昨日に続いて、「社会とのつながり」という意味で
興味深い記事に出会いました。日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
大学研究者が大学に在籍しつつ、企業社員としても働く「クロスアポイントメント制度」が注目されている。大学ならではの長期的な視野を生かして企業の研究開発に取り組み、著名な国際学会で企業の存在感を高めることにつながる事例も出てきた。知を共有する新たな人事制度が二足のわらじを履く研究者の活動を後押しし、産学連携を深化させている。
パナソニックのデジタル・AI技術センター客員総括主幹技師でもある
谷口忠大さんです。
谷口さんは2017年にパナソニックに入社。
下の図に示しているクロスアポイントメント制度の第1号事例だったそうです。
上の図中の表で言えば、クロスアポイントメント制度というのは、
兼業と共同研究の間くらいの位置にあたるのでしょうか。
それぞれの差異を実際の行動にあてはめた時の具体的なちがいは
少々分かりにくいところもありますが、
形式はどうあれ、学業や研究と産業の重なりの部分に
人材が配置されていることによって、
双方の組織のメリットがあることは十分理解できます。
一方で、働く側の負荷が大きくなるのではないか、
という点が気になります。
谷口さんの業務割合は会社2割、大学8割。3年契約だったが、両組織の評価は高く今春、協定は更新された。ただ「大学勤務よりも収入は増えたが、労働時間も増える。給与が増えないと同制度に対する研究者の評価が下がってしまう」と指摘し、給与面での待遇が同制度の普及のカギになると強調する。
この記事にはもう1人、この制度を活用している方が登場します。
不二製油グループ本社執行役員で未来創造研究所長の中村彰宏さんです。
先ほどの谷口さんは研究者が企業に就職するという順序でしたが、
中村さんはその逆で、企業勤務者が研究者になったというパターンです。
大学生の面倒もみる中村さんには、研究所トップ自らが若者の感性を企業に吹き込む役割も期待されている。トレンドに敏感なメーカーにとって新たな価値創造にもつながりそうだ。
(中略)
すでに茨城大学との間で連携講座をつくろうと動いている。中村さんは「企業と大学を行き来できる立場を生かし、将来の人材を育てたい」と話す。様々な形で社会に貢献したいという個人の熱意が働き方改革につながっている。
研究と社会をつなぐことは以前から取組がなされていると思いますが、
小中高の学びと社会をつなぐ、そしてそこに具体的な人材が存在する、
ということについてはまだまだ発展途上だと感じます。
企業に知の刺激が与えられるのと同じように、
教育の場に社会の刺激が与えられることで
学校はよりいっそう活性化するのではないでしょうか。
(文責:吉田)