東日本大震災で被災した小中学校の再開を支援するため、兵庫県から被災地に派遣された芦屋市立宮川小の瀧ノ内秀都教諭(47)が、現地の教師に対し、「傷付いた児童は教師とのふれあいを通して元気を取り戻すことができる」と伝えた。
瀧ノ内教諭は「阪神」の体験を踏まえ、「子どもに笑顔が戻れば、地域も勇気づけられる」とも激励。今後、双方の子ども同士の交流も検討するという。
県教委の「震災・学校支援チーム(EARTH)」の第2陣(9人)で、津波で700人以上が死亡した宮城県東松島市の7校を3月22日から3日間訪問した。
各校とも子どもや保護者に犠牲者があり、行方不明者もいる中で、4月下旬の再開を目指していた。瀧ノ内教諭は、教室などの避難所の運営や、浸水した校舎の泥かきに当たる教師たちから話を聞いたという。
どの教師も、「遺体を見た」「津波から逃げた」と恐怖体験を訴える子どもに、どう声を掛けるべきかと不安を抱えていた。そんな教師に、瀧ノ内教諭は「心のまま接すれば、子どもは素直になれる。抱き締めたければ抱き締め、一緒に泣きたければ泣けばいい」などと助言した。
阪神の際、瀧ノ内教諭は、芦屋市立潮見小で3年を担任。学校再開後は気持ちの変化を読み取るため、児童1人ずつに声を掛け、可能な限り一緒に遊んでは「学校は楽しい」と思わせる努力をしたという。
その上で、「学校が第一歩を踏み出すことで地域も元気を得られる。阪神では子どもたちの笑顔で、町が明るくなった」と話し、学校の再開を待たず、自由に学校に足を運べる態勢を作るよう提案した。
瀧ノ内教諭は、自らの教え子と、被災地の子供が作文や絵をやり取りする交流を計画しており、「心のキャッチボールという支援ができれば」と話している。
(2011年4月7日 読売新聞)
阪神淡路大震災の経験者が、それを活かした活動をする場面がたくさん見られるようになってきました。それはとても大切でかけがえのないことのように思えます。そして、この記事には「子どもたちの笑顔は地域も勇気づける」とおっしゃる教諭の言葉が引用されています。子どもたちの笑顔を大切にする社会、子供たちの笑顔を大切にする学校。非常時だけでなく、いつもいつもそんな環境を意識できればと願う私です。(JTC/吉田俊也)