学校に必須の施設、図書室(館)。
その整備が十分ではない、というニュースです。
日経新聞より。
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特別支援学校の一部で学校図書館(図書室)が設けられておらず、障害者差別解消法や読書バリアフリー法の理念と矛盾しているとの指摘があがっている。蔵書数や予算の面でも通常学校との格差が著しく、特別支援学校の1割で未設置との調査結果も。専門家は情報取得に困難を伴う場合がある障害者にこそ、図書室の充実が必要と強調している。
私自身、普段の活動で特別支援学校に関わることがないため、
そこに図書館があるかどうかについて全く知らなかったのですが、
勝手なイメージとして「学校には必ず図書館がある」、
と思っていたような気がします。
今回の調査結果を拝見し、図書館がないケースがある、
しかも全体の1割にも及ぶことを知り、衝撃を受けました。
ただ、その理由は次の通り。この点にも驚きました。
特別支援学校では児童生徒数の増加により教室不足が深刻に。今年4月、特別支援学校に備えるべき施設を規定した設置基準が施行され、今後は図書室を他教室と兼用ではない形で設置するよう定められた。(中略)
図書室がない、ある特別支援学校には、読書活動の指導を担う司書教諭がいるが、普段の授業や生徒へのケアで忙しく、図書まで手が回っていないという。教頭は「業務の負担軽減も図らなければならない。今は結果的に図書への優先順位が下がってしまっている」と話した。
学校が足りない、となってもすぐに設置できるものではありません。
もちろん、教員不足もすぐに解消するわけではありません。
が、これは放っておいていいということではないでしょう。
一方で、対象の児童生徒をすべて特別支援学校に入れる、
というのも、公立校の施策としてどうなのか、ということも考えさせられました。
一方で、記事に書かれていた以下の情報にも少々驚きました。
文部科学省が2021年に公表した調査では、学級数や学校種別に応じた蔵書数の目標「学校図書館図書標準」の公立学校の達成率は、通常学校の中学校で61.1%なのに対し、特別支援学校の中学部で3.6%と大幅な格差がある。
特別支援学校の数値もさることながら、公立中学校で6割強にとどまるんですね。
ちなみに、「学校図書館図書標準」を調べてみますと、
生徒数によって標準冊数が変わるのですが、
例えば小学校で18学級の場合は10,360冊、
中学校で15学級の場合は12,160冊となります。
さて貴校園の図書数はどのくらいでしょうか。
私学でも、学校図書館にどのくらい力点が置かれているか、
というのは学校ごとに相当の差があると感じます。
ただ、今後の教育の重点対象を考えれば、
自ら調べ、探究するための拠点となる学校図書館が十分な存在であることは
非常に重要なことなのではないかと感じます。
今一度、自校園の状況をご確認いただき、
あるべき学校図書館の姿をご検討いただければと思います。
(文責:吉田)