寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

教員勤務実態調査(平成28年度)

11月6日(月)に行われた「中央教育審議会初等中等教育分科会 学校における働き方改革特別部会(第7回)」において、「筑波大学メンタルヘルス研究チーム」による、教員のストレス状況に関する研究結果発表がありました。

 

ここでは4つの評価項目を軸に、

職種別、年齢別、性別などに分けて

教員のストレスチェックの結果が公表されました。

 

ストレスチェックの評価項目は以下の4項目です。

 

(6項目、5件法、5点以上で高ストレス状態を示唆)

  • BSJS 仕事の負荷を評価する指標

(20項目、4件法)

  • SOC 人生に対する首尾一貫した感覚を評価する指標

(13項目、7件法)

  • AIS 不眠を評価する指標
(8項目、4件法、6点以上で不眠を示唆)

 

実際に使われているストレスチェック表と同様のものが以下のリンク先に挙がっています。よろしければご覧ください。

K6ストレステスト

 

そして、調査結果のまとめとして

 

  • 長時間労働勤務の有無でメンタルヘルスを比較した場合、SOC調査60点未満では、長時間勤務により悪化し、SOC調査60点以上では、長時間勤務の影響を受けにくい
  • 部活動においては担当する部活動実施日数とメンタルヘルスの相関関係は見受けられず、部活動に必要な技能が備えられていない場合にメンタルヘルス不良となる傾向が見受けられる

 

と報告されました。

 

年齢が若いほどメンタルヘルスの問題が顕著になるのは、

一般的には業務への慣れが一番の要因のようで、

30代、40代となるにつれ、経験を積むとストレス耐性がついてくるようです。

また、男性より女性のメンタルヘルス状態が不良となる原因としては

育児などの要因も推察されるとのことです。

 

また、部活動に着目すると、専門性が重要であるとの報告がされ、

専門性を発揮できる場面ではストレスは感じにくく、

発揮できない場面で強いストレスを受ける傾向が考えられるとのことです。 

 

なるほど。これはものすごく同意できます。

 

私も、苦手な英語で、

 

「大阪に行くにはどうすればいいですか?」

と乗り換えしようとしていた鶴橋の駅で聞かれた際に、

 

大阪駅?それとも大阪なんば?大阪上本町?、てか鶴橋もそもそも大阪じゃないの?」

などと考えながらも、その説明が自分では出来ないので

しどろもどろになってしまい、

 

結局、JR大阪駅を案内してしまいました。。。

 

大阪駅で良かったのかな?などと考えつつ、冷や汗が止まらなかった記憶があります。

 

どうでもいい話をしてしまいましたが、 

経験があるだけで次回に生かせますし、不安感は軽減されるように思います。

 

 

苦手な運動系部活より、文化系部活で力を発揮される先生方もいらっしゃるでしょうし、教材研究、研修などで力を発揮される先生方も多いと思います。

人それぞれ、得意分野は違うものですしね。

 

学校や幼稚園で先生方は多くの時間を園児、生徒と過ごすことになります。

園児、生徒は先生方とのコミュニケーションを通じ、

働き方も垣間見ているように思います。

若者が安心して働き、子育てできる社会を構築するためにも、

教育機関の先生方ほど園児、児童、生徒のお手本となるよう、

働き方改革を前向きに推進して欲しいと思います。

 

(文責:長森)

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部活動に関する校長と教員の悩み

スポーツ庁は11月17日に実施された第4回「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議」の配布資料を公開しました。

 

運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議(第4回) 配付資料:スポーツ庁

 

公開された資料の中に、平成29年度「運動部活動等に関する実態調査」の集計結果がありますので、本日はその一部をご紹介いたします。

 

まずは調査の概要です。

1.調査の目的

生徒の健全な成長の促進や教員の業務負担軽減の観点から、運動部活動の運営の適正化
に向けて検討を行うため、運動部活動等の活動実態や教員、生徒、保護者等の意識を把握する。


2 調査期間
平成29年7月3日(月)~20日(木)


3 調査対象校
スポーツ庁が算出した以下の調査対象校数について、各都道府県において無作為抽出。
公立中学校……1県(都道府)当たり9校(小規模校4、中規模校4、大規模校1)
公立高等学校…1県(都道府)当たり6校(普通高校5、専門高校1)
私立学校…中学校・高等学校それぞれ、公立・私立の設置割合及び都道府県別の設置割合に基づき各県の調査対象校数を算出。

 

昨今、何かと話題になることが多い部活動ですが、やはり各学校では様々な悩みを抱えておられるようです。

 

