時折このブログでも採り上げています、
日経新聞の連載「やさしい経済学」。
少し古くなってしまいましたが、先月下旬は
「人事制度で考える雇用」というテーマで連載がありました。
昨今のトレンドでもある、ジョブ型雇用を考えるうえでも
参考になりそうな記事をご紹介します。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
まず皆さんにお聞きしたいのですが、
職務給と職能給、どちらのほうが魅力的でしょうか。
そもそもウチは年齢給だからどっちも魅力的ですよ、
という私学関係者も多くいらっしゃるかもしれませんね。
今後を見据えれば、給与制度が年齢給のみ、というケースは
おそらく少数派になっていくのではないか、と思います。
この記事ではまず、職能給のメリットが書かれています。
職務給と職能給を比較すると、柔軟な人員配置では職能給の方が優位です。働きぶりを査定するので、労働者のやる気を引き出すこともできます。10人が同じ仕事をしている場合、職務給ではそれぞれの働きぶりに関係なく同じ賃金ですが、職能給では一人ひとりの働きぶりを評価し、人を基準に報酬が決まります。きちんと評価できるなら職能給の方が良さそうです。
ところが、「きちんと評価できるなら」というのが大きなポイントで、
通常、一人ひとりの技能や能力をきちんと評価するのは大変です。
人事評価の作業は前例踏襲になりがちであること、
さらには評価結果の向上によって人件費が上がってしまうという
経営上のリスクがある、と筆者は指摘しています。
職能給では人の技能や能力を評価して賃金を決めます。下から抜てきすれば能力が向上したと評価したことになり、人件費は増えます。現場の管理職が部下の評価を甘くしてしまうと人件費がかさむことになるのです。本社の人事部が正規労働者の人事管理の権限を現場に譲らないのは、こうした背景があるためです。また、非正規から正規への登用がなかなか進まない理由の一つは、現場の管理職の人事権が小さいことだとされます。
一方で、職務給はいわばポストごとに賃金を決める制度ですので、
ポストの数が変わらなければ、人件費は一定になります。
これが職務給についてのひとつのメリットで、
誰を登用しても人件費が変わらないとすれば、
抜擢人事を積極実施するインセンティブにもなり、
本当にそのポストにふさわしい人が選ばれやすくなる、
と筆者は述べておられます。
記事の展開のしかたによって、職務給に誘導されているきらいは否めませんが、
職能給と職務給についての特徴はある程度理解できます。
さて貴校園では今後の給与制度をどうお考えになるでしょうか。
何に価値を見出し、給与を支払うのか。
これもまた、学校経営において非常に重要なテーマです。
中長期を見据え、ぜひとも検討を始めていただければと思います。
(文責:吉田)