寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

埼玉の教員:退職金減額前、100人超退職 今月末、駆け込みで

いろんな意味で驚きのニュースを目にしました。

埼玉県で、退職金の減額が規定された条例の施行直前に、教員の皆さんがこぞって退職するという事態になりそう、

とのニュースです→毎日新聞


ひとつめの驚きは、年度中のこの時期にこのような処遇の不利益変更をすることへの驚きです。


私たち自身も賃金制度の改定や新規構築のお手伝いをさせていただくことも少なくありませんが、

そのときに最も留意することのひとつに

「制度対象者の生活への影響が最小にとどめられるように」

という事柄を挙げることができます。

ところが今回のこのニュースによれば、年度途中に制度変更をねじ込んだ、と言わざるを得ません。

「駆け込み退職」を責める前に、「駆け込み制度変更」を責めるべき、かもしれませんね…


そしてふたつめの驚きは、先生にとって生徒以上に大切なものがあったんだ…という驚きです。


いろんな学校に出向き、お話を聞く中で、「何よりもまずは生徒が大切」というのは、

どの先生にも共通していることだと感じていました。

が、3月の学年終了、あるいは卒業を待たずに退職する教員の方がこんなに多いとは…

ショックを隠しきれません。

別の記事を読むと、愛知や佐賀、徳島でも同様の事態が起きているとのこと。

先生にとって一番大切なものは生徒、という時代は過去のものなのでしょうか。


そしてもうひとつ、こちらは驚きではなく、改めて気付いたこと。それは、

退職金原資の確保が財政を圧迫する事例が顕在化してきている、ということ。


退職金は「既往の労働の対価」とされる部分については原則的に減額することができません。

私学においては、まず現時点における退職金債務の推定を、速やかに実施すべきでしょう。

そして、場合によっては制度見直しも含め、早めの対処が必要ではないでしょうか。

教員の大量退職はご本人はもとより、生徒も学校も、誰も幸せにはしないと思います。

(文責:吉田)