2010年度の全国体力テストで小中学生男女の全国順位が44~47位と低迷する大阪府で、公立小中8校のモデル校が遊びの要素を取り入れて運動神経を鍛える「コーディネーショントレーニング(COT)」を体育の授業などで4か月間実践したところ、約7割の種目で児童生徒の成績が向上したことが府教委のまとめでわかった。
「汚名返上のきっかけになる」と期待する府教委は取り組みの内容をDVDに収録。近く、府内の全小中学校に配布する。
大阪府寝屋川市立国松緑丘小で昨年12月中旬、6年生の体育の授業で「みどりっ子体操」が始まった。人気アニメやTVゲームの音楽に合わせ、体をくの字に曲げたり、手足を交互に広げて跳びはねたりする体操は操り人形の動きのよう。同9月から4年生以上の授業で準備運動として行っている。考案した室貴代文教諭は「普段しない動きで最初は全くできなかったが、動きの面白さや達成感から、9割以上の子どもがスムーズにできるようになった」と話す。
旧東ドイツで開発されたCOTは、子どもたちが野山などで遊ぶことで従来身に着けていたバランス感覚やリズム感覚を養うトレーニング方法。近年、国内でも普及が進み、みどりっ子体操もその一つだ。
府教委は10年度、同小を含む小学校5校と中学校3校の計8校を体力向上の研究実践協力校に指定。男子走り幅跳びで日本代表経験のある荒川大輔選手(29)(NOBY・トラック・アンド・フィールドクラブ)の指導の下、各校は2学期の4か月間、COTに基づくオリジナル体操や、はしご状の器具「ラダー」を使ったトレーニングを体育の授業や始業前、休み時間に実践した。
その結果、各校が昨年4、5月に行った体力テストを今年1、2月に再実施したところ、71・5%の種目で記録が向上。種目別でも、小学男女とも全国最下位だった反復横跳びの成績が、小学校の2校で全国平均を上回る伸びを見せた。
協力校の授業などを収録したDVDは実践事例集として、府内の全公立小中計914校(大阪、堺両市立除く)に配布される。
府子どもの体力向上委員会の委員長を務める赤松喜久・大阪教育大教授は「子どもの体力を伸ばすのは家庭、学校、地域を含めた大人の責任。学校に焦点を当てると、指導する教員の意識を高め、例えばCOTのような効果あるトレーニングに学校を挙げて取り組めば体力はおのずと向上する」と話した。
(2011年4月6日 読売新聞)
恥ずかしながら「COT」という言葉すら知らなかった私。効果があったようで何よりですね…と思って読み進めていると、この記事の最後に大切なことが書かれていました。そうですよね、指導する側の意識を高めて取り組めば、子どもはおのずと成長する。その通りだと思います。何事につけても「子どもたちを育てるんだ」という強い意識があれば、子どもたちはたくましく成長していくものではないでしょうか。(JTC/吉田俊也)