金融教育が本格化していくきっかけになるでしょうか。
日経新聞より。
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政府は金融教育を国家戦略として推進するための体制を整備する。2024年にも官民一体となった新たな推進機構を立ち上げ、個人の資産形成を中立的に助言する専門資格を新設する。英米にならい、個人が資産形成を相談できる専門家を身近にみつけられるようにする狙い。政府が国民全体の金融リテラシー(理解・活用力)向上へギアを一段上げる取り組みだが、官の肥大化を懸念する声も出ている。
官民一体で金融教育を推進する組織、
その名も「金融経済教育推進機構」(仮称ですが)。
記事にそのイメージが図示されていますので、下に引用させていただきます。
上記の機構には先進例があるようで、
それは英国にある政府外の公共機関「MaPS」です。
MaPSは2020年1月に
「ファイナンシャル・ウェルビーイングのための英国国家戦略2020~2030」
を策定、金融教育の司令塔を担っているとのこと。
今回の日本の機構案でも、金融庁が事務局を担い、
協議会などを通じて国家戦略を策定することが予定されています。
日本ではこれまで、金融関連の国家資格としてFPが機能してきましたが、
現状、FPには金融商品の価値を分析して薦める投資助言機能がありません。
一方で、金融商品に精通する各金融機関は中立的な立場と言えず、
利用する側からすると利益誘導的になるのではとの不安がぬぐえません。
この点、海外では中立的な投資助言をできる資格・制度が普及していて、
例えば米国のファイナンシャルアドバイザー(FA)は、
顧客の立場に立って資産形成を提案、助言しており、
アドバイザー経由の米国の個人証券投資の残高は
2022年時点でなんと24兆ドルにも上り、このうち、
4割強を独立系のFAが占めていると記事は報じています。
昨日のブログでは、寄付の拡充についての話題を採り上げました。
そして今日は金融商品のより一層の普及を狙う施策。
私学にとっては、2つの面から検討が必要だと感じます。
1つは、教育内容。
お金に関する教育を、これまで学校で扱うことは少なかったように感じます。
が今後は、資産形成も自らが責任を持つ、という流れになりつつあります。
貴校園の教育内容としてこういったことにどう取り組むか、
方針と内容を固める時期が到来しているのではないでしょうか。
もちろん、その際の外部の専門人才(じんざい)の活用も
当然視野に入ってくることでしょう。柔軟な発想が求められそうです。
そしてもう1つは、財務。
少子化に伴い、収支構造が厳しくなってくる校園も多くなると思いますので、
資産運用収入をいかにして得るか、というのは
経営上の大きなテーマになる可能性があります。
将来のあるべき収入のバランスと、その実現に向けた取組について、
ぜひとも早めにご検討いただければと思います。
(文責:吉田)