働き方改革はどのくらい進んでいるのでしょうか。
学校現場に限らず、進捗はなかなか厳しいところがあるようです。
日経新聞より。
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大企業の残業に罰則付き上限が導入された2019年4月以降も月80時間超の残業をしている人が推計で約300万人に上ることが総務省の調査で分かった。労務管理の徹底でサービス残業があぶり出され、部下の仕事量が減ったしわ寄せで管理職の残業が高止まりしている。今後は画一的に残業を減らすのではなく、生産性の向上で収益を高め、働き手にも還元していく改革が重要になりそうだ。
働き方改革関連法は企業規模によって適用時期が異なる規定がありますが、
大企業については、2019年4月から従業員の時間外労働を
年720時間以内にすることが義務づけられました。
月100時間超の残業は禁止され、
さらに2~6カ月平均で月80時間以内に抑える必要があります。
違反に対しては30万円以下の罰金か6カ月以下の懲役とかなりの厳罰です。
中小企業に適用されるのは今年、2020年4月からとなります。
今一度ご確認くださいね。
ところが、統計上は多くの企業がこのルールに「違反」した状態にある、
と記事は指摘しています。
2019年4~11月に月241時間以上働いた雇用者は月平均約295万人。
2018年度平均は319万人でしたので若干減少はしていますが、
それでも雇用者全体の5%を占めています。
月240時間というのは、労働基準法が定めた法定労働時間週40時間に
月80時間の残業を加えた数字です。
あれ?これが上限なのでは…?
ということで、あまり法律が予定している状態にはなっていない、
と書かれているわけです。
さて、学校はどうでしょうか。
私学においては変形労働時間制を採られているケースもありますし、
大企業に該当しないために法規制がまだかかっていない法人もありますので、
月240時間が必ずしも上限というわけではありませんが、
以前と比べて勤務時間が減少しているかどうかは確認を要します。
そして、その確認をするためには、勤務時間を正確に計測し、
記録する必要があります。
この点、今回の記事には興味深いことが書かれています。
働き方改革の動きが広がる中で統計上の残業が減らない理由の一つは、これまで隠れていた残業が表に出てきたためだ。
ある大手居酒屋チェーン幹部は「労働時間を正確に把握しようとしたら、正社員の残業時間が跳ね上がった」とため息をつく。店舗で働く社員はアルバイトの欠勤を埋めるため急にシフトに入ることも多い。こんな正社員の「サービス残業」があぶり出されている。
学校もこれに似た状況はたくさんあるような気がします。
ただ、まずは実態を知るために、残業時間数が増えるとしても、
正確な計測は徹底する必要があるでしょう。
そしてもう1点、この記事には労働時間が減らない理由が書かれています。
もう一つは部下の残業時間を抑えたしわ寄せも受ける形で、管理職の労働時間が高止まりしているためだ。リクルートスタッフィングが昨年9月にまとめた調査では、従業員300人以上の企業の管理職412人の12.8%が残業が「増えた」と答えた。働き方改革に詳しいパーソル総合研究所の小林祐児主任研究員は「労働時間に上限を設けると、部下に残業を頼めない中間管理職に業務が集中する」と話す。
誰かの勤務時間を補うために、別の誰かが長時間勤務をする。
そんな構造では意味がありませんよね。
そもそもの生産性を高めること、
あるいは時間を補うための別のしくみを整えるなど、
根治治療が求められます。
学校現場でも勤務時間短縮が現実に進んでいる学校もありますから、
先入観を持ちすぎることのないように、環境整備を進めたいですね。
(文責:吉田)