私学の皆様に向けたブログでなぜアメリカのIT改革の話題を?
と思われた方もいらっしゃることでしょう。
両者をつなぐキーワードは「労働組合」です。
日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
米IT(情報技術)企業の働き手が集団で行動し、経営陣に要求をぶつける動きに火が付いている。集団行動と縁が薄かったテック企業の従業員も格差の拡大を受けて動き始めた。ただ以前の労働運動のように賃金交渉ばかりに重点を置くわけではない。富の分配のあり方などを巡ってIT企業に対する世間の視線が厳しくなるなか、経営陣の姿勢を問う動きが活発だ。
上記のような動きがあることを皆様はご存知でしたでしょうか。
アメリカにおけるIT産業の集団行動は2011~15年には計35件しかなかったのが、
2016~20年は計305件に急増。2020年だけで127件あったとのことです。
このような動きと連動しているのでしょう、
労働組合の組織率もずっと縮小傾向が続いていたのがここへきて変化し、
2020年の米国の組織率は10.8%と3年ぶりに上昇、
伸び幅は過去40年で最高になったそうです。
そしてこの労組組織率の上昇はアメリカだけの現象ではなく、
イギリスでも見られているようで、2018年以降、
3年連続で組織率が上昇しているとのこと。
そして日本でも2020年に労組の組織率が17.1%と11年ぶりに上昇。
主要流通・サービス業などの労組でつくるUAゼンセンは、
5年で非正規の組合員が2~3割増えたそうです。
上記3か国の状況は下の図からも見て取れますね。
さて貴校園には労働組合はおありでしょうか。
そしてその活動は活発でしょうか。
活動の中身について、経営サイドは十分に把握されていますでしょうか。
賞与支給時に労使交渉が行われる、といったことは
多くの校園でなされているかもしれませんが、
労働組合は本来、専任常勤教職員のためだけのものではなく、
各校園で働くすべての方々の権利保護、
ひいては各校園そのものがよりよく発展するために存在するもの、
と言えるはずです。
労働組合が本来の意味で活性化すれば、
それは各校園にとってひとつの強みにすらなり得るのではないか、とも思います。
労使ともに、より良い学校経営、そしてより良い社会の実現に向け、
目指すべきところを再確認したいところです。
参考までに、今回の記事に書かれていた労組と経営者のあり方を引用し、
本日の記事を閉じたいと思います。
米国をみると賃上げ交渉の運動だけがけん引しているわけではない。16~20年の集団行動305件を争点で分類すると、「労働条件・環境(延べ125件)」や「給与・手当て(同124件)」だけでなく、「倫理」(89件)「差別」(37件)といった内容が大幅に増えている。
(中略)
自らの待遇改善を求めるばかりでなく、社会的な問題に向き合う姿勢を打ち出さなければ企業の持続可能性も脅かされる。企業経営者にとっては内部から噴き出す危機感を変革の推進力として生かしていけるかが課題になる。
(文責:吉田)