昨日に続いて労務関連のニュースですが、今日は賃金です。
日本経済新聞より。
大企業の賃上げ率2.05% 14年、0.16ポイント上昇 :日本経済新聞
この調査は中央労働委員会が実施したもので、対象は資本金5億円以上、労働者1千人以上の大企業380社。そのうち約6割の232社から回答があったとのことです。
結果の概要は以下の通り。
・ベースアップを行った企業の割合:賃金表のある企業のうち44.7%(84社)
・ベースアップの額:1,179円(前年比1,099円上昇)
・賃上げ率:2.05%(前年比0.16ポイント上昇)
・パートなどを除く労働者1人あたりの賃上げ額:6,688円(前年比685円上昇)
・一時金平均額:13年冬=813,700円、14年夏=880,900円
ちなみに、中小企業はどうかな?と探してみると、こんな資料が見つかりました。
中小企業の雇用状況に関する調査・地域の中核を担う中堅・中小企業等における賃上げ等の取組に関する調査の概要を公表します(METI/経済産業省)
今回のニュースに比べるとデータが古いのですが、参考にはなりそうです。
調査対象は中小企業・小規模事業者3万社。うち期日(昨年7月23日)までに提出のあった10,380社を集計した結果が公表されています。
概要は以下の通り。
・正社員の 1 人当たり平均賃金引上げ(定期昇給分を含む)を実施した企業の割合:64.5%(前年度比7.7ポイント上昇)
・ベースアップに相当する賃上げを実施した割合:23.4%
うち従業員数20人以下の企業の場合:12.3%
従業員数100人超の企業の場合:30.2%
→従業員規模が大きくなるほど割合が大きくなっている
・べースアップの引き上げ率:「1%以上~3%未満」54.4%、「5%以上」5.0%
うち従業員数20人以下の企業の場合:3%以上引き上げた企業が 33.1%
従業員数100人超の企業の場合:同11.1%
→従業員規模が小さい企業ほど引き上げ率は大きくなる傾向がある
・賞与・一時金の増額を実施した企業の割合:31.0%
うち従業員数20人以下の企業の場合:17.4%
従業員数100人超の企業の場合:39.2%
→従業員規模が大きくなるほど賞与・一時金の増額を実施した企業の割合が大きくなっている
この結果をご覧になっていかがでしょうか。
私自身は、大企業のみならず中小企業でも賃上げは相当程度実施されているのだな、という感想を持ちました。
ただ、大企業が業績還元の性質を強く持つ一方で、中小企業は人材確保策としての側面が強い、という目的の違いも感じ取れます。
いずれにせよ、世間では少なからず賃上げがなされているケースが存在していることを、学校関係者さんも認識しておく必要があるのではないでしょうか。
参考までに、今回ご紹介した統計のうち後者には、こんな調査結果も掲載されていました。
回答企業において、定期昇給を含む賃金制度を「持っている」のは 49.3%とほぼ半数となっている。
従業員規模別に見ると、20 人以下の企業において賃金制度を「持っている」のは 25.1%となっているが、従業員数が 100 人超の企業においては 71.6%となっており、従業員規模が大きい企業ほど、賃金制度を備えていることが分かる。
このように、中小企業では賃金制度がないのも決して珍しいことではありません。
学校法人においては賃金制度や俸給表は当然のごとく存在しているものと思いますが、教職員数によってはそのようなことにとらわれない発想もあってもいいのかもしれませんね。