今年のノーベル賞を受賞された坂口先生と北川先生の、
対談の際の記事をご紹介します。
掲載から少し時間が経ってはいますが、
とても大切な内容が書かれていると感じました。日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)

2025年のノーベル賞の受賞が決まった大阪大学の坂口志文特任教授と京都大学の北川進特別教授は(11月)10日、共同で記者会見を開いた。受賞決定後、初めて対談した。両氏とも「文系学問への関心は重要だ」と語り、哲学や文学、芸術などに幅広く触れて、自身の科学研究を深められたとの見解を示した。
まずは北川先生のご発言から。
ノーベル化学賞を受賞した北川先生は、学生時代に荘子の本を読み
「無用の用」という言葉に触れたそうで、
この言葉が創造的な研究につながる考え方だと評価されているそうです。
「無用の用」という言葉について、コトバンクに掲載されている
「故事成語を知る辞典」の解説にはこう書かれています。
一見、役に立たないと思われるものが、実は非常に大切な役割を果たすこと。
[由来] 「荘子―人間世」に出て来ることばから。「人は皆、有用の用を知れども、無用の用を知る莫なし(だれでも、役に立つものが役に立つことは知っているが、役に立たないものが役に立つことは知らない)」とあります。「荘子」の思想のキーワードの一つで、その具体例として、たとえば「荘子―外物」では、歩いて行くとき、足が踏んでいるところ以外の地面は「無用」だが、その部分がすべて深い穴になっていたら歩くことはできない、という例を挙げています。
北川先生はご自身の経験を踏まえ、
「大学や高校で哲学や文学などに触れる機会を与えてほしい」
と呼びかけられたそうです。
無用の用、という言葉自体はご存知の方も多いと思いますが、
タイパ全盛時代において、改めて大切にしたい言葉だと
今回の北川先生の言葉を聞いて感じさせられました。
またノーベル生理学・医学賞を受賞された坂口先生は、
科学の面白さについて
「自分の発見に(他の研究との)共通項が見えた時にわくわくする」
とおっしゃっていて、芸術に似ている、とお考えだそうです。
「サイエンスがより豊かになるために文科系の学問は重要だ」
「広く興味をもって勉強する時期が年齢に関わらず必要だ」
と説いてもおられます。
北川氏はこれまでに近畿大学理工学部や東京都立大学理学部など、公立と私立の大学にも在籍した。様々な大学で研究した経験について、「組織や人の動かし方、共同研究の仕方などを学び、非常にプラスになった」と話す。若い人に向けて「できるだけ違う分野に入っていくことによって、将来的に大成するんじゃないか」と提言した。
坂口氏は京大出身で、かつて京大で研究をしていた。その後、阪大の免疫学フロンティア研究センターに移った。
京大から阪大に移り、「それまでの知識を人の病気の治療・予防にどこまで使えるか、テクノロジーの開発をやろうと思った」と述べ、所属が変わって研究の方針も変化したとの認識を示した。
幅広い学びや経験が、人としての裾野の広さを作っていく。
さて、貴校園では裾野を広げる学びが展開されているでしょうか。
受験に必要ないから、あるいは進路には直接関係がないから、
という理由で、学びの機会をなくすことは実はとてももったいないことです。
豊かな学びが常にある、という学校を目指してまいりましょう。
(文責:吉田)