先日の新聞各紙にも採り上げられたこの話題を本日はお届けしましょう。
文部科学省HPより。
あれ?そんなニュースあったっけ?
と思われる方もいらっしゃると思いますが、新聞各紙ではこんなタイトルで、その内容の一部がクローズアップされていました。
部活、休養日などガイドライン 17年度末までに文科省 :日本経済新聞
これは日本経済新聞の例ですが、概ねこの「部活制限」に話題が集中していたように感じます。
ただ、実際のところは部活以外にも学校現場の活動についての見直しを進める内容が記載されていますので、内容はしっかり押さえておきたいところです。
ひとつかみするのには概要版が適していますので、スクリーンショットでご覧いただきましょう。
ご覧いただいてお分かりになる通り、大項目として4つの指摘がなされています。
これらは公立校を念頭に置いた記載になっていますが、その中で私学において特に留意すべきは1~3の3つ。
すべてひとことでいうなら「業務改善と役割分担」「部活制限」「勤務時間の削減」といったところでしょうか。
以下、それぞれについて「骨子」からさらにポイントを引用してみます。
まずは「業務改善と役割分担」について。
■教員の従来の業務を不断に見直す
○ 教員の担うべき業務に専念でき、教員が子供と向き合う時間を確保するため、教員が携わってきた従来の業務を不断に見直し、必要な体制を強化。
・目標を明確にした業務見直しに関する実証研究の実施
・業務改善に実績のある民間企業等のノウハウの積極的な活用
・学校事務職員の職務内容を見直し法律上明確化するとともに、その配置を充実
・教員の事務作業や連絡調整等の業務を補助する「業務アシスタント」(仮称)の検討
・地域学校協働本部の整備や地域コーディネーターの配置の促進 等■学校給食費などの学校徴収金会計業務の負担から教員を解放する
(略)
■統合型校務支援システム等を整備し、校務を効率化・高度化する
○ 校務の情報化は、業務を効率化し、学校運営の改善を行う上で有効。災害時の情報基盤の整備の必要性の観点からも、統合型校務支援システム(成績処理、出欠管理等の教務系と、健康診断表、保健室管理等の学籍系、学校事務系などを統合して機能を有しているシステム)の整備を促進。
・統合型校務支援システムの導入等による効果の実証的研究の実施
・共同調達・共同運用やクラウド化の推進による導入・運用コスト削減等に関する支援
・システムに精通した人材の配置・体制の確立に関する支援の検討
・リモートアクセス等についての実証研究の実施、ガイドラインの検討 等
内容を読むと、教務と事務の役割分担を大幅に見直し、事務に属するものを教員の所掌から外していくこと、さらにシステム導入による効率化をはかることが主な施策になりそうですね。
次は「部活制限」です。
■休養日の明確な設定等を通じ、部活動の運営の適正化を推進する
○ 平成9年の調査研究報告書で運動部における休養日等の設定例を示すも、実態は不十分な状況を踏まえ、各学校において、校長のリーダーシップ及び教育委員会の支援の下で、しっかりと休養日を設ける等の取組を徹底することが不可欠。
・毎年度の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」を活用し、休養日の設定を徹底
・運動部活動に関する総合的な実態調査の実施
・スポーツ医科学の観点や学校生活等への影響を考慮した、練習時間や休養日の設定に関する調査研究を実施
・上記調査等の結果を踏まえた総合的なガイドラインの策定
・日本中学校体育連盟に対する大会運営等の見直しの要請 等■部活動指導員の配置など部活動を支える環境整備を推進する
○ 教員の負担の軽減を図りつつ、部活動の指導を充実していくため、地域の幅広い協力を得ていくことが重要であり、部活動を支える環境整備を推進。
・部活動の指導や単独での引率等を行うことができる部活動指導員(仮称)の配置促進
・部活動指導員(仮称)の法令上明確化、ガイドラインに研修の実施等の配慮を明確化
・地域の指導者を発掘し学校につなぐ地域コーディネーターの配置促進
こちらも前項同様、役割分担を進めることを含めつつ、活動日そのものに制限を設ける内容となっています。
私学においても部活動と教員の勤怠管理について課題を抱える学校も少なくありませんので、その動向に注目が集まるでしょう。
最後に「勤務時間の削減」です。
○ ワーク・ライフ・バランスを含むタイムマネジメント等の意識改革を加速し教職員の働き方を不断に見直すとともに、心身ともに健康を維持できる職場づくりを推進。
○ 教職員が本来の労働時間で退校することを理想の姿として目指し、学校、教育委員会、国のパッケージの取組(明確な目標設定と、適切なフォローアップ・改善支援)により、実効性を確保。
○ 「ニッポン一億総活躍プラン」等では、長時間労働を抑制し、働く人々のワーク・ライフ・バランスを実現するため、働き方改革を実行・実現することが柱の一つに。学校現場における長時間労働是正にもしっかりと向き合う必要。
○ 勤務時間管理の適正化を推進するとともに、校長のリーダーシップとマネジメント力の向上、教職員一人一人の意識改革を推進。
・勤務時間管理の適正化の推進
・国における定期的な勤務実態調査の実施の検討
・教職員の意識改革と学校マネジメントの推進
・(独)教員研修センターの管理職等研修の見直し(ワーク・ライフ・バランスを含
むタイムマネジメント等を活用した経営戦略等の学習など)
・校長の勤務環境改善等の取組を人事評価に反映する仕組みの促進
・勤務環境改善に関する優良表彰制度の創設
・メンタルヘルス対策の推進
各自の意識改革、そのためにはマネジメントが重要、という内容になっているように読めますね。
実は昨日、自治体職員さんに向けて「段取力研修」をさせていただきました。
その中でも、残業や時間管理の難しさを口にする受講生さんがたくさんいらっしゃいました。
各自の意識は重要です。が、それに気付かせる、あるいはそれを促進するためにはマネジメントが大変重要です。
組織風土として「短時間で集中してやろう」とするのか、「時間無制限的にやろう」とするのかで時間管理は大きく異なってきます。
学校現場においては他業界以上に残業が問題だと感じます。
ぜひこれを機会に、業務そのものの見直しが進むことを願っています。
(文責:吉田)