以前に一度採り上げた、日経新聞の連載記事「日本型雇用、改革の行方」。
今回は賃上げ原資の配分についてです。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
景気最優先で政策運営にあたる安倍政権のもと、一時は「論外」ともされた賃上げが復活しました。労使間でその必要性が共有されたともいえますが、賃上げ原資の配分方法には大きな隔たりがあります。具体的には(1)「月例給与」か「賞与・一時金」か(2)「底上げ」か「メリハリ」か――という論点があります。
この点、貴法人ではいかがでしょうか。
記事によれば、労働組合は「月例給与」「底上げ」を望み、
経営サイドは「賞与・一時金」「メリハリ」を望む、
と書かれています。
しかし、私の感覚は少し異なります。
近年特に感じることとして、学校法人の場合、
労使ともに給与制度を変えたいと思う方が増えているのではないか、と。
そして、確かに以前は経営サイドの想いであったであろう、
「一時金重視」「メリハリ」型の給与制度が、
教職員サイドからも求められつつあるのではないか、と。
一方で、経営サイドはこのことに十分気付いていない、
あるいは気付いているけれど一部の反対意見に重きを置きすぎて
制度を変えることに踏ん切りがつかない、というケースも
少なくないように感じています。
そう考えると、各法人、あるいは各校園で今一度、
あるべき給与制度について労使ともに考えてみることが大事なのではないでしょうか。
以前に比べて一致できる点が増えているかもしれません。
ただし、ニーズだけで給与制度を決定するのは最善とは言えません。
月例給を変えることにも一時金を変えることにも、
メリットとデメリットが混在しています。
本日のブログの最後に、記事の筆者が述べておられる
着眼点について触れておきたいと思います。
「企業」が主語になっていますが、学校でも同じことが言えるでしょう。
ここで考えるべき点は、日本企業の競争力との関係です。市場構造・技術構造の変化を踏まえれば、日本企業は外部の経営資源を積極的に取り入れることが不可欠で、「革新型イノベーション」の担い手である優秀な人材を厚遇することは重要です。一方、多くの企業の強みは「改善型イノベーション」に基づく製品・サービスの品質の高さにあります。これは、多くの労働者が持つ高い職務規律や協力し合う職場風土が育む、「現場力」に支えられています。現場力を維持・向上させるには、労働者の士気を高め、その貢献に広く報いることが必要です。
(文責:吉田)