本日は学校施設の整備に関する話題をお届けします。
先日、文部科学省から立て続けにこの話題に関する資料が公表されました。
私が現時点で把握しているだけで4件あります。こんなに一気に出てくるとは、とちょっと驚いています。
まずは1件目。
「学校施設の長寿命化計画策定に係る解説書」の公表について:文部科学省
ボリュームが大きいのでまだ全部読めていませんが、この資料、とっても有用そうです。
なんといっても、本資料の順序をたどりながら施設計画を作っていくことで、考慮すべき内容がもれなくまとめられます。
・まずは施設更新の目的を言葉にし、目指すべき姿を明示する。
・そのうえで施設の実態を精査する。学校の生徒数の推移はもちろん、施設関連経費がどの程度かかっているのか、直近5年間の数値を確認する。施設の老朽化の度合いについても確認する。
・それらを踏まえて施設整備の基本方針を定め、学校規模を想定しながら実施計画の詳細へと進んでいく。
・さらには施設の更新が済んだ後、その運用を図るための体制の整備とフォローアップについても記載。
本資料は長寿命化のために作られていますが、内容的には長寿命化に限らず、どのような施設整備にも適用できそうなイメージです。
御校でもこの資料はぜひともお使いいただければと思います。
ただし、「本解説書付属のソフトを活用して対象建物の基本情報を整理することで,今後の維持・更新コストが試算できます(40年分のグラフが自動出力される)。」と書いてあるので、そのソフトを見てみたいんですが、今のところ発見できておりません。。。
次に2件目。
「学校施設の長寿命化改修に関する事例集」の公表について:文部科学省
こちらは先ほどのテーマと同様ですが、事例を集めたものになっています。
このうち、第1章には改修のポイントとなる点がまとめて記載されているのですが、施設整備の際にはぜひとも留意しておくべき着眼点ではないかと思います。
時間がなければここだけでも見ておくと参考になるのではないでしょうか。
さらに3件目。
大学経営に求められる施設戦略 先進的・効果的な施設マネジメントの実践事例―「全学的な体制による施設マネジメントの推進」―:文部科学省
大学経営、となっていますのでメインターゲットはもちろん大学なのですが、ここで特筆すべきは施設の整備を「マネジメント」、つまり経営の観点から捉えている点です。
経営の面から、というとすぐに「お金」を連想しがちですが、マネジメントで重要なのはお金に限りません。
ここで出てくる事例の中には、実行体制を整えることや、リーダーシップを発揮することなどが出てきます。つまり、「人」の観点が盛り込まれているということです。
施設は使う人のことを考えねばその力を十分に発揮することができません。
施設整備をマネジメントの観点から捉えることは非常に重要なことです。
最後に4件目。
戦略的な施設マネジメント~大学経営に求められる施設戦略~:文部科学省
こちらは3件目とセットになっています。
掲載されているリーフレットには、施設整備の資金をどうやって捻出するかという、非常に現実的な問題が採り上げられていて、その解決法もかなり泥臭い?内容が記されています。
実際に施設整備を進める際にはこのような考え方の整理が必要なのでしょうね。
さすがに全部を読み切るにはかなりの時間がかかりそうですが、少なくとも、大きな施設整備を予定している、あるいはその時期が到来している学校においては目を通すべき資料だと感じます。
学校の場合、施設整備はマネジメントそのものです。
計画から実行、そしてその後の管理も含めて、全学的な理解と体制づくりが不可欠なのではないでしょうか。
(文責:吉田)