今朝の新聞で興味深かったものをご紹介いたします。
朝日新聞より。
何人産むか目標必要? 「出生率2.07回復」政府会議が検討開始
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題名の通り、出生率に関する数値目標を掲げることについての記事です。
少子化に歯止めをかけるためには、明確な数値目標を掲げたほうがよいのでは、という意見。
これに対し、生き方の強制につながるとして、数値目標に慎重な意見。
当然のことながら両者の意見が存在しており、記事の末尾に紹介されている有識者の意見も真っ向から対立しているように見えます。
少子化からの脱却は私学にとっても非常に重要なテーマ。
…ではあるのですが、今回このニュースを採り上げたのは少子化対策の中身に言及したいからではなく、また国策に物申したいからでもありません。
私がふと感じたのは「数値目標」というもののあり方です。
何か事を始めようと思ったとき、その背中を押してくれるのは目標の存在です。
減量しよう、と思った時には「○kgやせる」という目標を立てる。
読書しよう、と思った時には「月に○冊本を読む」という目標を立てる。
自分自身の目標であってもこうやって数値化することは少なくないでしょう。
そして、数値化したほうがゴール地点が明確になって、達成に向けた意識が高まるのは事実です。
これが数値目標の良いところ。
目標を「具体化」し、行動につなげるための橋渡しをしてくれるのです。
私自身も、自らの目標を掲げるときには極力数値に反映させるようにしています。
が一方で、数値化が難しい目標も数多くあります。
技術力や判断力といった能力を高める、といった目標を掲げる場合、そこには適切な指標があるようでないようで…といったものがたくさん。
私も「段取力を高める」「会議を活性化させる」などのテーマで研修会をさせていただくことがありますが、これらについて「ではどういう状態がゴールなのか」と言われると、なかなか難しいものがあります。
さらに、数値化が決して望ましくない例も。
例えば学校現場において子供たちが成長した姿にたどり着くために必要な要素を数字で決める、ということに対しては懐疑的な意見も多くあると思います。
今回のニュースにあった少子化の打開についても、数値目標は避けるべきだという意見が少なくないのはある意味想定できる事柄と言えるでしょう。
私が思うに、数値目標を掲げるメリットは先ほども申し上げたとおり、
目標の具体化→ゴール地点の明確化→行動への意識づけ
という点にあるのではないか、と。
一方で、数値目標のデメリットは「数値が目的化しがち」ということが最大のものだと感じます。
例えば減量を例にとってみても、本来は健康のためという目的があるにもかかわらず、体重を減らすことが目的にすり替わってしまい、日々体重計に乗って一喜一憂することが日課になってしまうということがあり得ます。
学校経営においても、その課題解決に「数値目標」を使う場面がきっとあると思います。
私も自らのかかわりの中で数値化をお願いしたことが少なからず存在しています。
がお伝えしている通り、数値目標はある意味強烈な動機付けとゴール設定を行うものですから、その数値に対して責任を持つ者(機関・役割)がその責任の範囲で掲げることが重要です。
「難関大○名合格」「偏差値○ポイントアップ」を学校全体で目標とするのであれば、その数値目標は、学校全体の施策を決定する機関が、自らの責任と役割において掲げるべき目標であると言えるでしょう。
もっと言えば、こういったことがらは目標として追いかけるには適切とは言えず、「仮にそういうことが目標になるとすれば、わが校は具体的に何をしていけばいいのだろう」ということを突き詰め、その具体策に対して数値目標を設定することのほうがよりよい学校経営につながるような気がしてなりません。
最後に、今回の記事の中での経済財政相の言葉をご紹介しておきます。
そこには政策決定機関が心しておくべきことが表現されています。
「産む、産まないは強制されるものではない。
子をほしい人が意思を発揮できる環境を整備するのが政府の役目。
その結果、2・07に達してくれれば大変よい」
(文責:吉田俊也)
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