新たな学習指導要領の方針に関し、
日経新聞に記事が掲載されていましたのでご紹介します。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
この記事は、学習指導要領の改訂作業に関わる
文部科学省の武藤久慶・教育課程課長へのインタビューとなっています。
記事自体が上下の2回に分かれているのですが、
今回ご紹介するものは2回目のものです。
まずは、文科省が2024年度に実施した、
小中学生の学力の「経年変化分析調査」で、
ほぼ全ての教科の平均スコアが下がったことに関する
貞広氏の見解が示されています。

解釈はもろもろあろうが、私は重大な警告が含まれていると考える。理由はいくつかあるが、とりわけ家庭の経済力を示す社会経済的背景(SES)が低い子どものスコア低下が著しいことだ。
(中略)
解答状況をみると、算数・数学では分数や比例の問題など、計算はできても基本的な概念が定着していない子どもが相当数いる。次期指導要領では概念を定着させる仕掛けが重要になる。改訂作業中に警告をもらえたことは幸運だった。
最近はSESと学力の関係が指摘されることが増えている気がします。
この点、私学であればSESが高い、と考えるのが常識的かもしれませんが、
例えば各種無償化施策等により、必ずしもそうではない、
というケースも増えており、私学においても無視できない要素だろう、
とも感じます。
この点に関し、貞広氏はこうもおっしゃっています。
全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)からは「主体的・対話的で深い学び」に取り組んだ子どもはSESが低くても正答率が高いことがわかっている。教室できちんと伴走されている子は、家庭環境によらず学力がついている。デジタル環境を能動的に使いこなすことも必要だ。
さらに学習のスピードと評価に関してもコメントされています。
貞広 1学期に分数を学んですぐに習得する子どももいれば、半年後、1年後になって分かる子どももいる。今は1学期の学習内容は1学期末に評価して、その後の伸びは評定されない。特別部会では「評定は学年に1回でもいいのではないか」という指摘が出た。
(中略)
論点整理案には各学校が柔軟にカリキュラムを編成できる「調整授業時数制度」を入れた。評定の見直しと組み合わせれば、先生が専門性を発揮しやすくなる。
そして、未来に向けて鍵を握るとも言えそうな情報教育についても
いくつかのやり取りが掲載されていました。

武藤 指導要領に書き込みすぎると、すぐにその内容は陳腐化する。骨格部分だけを書き、細かい内容は指導要領の解説文書に盛り込み、タイムリーに改訂することを検討している。国が提供する動画教材も技術の進化に合わせて見直していきたい。
ここでも柔軟性、融通性といったことが重視されているようです。
急速な社会変化への対応を考えれば、指導要領に書き込みすぎない、
というスタンスは評価できると思いますし、
ある程度現場に任せる、という考え方はあるべきだと思う一方で、
だからこそ、教員側の学びや準備はよりいっそう重要になる、
とも感じます。
そして貞広氏からはこんな発言もありました。
変化が激しい社会の中では個人主義化がさらに進み、「どのような教育に投資するのが正解か」という家庭単位の教育戦略により重きが置かれるようになるかもしれない。そんな社会でも、あるいはそんな社会だからこそ、論点整理案で示した「民主主義社会の担い手を育てる」ことの重要性は不易だ。
社会が変化するからこそ、自ら学び、考え、答えを出していくことが
より強く求められていく、ということを深く認識しておかねばなりません。
そして本来、教員の役割はそういった点で大きくなる、
と考える必要があるように思います。
保護者対応や安全管理に奔走せざるを得ない現状を脱し、
本当に時間を用いねばならないところに時間を使えるよう、
働き方改革はさらに進展させねばならないと感じました。
(文責:吉田)