寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

『はだしのゲン』で思ったこと

松江市教育委員会が漫画『はだしのゲン』を閲覧制限、

その後撤回したニュースが、

先週まで毎日のように報道されていました。

私は、先週末の数日で初めて一連の経緯をじっくりと見て、

詳細を知りました。

そして思ったことを書き綴ります。



毎年8月が近づくと、

第二次世界大戦に関する報道番組などが目につきます。

社会人になる前は、

8月6日の広島、8月9日の長崎の慰霊祭をテレビで見たり、

夏の高校野球テレビ中継を見ていて、

8月15日午後12時に、

試合を中断しての黙とうを一緒にしたこともありました。


私が『はだしのゲン』に触れたのは、漫画ではなく実写映画でした。

確か小学四年生~六年生で毎年1本ずつ、

小学校の体育館で実写映画の上映会がありました。

覚えていないだけかもしれませんが、漫画で読んだ記憶はありません。


戦争に関する映画の上映会は中学生の時にもあり、

ベトナム戦争を描いた『プラトーン』を見ました。

小学六年生の修学旅行は広島・宮島で、

中学三年生の修学旅行は熊本(阿蘇山・一日目のみ)と長崎でした。

これらも平和教育の一環だったのでしょう。


はだしのゲン』を映像化するにあたっては、

漫画にある過激な内容や、残酷なものは除かれていたと思います。

確か六年生の時に見た映画では、

オープニングでゲンをはじめ登場人物が、

ミュージカル風に歌い踊っていました。

映画を見終わった後、担任の先生が

「ゲンであれはないわ」

とやや怒り混じりに落胆していたのですが、

重要な部分はきちんと描きつつ、

実写映画には所々そういうユーモアを交えていたようです。


連日、『はだしのゲン』の閲覧制限関連の報道がされるので、

「実はあまり覚えてないな…どんな内容やったっけ?」と思い、

インターネットで調べました。

あらすじを読み進めていくと

「あぁ、そうやった」「なんか見たな」

と映画の記憶がうっすらと蘇りました。

実写映画は3本以上あるようで、物語の後半は知らない内容でした。

途中、映画にはなかった残酷な内容が出てきました。

文章で目にするだけでも顔を歪めるほどです。

これらが漫画には描かれているのか…。


「大人が読んでもこの反応だから、子供ならなおさら」

と思うのは無理もないことなのかもしれません。

しかし、それならばなぜ私達が子供の頃の大人達は、

私達に映画を見せたのでしょう。

漫画を読ませたのでしょう。

今の子供達は守られていて、

昔子供だった私達は守られていなかったのでしょうか。

違うと思います。


結局はよくある結論ですが、

大人と子供が一緒に考えて導けばいいのではないでしょうか。

「正しい方向へ」とは言いません。

それが正しいかどうかは誰にも決められません。

一緒に考えた者同士で、

「ここではこれが正しいとしよう」

と決めるならば、それはいいことだと思います。

「ただし、考え方や捉え方は他にもたくさんあるんだよ」

と子供に伝えておけばきっと、

柔らかい子供の感性に染み込んでいくでしょう。



戦争体験者や被爆者の方々の人口が減り、

当時のお話を直に聞くことは難しくなっていきます。

将来確実に、

残された資料や書物や映像でしか戦争を知ることが出来なくなり、

祖父母から父母、子、孫、その次へと語り継いでいくとしても、

その内容の密度は段々薄くなり、その機会もさらに減っていきます。


はだしのゲン』は実体験を基にしたフィクションです。

しかし、小中学生が手に取りやすい『漫画』でありながら、

戦争や原爆のことを知ることができる貴重な『資料』です。

実際、広島の市立小学校・高校では、

平和教育で『はだしのゲン』をテキストとして使用しているそうです。



はだしのゲン』を読んでどう思うか、

読んだ後の子供達に聞いてみれば一番よくわかると思うのですが…。