6月がスタートしました。当社では今日から下半期のスタートです。
改めて気持ちを引き締めて、活動を続けていこうと思っています。
さて今日は、以前から情報収集を続けていることの一部をご報告させていただこうと思います。
それは、大阪・兵庫・京都・奈良の各地域における私学の決算状況です。
ちょうどこの時期、各校とも平成24年度の決算処理が終わったところだと思いますが、
逆に言えば、このタイミングでは平成24年度の決算状況を外部者が知る術はありません。
ですので、少し古いと感じられる向きもあるかもしれませんが、今日のこの記事では
平成23年度の決算状況を読み解いてみたいと思います。
まず大阪の概況から。
各校のHPに掲載されている決算データを集計したところ、以下のような結果になりました。
・帰属収支差額(=帰属収入-消費支出)が黒字の学校法人数=37法人、赤字の学校法人数=40法人
・大阪府全学校法人の帰属収支差額の平均値は▲48,253千円
・人件費率(=人件費÷帰属収入)が65%未満の学校法人数=38法人、65%超=39法人
・大阪府の人件費率平均=65.6%
・人件費率が55%未満の学校法人は7法人あり、そのうち帰属収支差額が赤字の学校は1法人のみ(率にして11%)。
逆に、人件費率が70%超の学校法人は24法人あり、うち20法人が赤字(率にして83%)。
(注)
・このデータは原則として法人全体の決算値を用いていますが、法人全体の数値が判明しなかった学校法人については法人部門の数字が入っていない可能性があります。
・各校HPに掲載されているデータを集計したものですので、掲載のない学校は集計していません。(集計数:77法人)
・人件費率算定上の阻害要因が含まれている学校法人について、この要因を除外する加工をしております。
続いて、兵庫・京都・奈良についても同様の点を見てみると以下のようになります。
集計数が少ないのですが、HPへの掲載が見当たらなかったのがその原因です。ご容赦下さい。
兵庫(集計数:16法人)
・帰属収支差額が黒字=10法人、赤字=6法人
・帰属収支差額平均=85,661千円
・人件費率が65%未満=12法人、65%超=4法人
・人件費率平均=62.6%
京都(集計数:19法人)
・帰属収支差額が黒字=12法人、赤字=7法人
・帰属収支差額平均=395,890千円
・人件費率が65%未満=16法人、65%超=3法人
・人件費率平均=57.7%
奈良(集計数:8法人)
・帰属収支差額が黒字=4法人、赤字=4法人
・帰属収支差額平均=▲27,872千円
・人件費率が65%未満=5法人、65%超=3法人
・人件費率平均=61.0%
ここから言えることとして、府県別にみると特に大阪府は人件費率が高く、赤字法人の割合も高くなっています。
逆に、京都府は人件費率も赤字法人の割合も相対的に低くなっています。
よく言われることですが、人件費率は決算書分析のひとつの着眼点になりそうですね。
ちなみに今回の調査では、「人件費率が高いほど赤字になりやすい」という仮説を立案し、
それを検証する形で進めましたので、このような形でのまとめになりましたが、
実は調べているうちに、もうひとつ気になることが出てきました。
それは別の赤字の原因とも言える事柄です。
このことについては日を改めて扱うことにします。
決算から見えてくることというのは非常に示唆に富んでいますね。
(文責:吉田)