トップ同士の統合が決まりました。
日経新聞より。
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東京工業大と東京医科歯科大は14日、2024年度中をめどに統合し1つの新大学となることで基本合意したと発表した。国内トップレベルの理工系と医療系の研究力を併せ持つ理系の総合大学が誕生する。国際競争力の強化に向け、統合の相乗効果をどう高めるかが課題だ。
記事によりますと、両大学の統合に向けた協議は、
水面下で2年ほど前から進められてきたそうです。
教育課程や収容定員、入試は当面変更しないとのこと。
このニュースが衝撃的なのは、統合する大学がいずれも
分野トップの人気校であること、ではないでしょうか。
東工大は1881年、東京医科歯科大は1928年創設で、いずれも伝統校。
さらには、研究力が国内最高水準と認められた
「指定国立大学法人」10校のうちの2校でもあります。
記事でも、文部科学省幹部のコメントとして
「大学名を変えてまで統合するという決断は重い」
と書かれています。
ただ、それでも統合を、ということに当然理由はあるでしょう。
その大きな一つは、財源の確保にありそうです。
新大学への統合を選択したのは、政府の10兆円規模の「大学ファンド」の認定を受ける狙いがある。大学ファンドは世界トップレベルへ成長できる国内大学数校を「国際卓越研究大学」と認定し、運用益で支援する。
ファンドの運用益の目標は年3000億円で、仮に5校に分配すれば単純計算で1校当たり600億円。21年度の2大学の運営費交付金の合計は356億円で、2倍近い規模だ。
国立大の運営交付金は縮小傾向であり、
運営や研究のための資金確保は喫緊の課題になっていると言えます。
別の日の日経新聞には、この内容を採り上げつつ、
下のグラフが掲載されていました。
近年は、有力大学の連携や統合のニュースが多くなっている印象があります。
少子化の中で存在感を維持向上させる、
そしてよりシビアなケースでは将来の存続を託して、
といったことがその動機になっていることがほとんどでしょう。
仮に今回のニュースのように「統合」という事例が増えていくとすれば、
そこにはひとつ、大きな課題を認識しておく必要があります。
記事にもそのことが指摘されていましたので、
引用して本日のブログを閉じたいと思います。
課題は相乗効果を高めるための戦略だ。記者会見では両学長から「自由でフラットな組織を一からつくる」といった理念が語られた一方、研究面での連携について具体的な説明は乏しかった。
筑波大の金子元久特命教授(高等教育論)は「単に両大学を合わせただけでは旧帝大より規模は小さく、大きなアドバンテージとは言えない。どのような相乗効果を生むか、具体的なプロジェクトを明確にした上で統合を進める必要がある」と指摘する。
(文責:吉田)