ちょっといただけないニュースを採り上げてしまって恐縮ですが、重要な内容ですので本日はこちらを。
高体連内部組織の簿外資産、私的流用確認されず : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
本件は全国高等学校体育連盟内の「テニス専門部」で見つかった簿外資産の調査結果についてのニュースです。
簿外資産約2,350万円の内訳は複数の協賛企業から提供された賛助金や全国選抜高校テニス大会の実行委員会からの協賛金など。
これらの資産は記念事業の費用に充てる目的で管理され、私的流用は確認されなかった、と記事は伝えています。
このニュースを見て思い出されるのは、少し前に大問題を引き起こした、某私学での簿外資産問題。
試験料や副教材費など総額約5億円を複数の口座で簿外管理されていたそのケースでは、現段階で少なくとも1億2千万円が飲食費やゴルフ代、高級ブランド品の購入などに充てられていたということが分かっています。
私学の場合、学校法人による会計処理を経ずに、つまり法人の会計帳簿に掲載されず保持されている資産を簿外資産と呼びます。
これは学校法人に限らず、一般企業等においても厳格に禁止されている行為ですので、私的流用の有無にかかわらず、摘発されることに異論をはさむ余地はありません。
それに加えて上記某私学のケースは、私的流用もなされていますので二重に罪深いということになるわけですが…
ただ一方で、学校という場所は相当意識して会計処理をしていないと、簿外資産が発生しやすい環境にあるのは間違いありません。
代表例はPTA会計で、これは学校法人からすると別の会計単位であり、学校法人会計における計算書類のどこを見ても、PTA会計の内容は出てこないのが普通です。
その理由は明白で、学校法人とPTAはあくまでも別組織、だから。
同じ理由で、同窓会をはじめ、学校関連の団体や財産の集合体など、第三者から見ると同一のようにみえるものであっても、学校法人会計とは別会計で処理される資産や収支が数多く存在しているのが学校の特徴です。
一方で、例えば今回問題になった模試の受験手数料や教材費など、納付金ではないものの学校自身が収支すべきもの、という曖昧なお金が存在するのも学校の特徴。
これらの収支については、納付金や寄付金に比べると管理やチェックが甘くなりがち、というのがこれまでの実態だったと思われます。
上記の問題が発覚して以来、行政をはじめ各方面からのチェックはかなり厳しさを増している様子であることが私の耳にも届いておりますので、今回の決算処理においてはご苦労された学校法人さんもたくさんあるのではないでしょうか。
学校法人会計のルールが厳格であるのには理由があります。
それは、学校という存在が社会的に守られるべき存在であることを裏から支えているためであると私は考えています。
収支差額に対して法人税が課せられず、それどころか活動に対して補助金が支給されていることに対する責任の一端として、会計処理が適切に行われねばならないのは当然の帰結でしょう。
事務長や会計担当者のみならず、理事会はじめ学校全体で適切な会計処理を担保できるように、しくみと意識を整えていきたいものですね。