寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

経済界に望む

個人的に、非常に重要な指摘だと感じました。

小学校教員である筆者がしたためた、とても大切な視点。

ぜひとも共有させてください。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

 

ソサエティー5.0で活躍できる人材」「自らを育てる能力を持った人材」。経済団体が近年出した学校教育への提言を読むと「人材」という言葉によく出合う。

提言の中には教育格差の是正など説得力のある主張が少なくない。一方で違和感も覚える。その最大のものは学校教育を企業に必要な「人材」育成の場と捉えているように感じられる点だ。

 

私自身、これまであまり意識せずに使ってきた「人材」という言葉。

筆者によれば、人材とは「才能があり役に立つ人」を指し、

国家・社会の形成者として必要な資質を養うことが義務教育の役割であり、

子どもたちが経済的に自立できるようにすることが学校の使命である、

と続けています。

 

しかしながら、それは教育の一側面でしかありません。

 

教育基本法は、教育の目的を「人格の完成」に置いています。

人格形成という大目標の達成を支えるのが資質・能力であり、

義務教育に携わる教員が、目の前の子どもを

役に立つか立たないかで評価することは絶対にない、

と筆者は力強く言い切っておられます。

なるほど、その通りですよね。

 

そしてもうひとつ、経済団体の提言に対して、

自らが学校教育にどう貢献するかを述べていないことに違和感がある、

ともおっしゃっています。これもまさにその通り。

人格形成のために経済界が協力できることはたくさんあるはずです。

 

家庭の教育機能が低下し、学校がそれを補完している実態を理解してほしい。あいさつをする、人を傷つけない、自らに非がある場合は誤りを認め謝る、といった本来家庭で指導すべきことに、いまの学校はかなりの時間をとられている。

 

核家族という環境のもとで、仕事に時間を奪われるあまり、

子育てがおろそかになる、あるいは学校に任せきりになる家庭が

増えているという感覚は、どの学校でもお持ちのことでしょう。

幼少期からの「お預かり」は、幼稚園でも小学校でも大人気です。

それだけ子どもたちは家庭での教育の機会が失われ、

学校の役割が増大することになってしまいます。

ここに産業界の協力や支援があれば、子どもたちはもう少し

家庭での教育を受けられる機会が増えるはず。

本当にその通りだと感じます。

 

各校園の働きかけだけで社会構造を変えることは難しいと思います。

が、社会に卒業生を送り込む起点が学校であるなら、

家庭そのもの、そして家庭での教育を大切にする人物を育て、

大人になった時に自然とそのことを意識できるようになれば

素敵だな、と思いました。 

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp