といったことが記載された。
(中略)

 

社会生活の中でICTを日常的に活用することが当たり前の世の中となっている中で,これからの子供たちが活躍することとなる将来を見通して学習環境を考えるのであれば,情報の収集,判断,表現,処理,創造,発信,伝達といった学習活動を行うにあたって,ICTを活用することを前提として教育環境を整えることは,国や教育委員会等の行政又は設置者としての当然の責務である。
その際,我が国は,学校においてICTを活用できる環境が,OECD諸国と比較しても十分でないことを認識しておく必要がある。

ICT環境の必要性についてはかなり強い口調で述べられていますね。

「ICT環境整備は設置者として当然の責務」とまで書かれていますので、

私学における環境整備にも財政的に配慮して下さることを期待しつつ、

話を先に進めましょう。

 

続いて、「これからの学習活動を支えるICT環境」について。

まずは、「学習活動におけるICT活用」です。

○ 本有識者会議での検討及び検討チーム報告において例示された学習活動を踏まえ,今後の学習活動において,最低限必要とされ,かつ,優先的に整備すべきICT機器等について,表1に整理をした。

(表1)これからの学習活動を支えるICT機器等と設置の考え方

(以下、記載されているICT機器等の名称と簡単な補足説明のみ転記します)

・大型提示装置…普通教室及び特別教室への常設
・実物投影装置 …普通教室及び特別教室への実物投影機(書画カメラ)の常設
・学習者用コンピュータ(児童生徒用)…必要な時に「1人1台環境」を可能とする環境の実現
・指導者用コンピュータ(教員用)…普通教室及び特別教室で活用することを想定
・充電保管庫…学習者用コンピュータの充電・保管のために活用することを想定
・ネットワーク:無線LAN(普通教室及び特別教室)/有線LAN(特別教室(コンピュータ教室))
・いわゆる「学習用ツール」(ワープロソフトや表計算ソフト,プレゼンテーションソフトなどをはじめとする各教科等の学習活動に共通で必要なソフトウェア)
・学習用サーバ …各学校1台分のサーバの設置 

 

○ とりわけ,学習者用コンピュータは,個々の児童生徒の情報の収集,判断,表現,処理,創造,発信,伝達といった,学習の基盤を支えるために必要な能力である情報活用能力等を育成するための学習活動を拡張させ,学びの質を上げていく際に,児童生徒が直接操作するものであることから,本来的には「1人1台専用」の学習者用コンピュータが整備されることが望ましい
(中略)

 

○ ICTを活用した学習活動は,ICT機器間をネットワークでつなぐことにより,その特性・強みが最大限発揮されることを踏まえれば,表1に掲げるようなICT機器等は,個別のICT機器ごとに整備を進めるのではなく,一体として整備していくことが,重要である。

こうやって見てくると、やはり財政面が一番気になりますね…

教育活動にかかる予算確保をぜひ優先していただくよう、心底願うばかりです。

 

もうひとつ、「校務におけるICT活用」についても以下の記載があります。

○ 本有識者会議においては検討の対象外としたが,学校のICT環境整備を進めるに当たっては,教員及び児童生徒が授業等で活用するICT環境整備だけでなく,表2に掲げるような校務の情報化も必要である。

 (表2)校務等を支えるICT機器等と設置の考え方

(以下、記載されているICT機器等の名称と簡単な補足説明のみ転記します)

・校務用コンピュータ…教員1人1台環境の整備
・ネットワーク…有線LAN(職員室(校長室及び事務室を含む。),保健室等)
・ソフトウェア…統合型校務支援システム
・セキュリティソフト

 

〇 校務において情報化を進めることは,校務分掌に関する業務や服務管理上の事務等を標準化し,業務の効率化を図る点で有効である。
校務の情報化が進むことにより,教員が学校運営や学級経営に必要な情報や児童生徒の状況等を一元的に管理・共有することが可能となり,このことは,教員の事務作業の低減につながる。このため,校務の情報化を進めることは,教員の働き方改革の推進にあたっても極めて重要である。

 

文部科学省においては,平成 29 年度から,統合型校務支援システムを発展させ,これらの校務の情報を,学習記録データ(学習成果物等の授業・学習の記録)等と有効につなげ,学びを可視化することを通じ,教員による学習指導や生徒指導等の質の向上や,学級・学校運営の改善等に資するための実証研究を実施することとしている(「次世代学校支援モデル構築事業」)。
今後の学校教育の質の向上の観点からは,情報セキュリティの確保を前提として,校務支援システム等の情報を授業や学級・学校運営の改善に積極的に活用していくことも重要であることに留意する必要がある。

いかがでしょうか。 

ICT環境は、学校での活動を効率的に実施するために、

もはや不可欠であるともいえる時代になってきたように思います。

 

少し話はそれますが、「効率的」という言葉はともすると、

「時間をかけずに」という側面ばかりが強調されることがありますが、

本来は「効果的」であることに時間の観点を加える、すなわち、

「効果的なことを、限られた時間で行う」

ということを意味する言葉であると、私は考えています。

 

よって、ここで「効率的に」と申し上げているのは、

何も「手をかけずに、短時間で」という意味合いではなく、

本当に時間をかけるべきことに時間をかけるために、

作業レベルのことを省力化し、あるいはミスを防ぎ、

より業務の成果を高めることを指しています。

 

ぜひこの観点で、学校全体の業務効率化を図っていきましょう。

 

(文責:吉田)

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