まずは私立学校の校長の部活動に関する主な悩みは次のような結果になっています。

 

・顧問教員の負担軽減 ・・・ 中:62.5% 高:76.0%

・顧問の不足     ・・・ 中:59.4% 高:50.0%

 

やはり多くの校長が顧問教員の負担軽減を悩みとして挙げています。また、半数程度の校長が顧問の不足も悩みとして挙げていることから、これまでの部活動の在り方を前提とした考え方では抜本的な解消が困難であることを物語っているようにも思います。

 

一方、運動部の主担当顧問教員の部活動に関する主な悩みは次のような結果になっています。

 

・校務が忙しくて思うように指導できない ・・・ 中:59.7% 高:47.3%

・校務と部活動の両立に限界を感じる   ・・・ 中:45.6% 高:38.7%

・自身の心身の疲労、休息不足      ・・・ 中:38.9% 高:36.1%     

・自身の指導力不足           ・・・ 中:39.6% 高:32.6%

 

こちらも概ね予想通りの結果といったところかと思いますが、4割程度の顧問教員が「校務と部活動の両立に限界を感じる」と回答しているのが気になります。

学校に限らず、働く上で「限界を感じる」というのはどこかに無理が生じているということであり、その状況が黙認されてしまうことにより、学校の場合では授業の質の低下や教員の過労を招きかねません。

 

スポーツ庁がどのようなガイドラインを策定するかは注目ですが、各学校においても部活動の在り方についてはゼロベースで考え直す時期にきているのではないかと思います。

 

(文責:木村)

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学校における施設の重要性

毎年のように台風被害が発生する日本列島。

今年は弊社が関わるお客様にも被害が多く出てしまいました。

学校における施設の重要性は今さら言うまでもありません。

特に私学においては、その施設をどのように整備していくかが

教育活動と学校経営の両面から非常に大きな課題になることが多いですよね。

 

そんな折、こんな情報を見つけました。

文部科学省HPより。

 

国立大学法人等施設の長寿命化に向けたライフサイクルの最適化に関する検討会について:文部科学省

 

この記事には、検討会の趣旨として以下の通り記載されています。

 国立大学法人等は,社会変革のエンジンとして知の創出機能を最大化するため,学問の進展やイノベーション創出などに最大限貢献できる組織へ自ら転換するとともに,経営的視点で大学運営を行い経営力を強化することが求められている。

 一方,国立大学法人等施設は,既存施設を有効活用しながら施設の長寿命化によりトータルコストの縮減等が求められているが,老朽化が進行し安全面,機能面,経営面で大きな課題を抱えている。

 このことから,適切に施設の長寿命化を図ることにより,教育研究機能の向上と経営基盤の強化を図るため,施設の長寿命化に向けたライフサイクルの基本的な考え方や具体的な方策に関する検討を行う。

上記記載中、「国立大学法人」と書かれている箇所を

私立学校法人」と読み替えてみてください。

おそらく、すんなり読めることに気が付かれることでしょう。

 

学校である以上、教育機関として、

質の高い教育の実践が求められることは言うまでもありません。

一方で、経営面からは、限られた経営資源の中で、

望ましい教育環境を保持していくこともまた強く求められます。

 

例えば学校の校舎は、1棟で億単位の支出を伴う、

大規模な投資案件です。

ですから、何十年に一度しか完全リニューアルは難しく、

そのための資金留保を着実に進めていく必要があります。

一方で、校舎が老朽化、陳腐化すると、安全面が脅かされるという

非常に大きな問題を引き起こすと同時に、

自校が実践しようとする教育活動にも支障をきたす、

という危険が付きまといます。

 

学校には通常、ある程度の現預金が手元に存在しています。

これは、授業料等が毎年・毎期、入ってくるからです。

一方で、大規模支出は数年から数十年に一度しかやってきません。

ですから、ほとんどの年度においては

 資金収入>資金支出

を達成することはそれほど難しくありません。

つまり、目の前の資金繰りに窮するというケースは

学校の場合、それほど多くはないわけです。

 

だからこそ、投資のためのお金をストックし続けていく、

ということは相当程度意識しておかないといけません。

ある時に施設設備を更新しようと思ったら、そんなお金はない、

という話になりかねないのです。

このために投資計画と資金計画が必要になる、

というわけですね。

 

時に自然災害によって思わぬ支出が必要になる…それが学校です。

災害列島であるこの国に存在する私学においては、

ある程度の事態には自力で対応できることが求められます。

施設の耐用年数を延ばすことへの取組、

そしてその維持と更新が適切に進んでいくということ。

これらが実現できる学校法人さんが増えることを願っております。

 

