このブログでは毎年採り上げている統計がいくつかあります。
そのうちのひとつが本日ご紹介するものです。
大きな変化はありませんが、学校経営上気にせざるを得ない人件費水準に関するデータですので、ざっと見ておきましょう。
文部科学省HPより。
国立大学法人等の役職員の給与等の水準(平成27年度):文部科学省
ちなみに、調査対象年度は平成27年度、調査時点は平成28 年6 月30 日、調査対象は国立大学法人(86 法人)及び大学共同利用機関法人(4 法人)です。
掲載されている資料のポイントを抜粋しておきます。
1.常勤役員の報酬の支給状況
・法人の長:17,996千円(前年度比99千円・0.6%増)
・理事:14,294千円(同129千円・0.9%増)
・監事:12,149千円(同538千円・4.6%増)
⇒監事については、平成26 年度は35 名の監事が新任で、同年6 月期の賞与の算定期間が短く満額支給されなかったのに対し、平成27 年度はそのような事情がなかったこと等により、前年度に比して増加している。
常勤役員の給与水準はほぼ前年並みとなっており、代表者で約1,800万円、役員で1,200~1,400万円程度となっています。
組織の責任を持つ立場として、この水準の給与額は必要であると個人的には感じています。
2.常勤役員の退職手当の支給状況
・法人の長
A=役員としての在職期間のみを有する者の平均支給額:8,267千円(在職期間6年8月)
B=職員から引き続いて役員となった者の平均支給額:45,583千円(同33年10月)
・理事
A:5,115千円(同4年6月) B:41,938千円(35年11月)
・監事:4,024千円(同4年6月)
・業績勘案率又は業績考慮により退職手当の額が増減(各国立大学法人等が役員の業績に応じて決定する率又は額)された役員は13 名であった。
退職金に関してはかなり充実していますね。ただ、こちらも役員であるという責任の重さを勘案すれば無理のある金額とは言えなさそうです。
私学では、役員ではなく教職員の退職金額がこの水準に迫るケースに出会ったことがあります。
学校財政が決して潤沢ではない昨今、退職金水準は世間相場や退職後の生活費の想定などによって、適正な水準を模索する必要があるのでしょうね。
3.職員の給与水準
・事務・技術職員:5,766千円(対国家公務員指数88.1で前年指数より0.3ポイント下落)
・病院看護師:4,897千円(同101.0で0.5ポイント上昇)
・(参考)大学教員:8,764千円(同97.1で0.4ポイント下落)
・医療職員(病院看護師)の対国家公務員指数は100 を超えているが、これは国家公務員と比較し最終学歴が大学卒の者の割合が高いことや、職員構成が異なること等が原因であると考えられる。
教職員の給与水準は御校と比べていかがでしょうか。
御校の給与制度を考える際のひとつの参考にしていただける統計でしょう。
4.人件費の状況
・給与、報酬等支給総額:前年度比8,367,645千円・1.0%増
・退職手当支給額:同944,000千円・1.3%減
・非常勤役職員等給与:同15,729,605千円・4.0%増
・福利厚生費:同9,606,906千円・5.7%増
・最広義人件費:同32,799,280千円・2.2%増
人件費総額としては、非常勤への支給額の増加率が大きくなっています。
一方で退職金は減っています。
勝手な個人的感想ですが、これが人件費に関する近時のトレンドだと感じています。
限られた原資をどのように配分するか、いかに有効かつ納得度を高めつつ人件費配分を行うか、学校経営にあたっては十分にご検討いただければと思います。
(文責:吉田)