日経新聞より。
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1955~94年の40年間に生まれた人を現役世代と定義する。その数は6025万人。総人口の約半数だ。このなかで短大・高等専門学校を含めた大卒は46%。中学・高校・専門学校の非大卒が54%だ。現役世代の半数強が過去、大学へ進まなかった。うち団塊ジュニア世代より若い75年以降生まれの1300万人あまりを、吉川氏はLEGs(Lightly Educated Guys)=軽学歴者=と呼ぶ。
現役世代の半数が大卒、半数が大卒ではない、という事実。
半々だから分断?などという、単純な話ではなさそうですが、
社会での意思決定が大卒中心になされている気配は
私自身も感じているところです。
以前から言われている通り、両者には生涯賃金の差が生じています。
就職可能な職業の種類も、大卒は広く、そうでない人は相対的に狭くなります。
学校選びにもこのことは大きく影響しています。
大学に進学することこそが進路開拓である、
「いい大学」に進めば「いい就職」が待っていて「いい人生」が開ける…
高学歴であるにもかかわらず社会適応が苦手な人材の存在が
明らかになっても、学歴社会はいっこうに改善される気配がありません。
このような社会構造がそのままでいいのか、
という点は今一度考え直さねばならないような気がします。
安倍政権がリカレント教育(学び直し)の普及に乗り出すなど、社会人への再教育が政策課題に浮上している。
たとえばLEGsが大学に入ろうとすれば、4年分の学費とその間の収入減を合わせた負担が生じる。だが若年層は大卒者と高卒者の賃金格差がさほど大きくなく、大卒資格を得ても負担に見合う便益は得にくい。日本は「学歴分断線」(吉川氏)を越えにくいのが、リカレントの本元である米国と異なる点だ。
なるほど、いったん社会に出てからの学び直しに対して消極的になる理由は
むしろ「目の前の賃金差がそれほど大きくない」ところにある、
というのは事実かもしれません。
この分断線をGとLという記号で解き明かしたのが、バブル後に数々の事業再生に携わった経営共創基盤の冨山和彦・最高経営責任者だ。Gはグローバル化の波に乗った知的エリート層を、Lは地域密着型のサービス業や農漁業などで生計を立てる多数派を表す。その多くは非大卒者だ。
産業再生機構に構想時から参画した冨山氏は「事業再生に勝敗表をつければ、地場百貨店やローカルバス会社は勝率が高かった。その体験をもとにL層の存在と役割を意識するようになった」と言う。都市圏に暮らす大卒サラリーマン世帯に比べ、L層には一般に子だくさん世帯が多く、幸せ度が高いとみている。
個人的には、この記事全体に共感できるわけではありません。
ただ、学歴偏重社会に常々疑問を感じている私としては、
学歴ごときで社会が分断されてはかなわない、
という気持ちでこの記事を引用してみました。
学歴は単なる一つのものさしであって、
他にもいろんなものさしがあるよ、
という社会のほうがきっと健全でしょう。
私学はじめ、学校も「高学歴」を前提とした目標設定が
なされることが多いように感じてはいますが、
本来はもっと多様な組織目標があっていいと思います。
多様性を認める寛容な社会、というキーワードが
学歴にもあてはまることを願っております。
(文責:吉田)