(文責:吉田)

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東京都公立学校教員勤務実態調査より

東京都教育委員会が都内公立学校教員の勤務実態調査を行い、このほど結果の速報値を公表いたしました。

 

東京都公立学校教員勤務実態調査の集計(速報値)|東京都

 

調査結果の主なポイントは以下のとおりです。

  • 教諭(主幹教諭・指導教諭・主任教諭を含む。)の平日1日当たりの在校時間は、中学校が最も長く、続く小学校においても、11時間を超えている。副校長については、いずれの校種においても、12時間を超えている。
  • 教諭(主幹教諭・指導教諭・主任教諭を含む。)の1週間当たりの在校時間は、週60時間を超えている者が、小学校37.4%、中学校68.2%、高等学校で31.9%、特別支援学校43.5%である。
  • 副校長の1週間当たりの在校時間は、週60時間を超えている者が、小学校84.6%、中学校78.6%、高等学校58.3%、特別支援学校86.7%である。

 

この調査で私が注目したのは、結果ではなく、調査の目的と内容です。

 

まず、この調査の目的は以下のように記載されています。

「学校における働き方改革プラン(仮称)」の策定に当たり、都内公立学校教員の勤務実態を正確に把握するため

そして、調査内容は以下のとおりです。

  • 部活動、校務運営、勤務実態及び仕事に対する意識等についてアンケートを実施
  • 月曜日から日曜日まで連続した7日間の業務を記録

 

文部科学省の2016年度の教員勤務実態調査(速報値)によると、ICTやタイムカードで教員の労働時間を管理している学校は全体の2割強しかないという結果でした。

教員の労働時間管理ができていないということは、それぞれの教員がどの校務にどれだけの時間を費やしたかを把握できない状況にあるということになります。

これでは、具体的に何をどのように改善すれば長時間労働が是正されるのかが全く明確になりません。

 

この調査結果をもとに、今後どのような取り組みが行われるかはまだわかりませんが、まずは現状をしっかりと把握することはとても意義のあることだと思います。

 

長時間労働でお悩みの場合であれば、課題をあぶり出すためにも、まずは現状把握から始めてみてはいかがでしょうか。

 

(文責:木村)

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「教職員の定数改善を」 学校働き方改革で全国集会

「子どもたちの豊かな育ちと学びを支援する教育関係団体連絡会」は

11月13日、東京都千代田区参議院会館で

学校における働き方改革へ向けた全国集会を開催し、

教職員の定数改善を求める宣言を採択しました。

 

www.kyobun.co.jp

 

中でも強くアピールされたこととして

一、子供たち一人一人に向き合ったきめ細かな教育の実現及び新学習指導要領の円滑な実施に向けた対応として、小学校における専科指導の充実や中学校における生徒指導体制の強化など計画的な教職員定数の改善を進めるとともに、平成三十年度予算においては、これらに必要な人的措置・財政措置を確実に行うこと。

一、教育現場が抱える様々な課題への対応や教員の負担軽減による教育の質の向上を図るため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、教員の事務作業を補助するスタッフ、部活動指導員の配置促進等を進めること。また、東日本大震災などの自然災害により被災した児童生徒のための教職員やスクールカウンセラーによる支援を今後も継続的に行うこと。

一、意欲と情熱をもって教育に取り組む優れた教職員を確保するため、人材確保法の趣旨をふまえた措置とともに、教育の機会均等とその水準の維持向上を図るため、その根幹となる義務教育費国庫負担制度を堅持すること。また、地方財政を圧迫し、人材確保に支障を生じたり、地域間格差が生じたりすることのないよう、義務教育費国庫負担金及び地方交付税の財源確保を行うこと。

 一、教育投資は未来の日本への先行投資であり、国の最重要事項であることから、右に掲げる諸方策の実現にあたっては、既存の教育予算の削減や付け替え等によるのではなく、計画的・安定的な財源確保を行うこと。

 

 という宣言文が読み上げられました。

 

近年の教職員の方々の業務は、ますます多様化、複雑化、困難化しており、

四月に公表された勤務実態調査の結果においても

教職員の長時間労働は看過できない状態になっていることが明らかになりました。

こうした状況に対処するために、教職員の指導・運営体制の充実を強く推進し、

学校の運営体制見直しが強く願われています。

 

実際に、業務改善が進んだ例として、

東京都の施策の一つに学校経営支援組織(経営支援部)の設置があります。

こちらは、東京都教育委員会の小中学校の校務改善として報告されています。

 

