賃金制度に関する話題が続きますがご容赦ください。
毎日新聞より。
労政審:成果賃金導入の報告書 「健康確保」義務付け - 毎日新聞
記事のもとになっているのは厚労省のこのページです。
労働政策審議会建議「今後の労働時間法制等の在り方について」を公表します |報道発表資料|厚生労働省
残業代不要の制度について議論が進められている昨今、この報告書は今後に向けてのひとつの方向が示されたと言っていいでしょう。
記事がまとめたこの報告書の骨子は以下の通り。
◇労働基準法改正案の骨子(※カッコ内は制度の対象)
■ホワイトカラー・エグゼンプションの導入
(全労働者の平均年収の3倍を超え、高度で専門的な業務に従事する人)
■有給休暇の年5日消化の義務付け(正社員中心)
■月60時間を超える残業代の割増率を25%から50%以上に
(これまで割増率アップの適用猶予を受けていた中小企業)
■裁量労働制の適用拡大(企画や課題解決型の営業業務)
■フレックスタイム制の見直し
ホワイトカラー・エグゼンプションに関しては、年収や業務内容等の基準が先日来示され始めています。
今のところ学校業界で新たな制度が適用される可能性はそれほど高くないと思われますが、ただ、現状においても学校教職員の消耗度が激しい中で、世間一般における考え方がこちらの方向に行くとなると、少々不安を感じないではありません。
今回の報告書では、健康確保のための措置もいくつか提言されているものの、果たしてそれで足りるのかどうか、あるいは実効性がどの程度担保されるのか、今後の推移を注視せざるを得ない内容だと言えます。
参考までに、健康確保のための措置は以下の3点となっています。
(1)勤務の終わりと次の勤務の開始の間に一定の休息時間を設けるインターバル規制
(2)1カ月または3カ月を区切りとする労働時間の上限規制
(3)4週で4日以上、年間104日以上の休日の取得
そして、忘れてはならないのがホワイトカラー・エグゼンプション以外の制度変更。
私学において特に留意したい内容は「有給休暇の消化義務付け」「残業代の割増率アップ」です。
有休消化に関して言えば、他業種に比べると業務代替性が低い教学において、これまで以上に計画的な働き方が求められるようになるのではないでしょうか。
また残業代については、人件費の中で少なからぬインパクトがあるものですので、労務管理の重要性がいっそう高まるように思います。
私学はこれまで、公立校に適用される公務員法と労基法の間で独自の解釈を続けてきた経緯があります。
今後は職場管理のひとつとして、労基法を中心とした学内制度の設計及び運用について、より深く考察する必要があると感じています。