寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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自動車などで満額回答広がる 春の労使交渉、一斉回答

大阪は寒い朝を迎えています。

今日は学校とは直接関係のないニュースを採り上げます。

自動車などで満額回答広がる 春の労使交渉、一斉回答

春闘、という言葉で呼ばれていたこの労使交渉ですが、最近は「闘い」ではないのでしょうね。

本来、組織は一枚岩で前進すべきですから、そのこと自体は悪いことではないのでしょうが、

それでも時代の変化を感じずにはいられません。


このニュースは、円安・株高と並んで、景気回復を示す喜ばしいニュースとして

どのメディアも好意的に捉えていたように感じます。

こうやっていいニュースを耳にすると心なしか気分も高揚して、いいサイクルが回り始める予感も確かにします。

そんな単純かつ素直な私ですが、数日を経ていくつか気付いたことを以下記します。


この記事については、そもそもベースアップの要求が少ない、という点を考慮する必要があります。

つまり、労働者側が求めたのは『中長期の待遇改善』ではなく、

「儲かったんならちょっとお裾分けしてよ」(言葉が悪くて申し訳ありません)という、

利益配分的な要素であろうと推測できます。

中には「業績連動」と直接的に書かれたものも少なからず目につきます。

この現象は、「人件費を変動費としてコントロールしたい」という、経営陣の思惑を汲んだ、

労働者側の控えめな要求が原点にある、ということを示しているのではないでしょうか。


賃金の性質上、

・月例給はなかなか減額させられない

・賞与(一時金)は変動可能

というふうに言われます。

ついては、企業はいわゆる給与の引上げには特に慎重になり、業績が上がれば賞与で還元し、

業績が下がれば賞与カットはもちろん、給与を据置く方向になりがち、というのがここ最近のやり方だと感じます。


この点、学校においては、賞与(期末手当)も月例給同様、変動させることが難しい、という現実があると、

学校関係者さんからよくお聞きします。

就業規則や給与規程に「期末手当○ヶ月」と明記されていれば、

それは確かに固定的な運用をせねばならないことになりますが、

もし規則類に「期末手当は業績によって変動する」と書かれていれば、

あくまで慣習として変動させていない、ということになりますね。

(ただし個別の労働契約書に書かれていることもあるので、そちらも必ずご確認ください)


現状を踏まえれば、財政的に余裕がある学校法人さんは決して多くありません。

人件費をどのように統制するか、という点については、人件費の特性を踏まえてしっかり研究する必要があるでしょう。


もうひとつこの記事で気をつけたいのは、

「これで家計も潤って、本当の景気回復になる」と考えるのはまだ少し早いのでは、という点。

このような労使交渉が実施されるのは大企業。

日本の企業の大半は中小企業です。

もちろん、社員数を比べても中小企業で働く人が圧倒的に多いわけです。

次は大企業の業績が中小企業に好影響を与えるかどうかに注目せねばなりません。

ここ最近の大企業の多くは、人件費と下請けを経営の安全弁としてきた可能性が高い、と私は感じています。

中小企業の社員の家計も潤って初めて、学校にとっての顧客、

すなわち生徒や保護者の経済状況も好転したと考えるべきではないでしょうか。

(文責:吉田)