校務改善ニュース第21号 

 

この中では、多様化する職務の役割分担を明確化し、

他の分掌組織を横断的に調整する目的で設置が推進されており、

経営専任主任となる場合には希望する学校に対して、

時数軽減の処置を行っているとのことです。

 

経営的観点からの施策の一つで、これからが期待される取り組みですが

チーム力を高め、校務改善が期待される施策であると感じます。

 

一朝一夕で制度改革は進みませんが、失敗を恐れず、

何事にもチャレンジしていくことが重要であると感じます。

 

(文責:長森)

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内定辞退、6割超

新卒者の就職内定率が上がっている一方で、 

内定辞退の割合も高くなっています。

新聞各紙で先日報道されたところですが、

ここでは産経新聞の記事を引用させていただきます。

 

www.sankei.com

 

就職活動で企業の内定を得た平成30年春卒業予定の大学生のうち、内定を辞退した割合を示す「内定辞退率」が10月時点で64・6%となったことが13日、就職情報サイトを運営するリクルートキャリアの調査で分かった。同社が集計したこの6年間で最も高い。人手不足を背景に学生は売り手市場で就職先の選択肢が拡大する一方、企業は特に中小の新卒確保が一段と厳しくなっている。

 

複数の内定を得るなどして、企業が出した内定を辞退するケースは

かなり多くなっているようですね。

これは一般企業全体を含めた統計のようですが、

学校や幼稚園もまた、相当の人材難に直面していることは

おそらく皆さまが一番肌で感じておられるところでしょう。

 

このニュースが出回ったちょうどその日、

ある学校法人の職員さんからこんなメールをいただきました。

(一部改編しております)

 

 ご指摘の通り、教員採用市場は相当に苦しい状況です。

 それは、量もそうですし、質においても深刻です。

 新卒については、資質として一線級の学生が教員を目指すことは少ない

 というのが現実です。

 

そう思いたくはないけれど…という言葉が隠されているような、

悲痛なお気持ちが表れているメールでした。

 

教員として活躍できる資質を持つ新卒が他業界に流れていく、

それは本当に切ないことです。

学校教育という、社会にとって欠くべからざる事業に従事しようとする

若者が決して多くないのには、やはりいくらか原因があるのでしょう。

 

先日来、このブログでは働き方をめぐってかなり多くの記事を掲載してきています。

そして、経営環境についても時折記事を掲載させていただいております。

教育行政について採り上げることもあります。

そういったことのそれぞれが、業界を志す若手を遠ざけている、

のかもしれません。

これは構造的に改善、改革すべきことでしょう。

 

そんな中で、私学が単独でできる人材採用の工夫は

決して大きくないかもしれません。

が、努力しなくていいわけでは決してない、と私は思います。

教育実習に訪れた力のある大学生が

「この学校で教えたい」

と思える環境を、いかにして提供し、感じてもらうのか。

それだけでも教員獲得の確率を相当アップさせるのではないでしょうか。

 

御校で働きたい、と思ってくれる学生が現れることを、

切に願っております。

 

(文責:吉田)

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1ヵ月平均1.5冊

国学図書館協議会(全国SLA)と毎日新聞社が毎年共同で行っている「第63回学校読書調査」の結果が公表されました。

 

resemom.jp

 

この調査の結果によると、高校生が1ヵ月に読む本は平均1.5冊とのことです。

ちなみに、小学生の平均は11.1冊、中学生は4.5冊となっており、成長するに連れて読書の習慣が弱まる傾向にあります。

高校生にもなると、勉強やクラブ活動以外にも交友関係もグッと広がることに加え、アルバイトをする生徒も多くいると思われますので、こんなものなのかなあというのが私の率直な感想です。

 

ただ、気になるのが、1冊も読まない不読者の割合が、前年よりは減少傾向にはあるものの、依然として半数にのぼっていることです。

始業時間前に読書の時間を設けたり、図書室の充実を図ったり、学校現場では様々な取り組みが行われているかと思いますが、それらを考えると寂しい結果になっています。

読書に対してどこか「やらされ感」を抱いている不読者も多くいるのかもしれませんね。

 

読書の効果は改めて言うまでもありませんが、高校生のような多感な時期に読書を全くしないことは本当にもったいないことだと思います。

本のジャンルは何でも構わないので、高校生にこそ読書をもっと身近に感じてもらい、勉強だけでは手に入れることのできない知識や教養を深めて様々なことを感じ取ってほしいと思います。

 

(文責:木村)

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